3 / 47
改)3
しおりを挟む※このお話は三回目の2022年7月18日、慧が占ってもらう前です。時系列としては11話の直後となります。
タイトルでも申し上げましたが、心臓の弱い方は閲覧注意です。心臓が並の人は平気だと思いますが、念の為お昼 に読んで下さい。ホラーが大好きな方にはちょっと物足りないかもしれません。
俺はあれから慧と会えていない。共通の知人に聞いてみるが、嫌な顔をするだけで誰も教えてはくれなかった。
(あの噂のせいで…! 恵奈の奴…今度会ったら、ただじゃおかねえ!!)
今、慧のアパートまで来ている。
これが何回目なのか…彼女に会おうと何度訪ねてみても、呼び鈴の音が反応するだけで慧が部屋から出てくる事はなかった。
(今日も留守か…。もしや…引っ越したのか…?)
何の手掛かりも得る事は出来ず、俺は慧の住むアパートを後にした。
(慧が何より大切だったはずなのに…いつの間にか忘れていた。失ってから気付くなんてな……。)
沈んだ気持ちで薄暗い路地裏を歩く。慧のアパートから帰る時はいつもこの道を通るのだ。
「こんばんは!」
背後から声を掛けられる。
突然の事に驚き振り向くと、魔法少女のコスプレをした女の子が立っていた。
彼女はとても愛らしく、その独特な魅力に惹かれそうになるが俺の勘が待ったをかける。
(今の今まで人の気配なんてまるで感じなかったのに……。)
「慧ちゃんの幼馴染だよね?」
(慧…だと…?)
「慧を知ってるのか? 教えてくれ! 彼女は今どこにいるんだっ!?」
「そんな事知ってどうするの?」
「会いに行くに決まってる!」
彼女の手掛かりをようやく掴んだのだ。俺は居ても立っても居られなくなり、その少女を問い詰める。
「ダメだよ。個人情報保護ってやつだね!」
「くそっ!」
(周りには誰もいない…それならっ!)
周囲を見回し人がいない事を確認する。
「良いのか? 今ここには俺とお前しかいないんだぜ?」
俺は少女に凄んでみせる。こうして脅しつけてやれば素直に話すと思ったのだ。
しかし……。
「それで?」
少女はどこ吹く風といった様子で、笑顔を崩さない。まるで親しい友人と会話しているかの如く、俺の脅しなど気にもとめていない。
「…お前が今襲われても誰も助けちゃくれない。」
フフッと笑い、平然と距離を詰めて来る少女。
「そうは言うけどさ……。それはアナタにも同じ事が言えるよね?」
その態度が気に入らず俺は少女に掴み掛かろうと腕を振り上げ……。
ボタっ
(腕が上がらねえ……。それになんの音だ…?)
音の発生源を確認すると、腕に感じた違和感の正体がそこにはあった。
俺の腕が地面に転がっていたのだ。
(なん…で……?)
全く痛みを感じなかった。何故俺の腕が地面にあるのかも分からない。
(コイツは何だ……?)
少女に対する恐怖が沸き上がって来る。
「待て! 待ってくれ! 俺に何をした!?」
少女は笑顔を浮かべるだけで、俺の質問には答えない。
「助けてくれ! なっ? なっ? お、お前も捕まるのは嫌だろ?」
俺の命乞いは全く無価値なのか…少女は笑顔のまま、良くわからない事を言い出した。
「実はね…女神様が君みたいな人は嫌いなんだって!」
「俺を…殺す気……なのか?」
相当ヤバイ状況にいる事を俺は自覚したが…既に遅かった。
「私もやり直しは飽きたし、アナタが居なければもっと上手く事は運ぶかもしれないの……。」
(何……を言って……。)
「た…たすけ……」
「だ・か・らぁ……。」
ニタリと笑った後、突然目の前から少女の姿が消失する。
(消えた…? いったいどこ…)
「死んでね?」
俺の耳元で小さな囁きが…清涼な声でやけに強く響き渡る。
驚いて振り返ろうとするが……。
突然、地面が自ら動いているように迫り来る。
顔面が叩きつけられ…強い衝撃の後グルグルと世界が回り……。
(なんで…俺の体がそこにあるんだ?)
俺は自分の体を地面から見上げるような恰好になっていた。
「お掃除完了! 良い仕事したなぁ。」
「…ぇ…ぇ……。」
「あれ? まだ生きてるの?」
(なんで声が……生きてるってどうゆう事だ?)
俺は…何故か全く声を出せなかった。
「もしかして自分が死んでる事に気付いてないの?」
不思議そうな顔で俺を見る少女。
(死ん……だ……?)
「面白ーい!! 活け造りのお魚みたいだね!?」
俺が最後に見た光景は…少女の花が咲いたようなとびきり…笑顔だ……た……。
「あー楽しかった!」
少女は男の死体に未知の液体を振りかけた。
「今日の一言! バカは死んでも気付かない!!」
すると、最初から何もなかったかのように男の体が消失する。
「この人は…過去、現在、未来、全ての時間軸において存在し得ない人物になっちゃった。」
これでもうあの三人を邪魔する人は居なくなったなぁ…。
少女はそう呟き…。
「あれ?」
「もしかして貴方…………今の見ちゃった?」
「画面の向こうに居るよね……。」
「見てるんでしょ? スマホ? タブレット? それともPC?」
「貴方は……死んでる事に気付くかなぁ…………?」
タイトルでも申し上げましたが、心臓の弱い方は閲覧注意です。心臓が並の人は平気だと思いますが、念の為お昼 に読んで下さい。ホラーが大好きな方にはちょっと物足りないかもしれません。
俺はあれから慧と会えていない。共通の知人に聞いてみるが、嫌な顔をするだけで誰も教えてはくれなかった。
(あの噂のせいで…! 恵奈の奴…今度会ったら、ただじゃおかねえ!!)
今、慧のアパートまで来ている。
これが何回目なのか…彼女に会おうと何度訪ねてみても、呼び鈴の音が反応するだけで慧が部屋から出てくる事はなかった。
(今日も留守か…。もしや…引っ越したのか…?)
何の手掛かりも得る事は出来ず、俺は慧の住むアパートを後にした。
(慧が何より大切だったはずなのに…いつの間にか忘れていた。失ってから気付くなんてな……。)
沈んだ気持ちで薄暗い路地裏を歩く。慧のアパートから帰る時はいつもこの道を通るのだ。
「こんばんは!」
背後から声を掛けられる。
突然の事に驚き振り向くと、魔法少女のコスプレをした女の子が立っていた。
彼女はとても愛らしく、その独特な魅力に惹かれそうになるが俺の勘が待ったをかける。
(今の今まで人の気配なんてまるで感じなかったのに……。)
「慧ちゃんの幼馴染だよね?」
(慧…だと…?)
「慧を知ってるのか? 教えてくれ! 彼女は今どこにいるんだっ!?」
「そんな事知ってどうするの?」
「会いに行くに決まってる!」
彼女の手掛かりをようやく掴んだのだ。俺は居ても立っても居られなくなり、その少女を問い詰める。
「ダメだよ。個人情報保護ってやつだね!」
「くそっ!」
(周りには誰もいない…それならっ!)
周囲を見回し人がいない事を確認する。
「良いのか? 今ここには俺とお前しかいないんだぜ?」
俺は少女に凄んでみせる。こうして脅しつけてやれば素直に話すと思ったのだ。
しかし……。
「それで?」
少女はどこ吹く風といった様子で、笑顔を崩さない。まるで親しい友人と会話しているかの如く、俺の脅しなど気にもとめていない。
「…お前が今襲われても誰も助けちゃくれない。」
フフッと笑い、平然と距離を詰めて来る少女。
「そうは言うけどさ……。それはアナタにも同じ事が言えるよね?」
その態度が気に入らず俺は少女に掴み掛かろうと腕を振り上げ……。
ボタっ
(腕が上がらねえ……。それになんの音だ…?)
音の発生源を確認すると、腕に感じた違和感の正体がそこにはあった。
俺の腕が地面に転がっていたのだ。
(なん…で……?)
全く痛みを感じなかった。何故俺の腕が地面にあるのかも分からない。
(コイツは何だ……?)
少女に対する恐怖が沸き上がって来る。
「待て! 待ってくれ! 俺に何をした!?」
少女は笑顔を浮かべるだけで、俺の質問には答えない。
「助けてくれ! なっ? なっ? お、お前も捕まるのは嫌だろ?」
俺の命乞いは全く無価値なのか…少女は笑顔のまま、良くわからない事を言い出した。
「実はね…女神様が君みたいな人は嫌いなんだって!」
「俺を…殺す気……なのか?」
相当ヤバイ状況にいる事を俺は自覚したが…既に遅かった。
「私もやり直しは飽きたし、アナタが居なければもっと上手く事は運ぶかもしれないの……。」
(何……を言って……。)
「た…たすけ……」
「だ・か・らぁ……。」
ニタリと笑った後、突然目の前から少女の姿が消失する。
(消えた…? いったいどこ…)
「死んでね?」
俺の耳元で小さな囁きが…清涼な声でやけに強く響き渡る。
驚いて振り返ろうとするが……。
突然、地面が自ら動いているように迫り来る。
顔面が叩きつけられ…強い衝撃の後グルグルと世界が回り……。
(なんで…俺の体がそこにあるんだ?)
俺は自分の体を地面から見上げるような恰好になっていた。
「お掃除完了! 良い仕事したなぁ。」
「…ぇ…ぇ……。」
「あれ? まだ生きてるの?」
(なんで声が……生きてるってどうゆう事だ?)
俺は…何故か全く声を出せなかった。
「もしかして自分が死んでる事に気付いてないの?」
不思議そうな顔で俺を見る少女。
(死ん……だ……?)
「面白ーい!! 活け造りのお魚みたいだね!?」
俺が最後に見た光景は…少女の花が咲いたようなとびきり…笑顔だ……た……。
「あー楽しかった!」
少女は男の死体に未知の液体を振りかけた。
「今日の一言! バカは死んでも気付かない!!」
すると、最初から何もなかったかのように男の体が消失する。
「この人は…過去、現在、未来、全ての時間軸において存在し得ない人物になっちゃった。」
これでもうあの三人を邪魔する人は居なくなったなぁ…。
少女はそう呟き…。
「あれ?」
「もしかして貴方…………今の見ちゃった?」
「画面の向こうに居るよね……。」
「見てるんでしょ? スマホ? タブレット? それともPC?」
「貴方は……死んでる事に気付くかなぁ…………?」
0
お気に入りに追加
12
あなたにおすすめの小説
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

こども病院の日常
moa
キャラ文芸
ここの病院は、こども病院です。
18歳以下の子供が通う病院、
診療科はたくさんあります。
内科、外科、耳鼻科、歯科、皮膚科etc…
ただただ医者目線で色々な病気を治療していくだけの小説です。
恋愛要素などは一切ありません。
密着病院24時!的な感じです。
人物像などは表記していない為、読者様のご想像にお任せします。
※泣く表現、痛い表現など嫌いな方は読むのをお控えください。
歯科以外の医療知識はそこまで詳しくないのですみませんがご了承ください。


サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる