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第152話『合同合宿~じゅげむ 2~』
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杏虹がスタジオを出ていったあとも、レッスンは続いた。
ダンス講師「よし、これならまぁ、及第点。15分休憩~」
「「ありがとうございました。」」
優奈「……」
真葵「お部屋にいるのかな。」
明結「私、見てくるね。保健委員だから。」
雨鐘「せやな。お願いします。」
明結「はい。」
明結はスタジオを出て、G班の部屋に来た。ドアをノックし、中に話しかける。
明結「杏虹ちゃん、いる?」
杏虹「……」
明結「入るよ。」
明結が部屋に入ると、杏虹はベッドの上で毛布をかぶり、膝を抱えていた。
明結「杏虹ちゃん。」
杏虹「なんで……明結ちゃん、です?」
明結「えっ……あぁ、保健委員だから。」
杏虹「……」
明結「私じゃ嫌だった?」
杏虹「……ううん。」
明結「練習、一緒にしようよ。エイチフェスに出るんでしょ?」
杏虹「……」
明結「出ないの?」
杏虹「……出る。」
明結「どうして急に、覚えられなくなった?」
杏虹「…………」
明結が杏虹の隣に腰を下ろす。
杏虹「……いっぱいの人が、一気に動いて、その中で自分が、歌って踊りながら、他の位置に動いて、バミリを見ながら、色々やると、他のを忘れちゃうです。」
明結「……オプティミズム♪では、出来てるんだよね?要は、たくさんの人の中でやるのが、難しいの?」
杏虹「うん。あと……ほんとに、覚えるの苦手だから。あんじゅは……頭が、悪いから。」
明結「……」
杏虹「……あんじゅはどうせ……『じゅげむ』しか、言えないです。」
明結「そんなことないよ。今自分の思ってること、私にちゃんと教えてくれたじゃん。」
杏虹「紫野ちゃん。」
明結「う……うん?」
杏虹「紫野ちゃん。」
明結「ど、どうしたの?」
杏虹「紫野ちゃんて呼ばれるの、嫌?」
明結「えっ……なんで?」
杏虹「顔が、嫌だって言ってる。」
明結「そ、そんなこと、ないよ?」
杏虹「なんで嫌?」
明結「……」
杏虹「小学校で呼ばれてたから?みんなに、紫野ちゃん紫野ちゃんって。」
明結の顔が曇る。
明結「……なんで。」
杏虹は泣きそうな顔で俯いた。
明結「え……なんで知ってるの。あなた、誰なの。」
杏虹「……知らないならいいや。」
明結「小学校のことは忘れたいの。」
杏虹「……あんじゅは、忘れたくないよ。」
明結「……どういうこと……?」
杏虹「……あんじゅ、けっこう珍しい苗字。」
明結「うん、そうだね。」
杏虹「……忘れられたのは、初めてです。そのくらい……紫野ちゃんは、小学校が嫌いだったんだね。」
ダンス講師「よし、これならまぁ、及第点。15分休憩~」
「「ありがとうございました。」」
優奈「……」
真葵「お部屋にいるのかな。」
明結「私、見てくるね。保健委員だから。」
雨鐘「せやな。お願いします。」
明結「はい。」
明結はスタジオを出て、G班の部屋に来た。ドアをノックし、中に話しかける。
明結「杏虹ちゃん、いる?」
杏虹「……」
明結「入るよ。」
明結が部屋に入ると、杏虹はベッドの上で毛布をかぶり、膝を抱えていた。
明結「杏虹ちゃん。」
杏虹「なんで……明結ちゃん、です?」
明結「えっ……あぁ、保健委員だから。」
杏虹「……」
明結「私じゃ嫌だった?」
杏虹「……ううん。」
明結「練習、一緒にしようよ。エイチフェスに出るんでしょ?」
杏虹「……」
明結「出ないの?」
杏虹「……出る。」
明結「どうして急に、覚えられなくなった?」
杏虹「…………」
明結が杏虹の隣に腰を下ろす。
杏虹「……いっぱいの人が、一気に動いて、その中で自分が、歌って踊りながら、他の位置に動いて、バミリを見ながら、色々やると、他のを忘れちゃうです。」
明結「……オプティミズム♪では、出来てるんだよね?要は、たくさんの人の中でやるのが、難しいの?」
杏虹「うん。あと……ほんとに、覚えるの苦手だから。あんじゅは……頭が、悪いから。」
明結「……」
杏虹「……あんじゅはどうせ……『じゅげむ』しか、言えないです。」
明結「そんなことないよ。今自分の思ってること、私にちゃんと教えてくれたじゃん。」
杏虹「紫野ちゃん。」
明結「う……うん?」
杏虹「紫野ちゃん。」
明結「ど、どうしたの?」
杏虹「紫野ちゃんて呼ばれるの、嫌?」
明結「えっ……なんで?」
杏虹「顔が、嫌だって言ってる。」
明結「そ、そんなこと、ないよ?」
杏虹「なんで嫌?」
明結「……」
杏虹「小学校で呼ばれてたから?みんなに、紫野ちゃん紫野ちゃんって。」
明結の顔が曇る。
明結「……なんで。」
杏虹は泣きそうな顔で俯いた。
明結「え……なんで知ってるの。あなた、誰なの。」
杏虹「……知らないならいいや。」
明結「小学校のことは忘れたいの。」
杏虹「……あんじゅは、忘れたくないよ。」
明結「……どういうこと……?」
杏虹「……あんじゅ、けっこう珍しい苗字。」
明結「うん、そうだね。」
杏虹「……忘れられたのは、初めてです。そのくらい……紫野ちゃんは、小学校が嫌いだったんだね。」
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