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第171話『HiH IDOL FESTIVAL 16』
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境田の車。
凛果「……もう始まっちゃう。」
桃莉「……」
車のドアは中からも勝手には開けられないようになっている。仮に窓ガラスを割って出たとしても、ここから歩くかタクシーに乗るかして会場に向かうのは様々なリスクがあった。
境田「悲しい?」
奈々「……」
千翼「悲しいよ。」
境田「残念だったね。」
凛果「……」
凛果の瞳に涙がたまる。今日のために、何もかも頑張ってきた。今日を楽しみにしてくれたたくさんのファンもいる。今日までの間、自分たちを応援してくれた人たち、助けてくれた人たち、支えてくれた人たち。皆の顔が浮かぶ。Joyfulenceが到着するまでは男性陣が場を繋いでいてくれると言うが、果たして会場に着く見込みはあるのか。無い。千翼が凛果の手を握る。
千翼「……マネージャーとは、どういう関係なの。」
境田「え?あぁ、玲奈?あの子は優秀だよねぇ。あーあ……」
桃莉「質問に答えてよ。」
境田「……一緒にアイドルやってたんだよ。そんだけ。」
凛果「……マネージャーさんも、あなたも……アイドルをしてたの?」
境田「あぁ、そうだよ。知らないだろ。」
千翼「うん。」
境田「玲奈と、実って女の子と、俺。俺がいなきゃ、多分あの子たち、売れてたと思うよ。」
凛果「どうしてそんなこと言うの。」
境田「俺が男だからだよ。……何が男女平等だよ、ふざけんな。」
千翼「……男の子はダメなの?」
境田「……お前らは本当に何も分かってないんだな、箱入り娘どもめ。」
奈々「女の子の方が人気だからですか。」
境田「女の子の方を売り出すことにしたんだよ、このアイドル業界は。どこ行っても、男性アイドルなんか目にしないだろ。ずっとずっと、樽の底に押し沈められてた。」
桃莉「……けど、男性アイドルは、いるよ?」
境田「今年知った?」
桃莉「ううん。同級生にいる。」
境田「あっそ。」
桃莉「私たちよりもずっとずっと……歌もダンスも上手い」
境田「そういうことだよ。」
凛果「だから私たちをここに軟禁してるの?」
境田「これは俺だけの願いじゃない。やっと男性アイドルにスポットライトが当たる日が来たんだ。邪魔しないでほしいだけさ。」
千翼「でもあっちにはみんないるよ」
境田「Joyfulenceなしの彼女たちに、智くんたちを押しのけるほどの力は無いよ。残念だったね。」
千翼「冥賀さんも仲間なの。」
境田「違うよ。」
桃莉「じゃあ1人でやってるんだ。境田さんだけの願いじゃん。」
境田「ははは」
その時、境田のスマホが鳴った。
凛果「……もう始まっちゃう。」
桃莉「……」
車のドアは中からも勝手には開けられないようになっている。仮に窓ガラスを割って出たとしても、ここから歩くかタクシーに乗るかして会場に向かうのは様々なリスクがあった。
境田「悲しい?」
奈々「……」
千翼「悲しいよ。」
境田「残念だったね。」
凛果「……」
凛果の瞳に涙がたまる。今日のために、何もかも頑張ってきた。今日を楽しみにしてくれたたくさんのファンもいる。今日までの間、自分たちを応援してくれた人たち、助けてくれた人たち、支えてくれた人たち。皆の顔が浮かぶ。Joyfulenceが到着するまでは男性陣が場を繋いでいてくれると言うが、果たして会場に着く見込みはあるのか。無い。千翼が凛果の手を握る。
千翼「……マネージャーとは、どういう関係なの。」
境田「え?あぁ、玲奈?あの子は優秀だよねぇ。あーあ……」
桃莉「質問に答えてよ。」
境田「……一緒にアイドルやってたんだよ。そんだけ。」
凛果「……マネージャーさんも、あなたも……アイドルをしてたの?」
境田「あぁ、そうだよ。知らないだろ。」
千翼「うん。」
境田「玲奈と、実って女の子と、俺。俺がいなきゃ、多分あの子たち、売れてたと思うよ。」
凛果「どうしてそんなこと言うの。」
境田「俺が男だからだよ。……何が男女平等だよ、ふざけんな。」
千翼「……男の子はダメなの?」
境田「……お前らは本当に何も分かってないんだな、箱入り娘どもめ。」
奈々「女の子の方が人気だからですか。」
境田「女の子の方を売り出すことにしたんだよ、このアイドル業界は。どこ行っても、男性アイドルなんか目にしないだろ。ずっとずっと、樽の底に押し沈められてた。」
桃莉「……けど、男性アイドルは、いるよ?」
境田「今年知った?」
桃莉「ううん。同級生にいる。」
境田「あっそ。」
桃莉「私たちよりもずっとずっと……歌もダンスも上手い」
境田「そういうことだよ。」
凛果「だから私たちをここに軟禁してるの?」
境田「これは俺だけの願いじゃない。やっと男性アイドルにスポットライトが当たる日が来たんだ。邪魔しないでほしいだけさ。」
千翼「でもあっちにはみんないるよ」
境田「Joyfulenceなしの彼女たちに、智くんたちを押しのけるほどの力は無いよ。残念だったね。」
千翼「冥賀さんも仲間なの。」
境田「違うよ。」
桃莉「じゃあ1人でやってるんだ。境田さんだけの願いじゃん。」
境田「ははは」
その時、境田のスマホが鳴った。
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