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「もうダメ。もう無理」

「可愛かったよ、アマベル」

 そう言ってうつ伏せた私の背中にチュッとキスを落とすヘラを、私は眉間にシワを寄せて睨みつけた。

「ーーアマベルの喜ぶ顔や泣き顔、散々と見てきたけど、どんなアマベルよりも1番可愛かったよ」

「…………それはどうも」

 ハァと大きなため息をついて、けれど私はこれ以上ないほどにホッとしていた。

 例に漏れず、ちょっと強引でドSちっくな言動はたまに見られた気はするものの、当初懸念していたコードを引っこ抜くような特殊なヤバさは見られなかった気がする。

 まぁ結果オーライか? と重い身体でぼんやりとしていると、ヘラの指先がそっと私の腰に触れた。

 ん? と惰性でその顔を見上げて、私はピシリと固まって目を見開く。

「…………へ、ヘラ……?」

 お、おかしいな。さっき一回毒気が抜けたような満たされた顔をしていたはずなのに。……な、何かな、その表情は?

「ーー俺の記憶にあるアマベルは、まだまだあるんだ。そのどれもが俺じゃない。……だから、他の男どもにされたことを、全部上塗りさせて欲しい」

「ーーは?」

 チュッとまたキスを落とされて、身体が震える。

「俺は全て覚えてるんだ。アマベルが何をされて、どんな反応をして、どんな顔で、どんな風に鳴いていたか」

「は???」

「少しキツイとは思うけど、俺が誰よりもアマベルを愛していることを証明させて欲しい」

 何ならプロポーズでもするんですか、くらいの真剣な顔に反するとんでも発言に、私は未だに自分の耳を信じられない。

「い、いやいやいやいや冗談ですよね?」

「本気だよ」

「あ、ちょっと用事を思い出しましてーー……ぎゃぁっ!」

 ガシリと腰を掴まれる。引いた血の気で、私は捕食される寸前の小動物のようにその瞳を潤ませた。

「此度のアマベルは俺のものだと、言っただろう……?」

 底知れない光を灯すその赤い瞳と、顎に絡みつく大きな手から逃げられない。

 そう言われて唇を塞がれた私は、当初懸念していたありとあらゆる。いやそれ以上の様々な苦難に次から次へと遭遇して、その喉が枯れるまで鳴き叫ぶ事態になりました。。。




【完】







あとがき
(と言う名の言い訳と言う独り言)


読んで下さりありがとうございました!
大人向けは再び挫折。。笑
もう少し書いてはいたのですが、だいぶ消してこうなりました。。。苦笑

前作にて溺愛執着が不完全燃焼だったので、よし、ちゃんと一回書こう! と思ったらこんな事態に…笑


ちょっと可愛げあるのに拗らせて怖いお兄さんが大好きです←←何

そのうち大人向けを書いてみたい気もするとぼんやり思いながら、どろどろ書くと反動で爽やかを書きたくなると言う。。。苦笑


もしよろしければご感想など頂けると泣いて喜びます!!
振り幅がひどいですが、また気が向きましたらどうぞよろしくお願いいたします。。。

読んで下さりありがとうございました!
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