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王女、交流する。
34.
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「はぁ、やめややめ」
そう言って、グレンは身を起こすと両の手を肩口でヒラヒラさせる。
今しがた脱ぎ捨てた羽織を拾い上げると、グレンはサラリと羽織り直し、バラけた赤い髪も再び布で巻き直した。
「頑固な嬢ちゃんやな。質問に答えるなり、泣くなり、乗ってくるなりせぇへんのかぃ。つまらん」
全くと言いながら半目でカトレアを睨むグレンに、カトレアは何だかんだと胸をほっと撫で下ろした。
カトレアは袖口に潜ませていた、即効性の痺れ薬を含ませた小さな針をそっと握り直しつつ、グレンの様子を伺う。
「……実は本気で手を出すつもりはなかったりした……?基本的に、そこまで無遠慮に私に触れなかったですよね……」
「…………そんなえぇもんな訳ないやろ。盗賊と男舐めとると痛い目みるで。俺は面倒ごとが嫌いなだけや。どっかの貴族に手ぇ出したところで、必要以上に追いかけ回されるだけで得なことなんかないからな。加えて女を無理矢理どうこうする趣味も俺にはない。貴族なら女やのぉて金や金」
「…………そぅですか」
「だいたい、こんや優しゅうてイケメンな俺ともなると、わざわざどこぞの小娘なんぞ襲わんでも女の方から寄ってくるさかいに、女になんぞ困らへんのや」
「……困らない……」
ハッと息を吐きながらふふんと笑みを浮かべるグレンを眺め、カトレアの脳裏にヒエンの照れた表情が浮かぶ。
「……まさかヒエン……さん?ヒエンさんて見たとこ10代半ばですよね?いやまぁ年齢的に有り得ないとは言いませんけど……っ」
「ばっ!アホ抜かせっ!俺は子どもになんぞ興味ないわっ!」
眉根を寄せて見つめてくるカトレアの言葉に、目を吊り上げてグレンが叫ぶ。
「俺が好きなんは子どもでも小娘でもなく、もっと出るとこは出て締まるとこは締まっとるナイスボディな大人な姉ちゃんが好みなんや!アホな妄想するんやないわっ!」
心外だとばかりに怒るグレンを、へぇとカトレアは無感情に見つめる。
「だいたい、なんで嬢ちゃんみたいなお貴族様が盗賊なんぞに声かけたんか知らんけどな、俺はいわゆる貴族っちゅーもんが嫌いやねん。何でかリオウのアホが連れてきおってからに……こうして話しとるんも不愉快や」
「……不愉快?」
「…………俺は生まれが当たっただけで威張り腐って、我が身可愛さに他人を踏みにじっても何とも思わんようなお貴族様が、吐き気がするほど嫌いなんや」
「そぅ…………」
今しがた自身が口にした内容に近からず遠からずな意見に、気が合いそうですねとカトレアは内心で呟く。
「せやから、俺の気ぃが変わらんうちにさっさと金目のモノ置いて家に戻り。場合によったら嬢ちゃんの家に手間賃としてもう少し寄付して貰ってもえぇんやで。ただし、俺らに迷惑だけはかけるんやないで」
ビシリと指先を突きつけて、グレンは吠える。突きつけられた指先を眺めて、カトレアが口を開こうとした時、息を切らせたリオウが飛び込んで来た。
「グレンさん!魔物が入って来て、ヒエンさんとナクタさんが……っ!」
ヒビの入った片眼鏡で、リオウはこちらを見遣る2人の視線を順番に見返した。
そう言って、グレンは身を起こすと両の手を肩口でヒラヒラさせる。
今しがた脱ぎ捨てた羽織を拾い上げると、グレンはサラリと羽織り直し、バラけた赤い髪も再び布で巻き直した。
「頑固な嬢ちゃんやな。質問に答えるなり、泣くなり、乗ってくるなりせぇへんのかぃ。つまらん」
全くと言いながら半目でカトレアを睨むグレンに、カトレアは何だかんだと胸をほっと撫で下ろした。
カトレアは袖口に潜ませていた、即効性の痺れ薬を含ませた小さな針をそっと握り直しつつ、グレンの様子を伺う。
「……実は本気で手を出すつもりはなかったりした……?基本的に、そこまで無遠慮に私に触れなかったですよね……」
「…………そんなえぇもんな訳ないやろ。盗賊と男舐めとると痛い目みるで。俺は面倒ごとが嫌いなだけや。どっかの貴族に手ぇ出したところで、必要以上に追いかけ回されるだけで得なことなんかないからな。加えて女を無理矢理どうこうする趣味も俺にはない。貴族なら女やのぉて金や金」
「…………そぅですか」
「だいたい、こんや優しゅうてイケメンな俺ともなると、わざわざどこぞの小娘なんぞ襲わんでも女の方から寄ってくるさかいに、女になんぞ困らへんのや」
「……困らない……」
ハッと息を吐きながらふふんと笑みを浮かべるグレンを眺め、カトレアの脳裏にヒエンの照れた表情が浮かぶ。
「……まさかヒエン……さん?ヒエンさんて見たとこ10代半ばですよね?いやまぁ年齢的に有り得ないとは言いませんけど……っ」
「ばっ!アホ抜かせっ!俺は子どもになんぞ興味ないわっ!」
眉根を寄せて見つめてくるカトレアの言葉に、目を吊り上げてグレンが叫ぶ。
「俺が好きなんは子どもでも小娘でもなく、もっと出るとこは出て締まるとこは締まっとるナイスボディな大人な姉ちゃんが好みなんや!アホな妄想するんやないわっ!」
心外だとばかりに怒るグレンを、へぇとカトレアは無感情に見つめる。
「だいたい、なんで嬢ちゃんみたいなお貴族様が盗賊なんぞに声かけたんか知らんけどな、俺はいわゆる貴族っちゅーもんが嫌いやねん。何でかリオウのアホが連れてきおってからに……こうして話しとるんも不愉快や」
「……不愉快?」
「…………俺は生まれが当たっただけで威張り腐って、我が身可愛さに他人を踏みにじっても何とも思わんようなお貴族様が、吐き気がするほど嫌いなんや」
「そぅ…………」
今しがた自身が口にした内容に近からず遠からずな意見に、気が合いそうですねとカトレアは内心で呟く。
「せやから、俺の気ぃが変わらんうちにさっさと金目のモノ置いて家に戻り。場合によったら嬢ちゃんの家に手間賃としてもう少し寄付して貰ってもえぇんやで。ただし、俺らに迷惑だけはかけるんやないで」
ビシリと指先を突きつけて、グレンは吠える。突きつけられた指先を眺めて、カトレアが口を開こうとした時、息を切らせたリオウが飛び込んで来た。
「グレンさん!魔物が入って来て、ヒエンさんとナクタさんが……っ!」
ヒビの入った片眼鏡で、リオウはこちらを見遣る2人の視線を順番に見返した。
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