85 / 91
それから
それから1 初音とジーク ⭐︎
しおりを挟む
「初音、とりあえずここに座れ」
「え?」
おもむろに、真剣な顔で2人の自室のベッドをジークに指し示されて、初音はその空気に薄笑いを浮かべた。
「前々から思っていた。この際だから、しっかりと言っておく」
「は、はい……」
ふぅとお馴染みのシワを眉間に寄せて、ジークはその金の瞳でベッドに腰掛ける初音を腕を組んで見下ろした。
「初音は比較的普段はおとなしいのに、要所要所で無茶をし過ぎる上に、相手を無駄に信用し過ぎる!! ハイエナに追われた時は洞窟の水流に飛び込むは、挙句の果てにカバの群れに飛び込むなんて正気の沙汰じゃない!! アレックスが奇跡的に多少丸くなって、ライラックがフィオナ以外に関心がなかったからいいものの……っ!!」
「え、今更?」
あまりの事後感に思わずと目を瞬く初音に、ジークは頭痛のする頭に手をやった。
「頼むからこれ以上無茶をしないでくれ。心臓がいくつあっても足りない」
「ジーク……」
そう言って、ぎゅうと抱きしめられた初音は、ジークの頭を抱えて笑う。
「お風呂でも入って、しばらくゆっくりできるといいねぇ」
「いや、無理だろう」
「あ、やっぱり?」
まだまだと落ち着かない上に忙しない日々を予感して、2人ははぁと息を吐く。
生活レベルやその他諸々色々と充実している一方、いつまでも落ち着く気配を見せない日々には出会った頃の気ままさが懐かしい。
ベッドに座る初音を挟むように両腕をつくと、ジークは鼻先が触れる距離で甘えるようにその頬をすり付けて、少し角度をつけて初音の唇に自身のそれを押し付けた。
そんな甘い口付けを受け入れて、初音はぐいとジークの服を引っ張ってベッドへと一緒に転がる。
深く合わせた唇に、頬に添えられる手のひらに、熱の上がる息遣いに、幸せが静かに満たされていった。
両脇に腕をついて初音に覆い被さっているジークを見上げて、初音はその襟元を緩めるとその首筋へ唇を寄せる。
「……っ!」
ピクリとその表情を動かすジークに、少しのイタズラ心が芽生えながら、初音はその指先をジークの服の隙間からその肌に這わせる。
その手を、パシリと囚われた。
「誘ったな」
そう言ってその綺麗な顔をふっと歪めるジークを見上げて、初音は笑う。
「くっついて、離れられなくなればいいのにね」
そう言って、唇を重ねれば、ジークが何やら神妙そうな顔をして初音を見返している。
「くっついてひとつになるのは、困るな。初音にはずっと、触れていたいから」
「……ものの例えって、わかってるでしょう?」
「ものの例えでも、困る」
「ジークはいつからそんなに甘くなっちゃったの。最初は「別に……」が口ぐせだったのに、最近はすっかりと聞かないし」
出会った当初を思い出して、思わずと頬を緩める。ツンツンしているジークもジークで、可愛くはあったのだけれど。
「…………そんな口ぐせあったか?」
「あった! ぜったいあった!!」
はてと小首を傾げるジークに、初音はどこかムキになって騒ぐ。
「……最近は、譲れないものが増えすぎたんだろう」
そう言って首元に這わされる舌の感触と、もぞりと衣服の下に滑り込んでくるその指先に、初音は思わずと小さく呻く。
「愛してる」
そうそっと囁かれて、初音は思わずとその顔を見上げた。
文句があるかみたいな綺麗な顔で、耳まで真っ赤になって、少し生意気そうにこちらを見下ろしているその金の瞳。
「私も、愛してる」
そう溢して、飽きるほど重ねた唇を、また飽きもせずに2人は重ねたーー。
「え?」
おもむろに、真剣な顔で2人の自室のベッドをジークに指し示されて、初音はその空気に薄笑いを浮かべた。
「前々から思っていた。この際だから、しっかりと言っておく」
「は、はい……」
ふぅとお馴染みのシワを眉間に寄せて、ジークはその金の瞳でベッドに腰掛ける初音を腕を組んで見下ろした。
「初音は比較的普段はおとなしいのに、要所要所で無茶をし過ぎる上に、相手を無駄に信用し過ぎる!! ハイエナに追われた時は洞窟の水流に飛び込むは、挙句の果てにカバの群れに飛び込むなんて正気の沙汰じゃない!! アレックスが奇跡的に多少丸くなって、ライラックがフィオナ以外に関心がなかったからいいものの……っ!!」
「え、今更?」
あまりの事後感に思わずと目を瞬く初音に、ジークは頭痛のする頭に手をやった。
「頼むからこれ以上無茶をしないでくれ。心臓がいくつあっても足りない」
「ジーク……」
そう言って、ぎゅうと抱きしめられた初音は、ジークの頭を抱えて笑う。
「お風呂でも入って、しばらくゆっくりできるといいねぇ」
「いや、無理だろう」
「あ、やっぱり?」
まだまだと落ち着かない上に忙しない日々を予感して、2人ははぁと息を吐く。
生活レベルやその他諸々色々と充実している一方、いつまでも落ち着く気配を見せない日々には出会った頃の気ままさが懐かしい。
ベッドに座る初音を挟むように両腕をつくと、ジークは鼻先が触れる距離で甘えるようにその頬をすり付けて、少し角度をつけて初音の唇に自身のそれを押し付けた。
そんな甘い口付けを受け入れて、初音はぐいとジークの服を引っ張ってベッドへと一緒に転がる。
深く合わせた唇に、頬に添えられる手のひらに、熱の上がる息遣いに、幸せが静かに満たされていった。
両脇に腕をついて初音に覆い被さっているジークを見上げて、初音はその襟元を緩めるとその首筋へ唇を寄せる。
「……っ!」
ピクリとその表情を動かすジークに、少しのイタズラ心が芽生えながら、初音はその指先をジークの服の隙間からその肌に這わせる。
その手を、パシリと囚われた。
「誘ったな」
そう言ってその綺麗な顔をふっと歪めるジークを見上げて、初音は笑う。
「くっついて、離れられなくなればいいのにね」
そう言って、唇を重ねれば、ジークが何やら神妙そうな顔をして初音を見返している。
「くっついてひとつになるのは、困るな。初音にはずっと、触れていたいから」
「……ものの例えって、わかってるでしょう?」
「ものの例えでも、困る」
「ジークはいつからそんなに甘くなっちゃったの。最初は「別に……」が口ぐせだったのに、最近はすっかりと聞かないし」
出会った当初を思い出して、思わずと頬を緩める。ツンツンしているジークもジークで、可愛くはあったのだけれど。
「…………そんな口ぐせあったか?」
「あった! ぜったいあった!!」
はてと小首を傾げるジークに、初音はどこかムキになって騒ぐ。
「……最近は、譲れないものが増えすぎたんだろう」
そう言って首元に這わされる舌の感触と、もぞりと衣服の下に滑り込んでくるその指先に、初音は思わずと小さく呻く。
「愛してる」
そうそっと囁かれて、初音は思わずとその顔を見上げた。
文句があるかみたいな綺麗な顔で、耳まで真っ赤になって、少し生意気そうにこちらを見下ろしているその金の瞳。
「私も、愛してる」
そう溢して、飽きるほど重ねた唇を、また飽きもせずに2人は重ねたーー。
4
あなたにおすすめの小説
記憶喪失の私はギルマス(強面)に拾われました【バレンタインSS投下】
かのこkanoko
恋愛
記憶喪失の私が強面のギルドマスターに拾われました。
名前も年齢も住んでた町も覚えてません。
ただ、ギルマスは何だか私のストライクゾーンな気がするんですが。
プロット無しで始める異世界ゆるゆるラブコメになる予定の話です。
小説家になろう様にも公開してます。
異世界シンママ ~モブ顔シングルマザーと銀獅子将軍~【完結】
多摩ゆら
恋愛
「神様お星様。モブ顔アラサーバツイチ子持ちにドッキリイベントは望んでません!」
シングルマザーのケイは、娘のココと共にオケアノスという国に異世界転移してしまう。助けてくれたのは、銀獅子将軍と呼ばれるヴォルク侯爵。
異世界での仕事と子育てに奔走するシンママ介護士と、激渋イケオジ将軍との間に恋愛は成立するのか!?
・同じ世界観の新作「未婚のギャル母は堅物眼鏡を翻弄する」連載中!
・表紙イラストは蒼獅郎様、タイトルロゴは猫埜かきあげ様に制作していただきました。画像・文章ともAI学習禁止。
・ファンタジー世界ですが不思議要素はありません。
・※マークの話には性描写を含みます。苦手な方は読み飛ばしていただいても本筋に影響はありません。
・エブリスタにて恋愛ファンタジートレンドランキング1位獲得
次期騎士団長の秘密を知ってしまったら、迫られ捕まってしまいました
Karamimi
恋愛
侯爵令嬢で貴族学院2年のルミナスは、元騎士団長だった父親を8歳の時に魔物討伐で亡くした。一家の大黒柱だった父を亡くしたことで、次期騎士団長と期待されていた兄は騎士団を辞め、12歳という若さで侯爵を継いだ。
そんな兄を支えていたルミナスは、ある日貴族学院3年、公爵令息カルロスの意外な姿を見てしまった。学院卒院後は騎士団長になる事も決まっているうえ、容姿端麗で勉学、武術も優れているまさに完璧公爵令息の彼とはあまりにも違う姿に、笑いが止まらない。
お兄様の夢だった騎士団長の座を奪ったと、一方的にカルロスを嫌っていたルミナスだが、さすがにこの秘密は墓場まで持って行こう。そう決めていたのだが、翌日カルロスに捕まり、鼻息荒く迫って来る姿にドン引きのルミナス。
挙句の果てに“ルミタン”だなんて呼ぶ始末。もうあの男に関わるのはやめよう、そう思っていたのに…
意地っ張りで素直になれない令嬢、ルミナスと、ちょっと気持ち悪いがルミナスを誰よりも愛している次期騎士団長、カルロスが幸せになるまでのお話しです。
よろしくお願いしますm(__)m
あなたがいなくなった後 〜シングルマザーになった途端、義弟から愛され始めました〜
瀬崎由美
恋愛
石橋優香は夫大輝との子供を出産したばかりの二十七歳の専業主婦。三歳歳上の大輝とは大学時代のサークルの先輩後輩で、卒業後に再会したのがキッカケで付き合い始めて結婚した。
まだ生後一か月の息子を手探りで育てて、寝不足の日々。朝、いつもと同じように仕事へと送り出した夫は職場での事故で帰らぬ人となる。乳児を抱えシングルマザーとなってしまった優香のことを支えてくれたのは、夫の弟である宏樹だった。二歳年上で公認会計士である宏樹は優香に変わって葬儀やその他を取り仕切ってくれ、事あるごとに家の様子を見にきて、二人のことを気に掛けてくれていた。
息子の為にと自立を考えた優香は、働きに出ることを考える。それを知った宏樹は自分の経営する会計事務所に勤めることを勧めてくれる。陽太が保育園に入れることができる月齢になって義弟のオフィスで働き始めてしばらく、宏樹の不在時に彼の元カノだと名乗る女性が訪れて来、宏樹へと復縁を迫ってくる。宏樹から断られて逆切れした元カノによって、彼が優香のことをずっと想い続けていたことを暴露されてしまう。
あっさりと認めた宏樹は、「今は兄貴の代役でもいい」そういって、優香の傍にいたいと願った。
夫とは真逆のタイプの宏樹だったが、優しく支えてくれるところは同じで……
夫のことを想い続けるも、義弟のことも完全には拒絶することができない優香。
婚約解消されたら隣にいた男に攫われて、強請るまで抱かれたんですけど?〜暴君の暴君が暴君過ぎた話〜
紬あおい
恋愛
婚約解消された瞬間「俺が貰う」と連れ去られ、もっとしてと強請るまで抱き潰されたお話。
連れ去った強引な男は、実は一途で高貴な人だった。
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
魔法師団長の家政婦辞めたら溺愛されました
iru
恋愛
小説家になろうですでに完結済みの作品です。よければお気に入りブックマークなどお願いします。
両親と旅をしている途中、魔物に襲われているところを、魔法師団に助けられたティナ。
両親は亡くなってしまったが、両親が命をかけて守ってくれた自分の命を無駄にせず強く生きていこうと決めた。
しかし、肉親も家もないティナが途方に暮れていると、魔物から助けてくれ、怪我の入院まで面倒を見てくれた魔法師団の団長レオニスから彼の家政婦として住み込みで働かないと誘われた。
魔物から助けられた時から、ひどく憧れていたレオニスの誘いを、ティナはありがたく受ける事にした。
自分はただの家政婦だと強く言い聞かせて、日に日に膨らむ恋心を抑え込むティナだった。
一方、レオニスもティナにどんどん惹かれていっていた。
初めはなくなった妹のようで放っては置けないと家政婦として雇ったが、その健気な様子に強く惹かれていった。
恋人になりたいが、年上で雇い主。
もしティナも同じ気持ちでないなら仕事まで奪ってしまうのではないか。
そんな思いで一歩踏み出せないレオニスだった。
そんな中ある噂から、ティナはレオニスの家政婦を辞めて家を出る決意をする。
レオニスは思いを伝えてティナを引き止めることができるのか?
両片思いのすれ違いのお話です。
泡風呂を楽しんでいただけなのに、空中から落ちてきた異世界騎士が「離れられないし目も瞑りたくない」とガン見してきた時の私の対応。
待鳥園子
恋愛
半年に一度仕事を頑張ったご褒美に一人で高級ラグジョアリーホテルの泡風呂を楽しんでたら、いきなり異世界騎士が落ちてきてあれこれ言い訳しつつ泡に隠れた体をジロジロ見てくる話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる