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九章
本当の最期
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喧嘩別れみたいな感じになってしまい、広翔は翌日保健室には寄らなかった。
その次の日は委員会があり、またその次の日は学年でのオリエンテーションがあった。いずれの理由で広翔は保健室に寄らずに帰った。
水やりは、胡桃に任せた。
「お前、避けすぎじゃね」
昼休み、呆れた顔をした璃久から指摘を受けた。
広翔はため息をこぼした。
「どうやって接すればいいのかわからなくなって」
バリリとパンの袋を破る。
「相手からすればさぞ不安だろうなぁ」
「わかってるよ」
璃久の言葉に噛み付くように言い返す。
「わかってねぇよ」
璃久は笑いながら言った。
広翔はキッと璃久を睨んだ。
「お前、その先輩がどんな心境でいるかも分からねぇクソ野郎なクセして、何いっちょ前に理解者のフリしてんだ」
広翔は「何だよそれ」と立ち上がる。
「お前は自分勝手だと自覚しておいて、それをいつか相手にわかってもらえるなんて思ってるからクソ野郎なんだって言ってんの」
憤怒の表情を浮かべたまま、広翔は璃久の襟元を掴んだ。
だが、璃久は挑戦的な目で見つめ返した。
「図星だろ?」
ギリと襟元を掴む手に力が入り──抜けた。
乱れた襟元を整えながら璃久は困ったように笑った。
「お前らは、もっと話し合って決めた方がいいぜ」
パンパンとズボンの汚れを落とし、背を向けた。
「今度こそ後悔しないようにな」
そう言い残し、一人で先に教室へと戻っていった。
一人残された広翔の足元を冷たい風が通り抜けた。
***
混ざりあった感情を抱え家に帰ると、二人揃っていそいそと準備していた。
「ただいま」
声をかけると、結芽さんが「おかえりなさい」と笑いながら言った。
「なんの準備?」
「あら、聞いてなかったの?ちょっと雅也さーん!了承済みって話じゃなかったのー?」
首をねじ曲げ、慌てた様子で雅也に詰め寄る。
「ん?言ったぞ?」
なんの話だ、と広翔は眉を寄せる。
「明後日からお休みが続くから、皆で一足先にイタリアに行くことにしたって、言っただろ?」
──そうだったっけ……。
ぼんやりとした記憶があるばかりで決定的な場面が思い出せない。
というか、これじゃあ、より一層先輩との仲が険悪になりそうだ。
「……広翔君」
結芽は心配そうに広翔を見つめた。
広翔は笑顔を作って「じゃあ俺も準備する」と言った。
その前に、やる事をやっておきたい。
そうして、ラインを開いてメールを打った。
するとすぐに既読がついた。
「既読スルーかな」
苦笑いを浮かべてスマホを放り投げた。
送ったのは出航時間、一足先のイタリア行きの報告。
余計怒らせただろうな、と広翔は枕に顔を埋める。
どうすれば理解し合うことができるのか、既に難しく思えた。というか、むしろ以前よりも意思の疎通が難しく感じた。
「何でだ」
独り言を呟いても返ってはこない。
静寂に包まれた部屋は、広翔を夢の中へと誘った。
「バカね」
目に冷たいものが触れていた。
視界は真っ暗だ。だが、その声は姉のものだとわかる。
「姉さん」
別段特に何も感じていなかったのに、姉の声を聞くとどうしようもなく泣きたくなる。
また会えた、という感情と、もう二度と会えないんだという感情。これはただの夢で、自分の作りだした妄想だと分かってはいても、嬉しいものは嬉しいのだ。
「あなた、本当に女心が分かっていないのね。あなたは自分勝手と言ってるくせに、本当はそんなこと思ってすらいないのよ。あなたはただ瑠璃ちゃんを傷つけているだけに過ぎない。それ以上でも、それ以下でもないのよ」
怒気を含んだ姉の物言いに広翔は怯む。
どうしても姉に対しては強く出れない、弟の性が顔を出す。
「瑠璃ちゃんを二度と泣かせないでよね。女に悲し涙を流させるのはクズ男よ。あんた、男なら嬉し泣きくらいさせなさいよね」
ペシッと額を叩かれ、春海の姿が鮮やかに視界に映る。
──ああ、これが本当に最後なんだ。
なぜかそう実感した。
姉は昔のように優しい笑みを浮かべた。
「もう。これで私生まれ変わるのまーた遅くなっちゃったわ。あれで最期にしようとしてたのに」
広翔もつられて笑顔になる。
「そう言って、まだこっち側にいてくれたくせに。……姉さん。俺は馬鹿だから、人の気持ちは分かっていると勝手に思っていたんだ。でもそうじゃなかったんだ。ちゃんと話す。面と向かって。上手く言えなくても、俺の気持ち話すよ。また、先輩と話し合ってみるよ」
広翔の目から、涙が溢れ出た。
ああ、駄目だ。笑顔で別れようと決めていたのに。どんどん溢れてきて止まらない。肉親との別れがここまで辛いとは思わなかった。だって、今俺には大切な人たちでいっぱいだから。だけど、やはりそういうものではないらしい。
「寂しいよ」
言うつもりのなかった言葉が口から滑り出る。
「行かないで……俺もそっちに行きたい……っ置いて、いかないで……っ」
小さな子どもみたいにしゃくりあげる。
春海は困った顔はしなかった。
代わりに、甘えん坊ねと笑った。
「いいのよ、別に……こっちに来たっていいの。でも、未練はないのね?さっき私に言ったことは全て嘘だったのね?」
広翔は項垂れた。
春海は微笑して「馬鹿ね」ともう一度言った。
「生きてるのは今のあなたに与えられた特権。死者から剥奪されてしまったもの。ちゃんと空から見てるから……ごめんね、一人にして。でもね、生きてさえいれば……人間って、不思議と強くなれる。そうしてくれる存在に会える。これは、私のワガママでもあるけれど」
ふわりと頭を撫でられる。
許してね。大好きよ。ずっと──……。
「……っ姉さん!寂しい、けど。でも俺、姉さんのおかげで今色々あるけど楽しく過ごせてたんだ!これからもきっと、きっとまだ沢山経験したことないものとか感じていくこととか、そういうの全部……全部姉さんたちのおかげなんだ!!感謝してるんだ!嘘じゃないから……っ!!」
流す涙を止められない。男がこんなに泣くなんて、恥ずかしい。
春海は瞳を潤ませ、
「男なら泣くな」
もう戻ることのできない日常で見せていた笑みを浮かべた。
これはきっと全て妄想で、現実のことではないのだろう。だけど、忘れないでいたかった。妄想でも何でもいい。姉との、家族とのやり取りを忘れたくはなかった。
目を覚ますと、歪んだ視界が広がっていた。
ぐにゃぐにゃになったそれを拭って、息をひとつ吐いた。
パシンと両頬を叩く。
意志を固めた表情で、広翔は部屋を飛び出した。
「広翔君?」
驚いた顔の結芽が慌てた様子でキッチンから出てきた。
広翔は「ごめん、結芽さん」と断って清々しい笑みを浮かべた。
「ちょっと急用ができた。イタリアは……今回の、パスでいい?ホントごめん。雅也さんにも謝っておいて」
すると結芽は目を大きく見開き、「まぁ」と声を漏らした。
「飛行機代は、ちゃんとバイトして返すから」
手を合わせて言う広翔に、結芽はくすりと微笑んだ。
「じゃあ広翔君のは、お父さんに譲っちゃうわ」
え、と広翔は目を見開いた。
「もともと、お父さんに孝行したいって話は持ち上がってたの。騙すようなことしてごめんなさいね」
結芽のいたずらっぽい笑みに広翔は困惑した。
「──つまり、イタリア行きってのは嘘だ。ああ、もちろん三月の出張は本当だからな。今回の旅行の話だけだ。広翔君がたいぶ溜め込んでいそうだったから親代わりとして何か言ってやろうと思っていたんだが……その必要は無さそうだな」
結芽の後ろから雅也が現れた。
二人は親の表情をしていた。
広翔はまた潤みそうになる目に力を入れてぐっと堪え、頭を深く下げた。
振り返らずに、広翔は自転車を走らせた。
その次の日は委員会があり、またその次の日は学年でのオリエンテーションがあった。いずれの理由で広翔は保健室に寄らずに帰った。
水やりは、胡桃に任せた。
「お前、避けすぎじゃね」
昼休み、呆れた顔をした璃久から指摘を受けた。
広翔はため息をこぼした。
「どうやって接すればいいのかわからなくなって」
バリリとパンの袋を破る。
「相手からすればさぞ不安だろうなぁ」
「わかってるよ」
璃久の言葉に噛み付くように言い返す。
「わかってねぇよ」
璃久は笑いながら言った。
広翔はキッと璃久を睨んだ。
「お前、その先輩がどんな心境でいるかも分からねぇクソ野郎なクセして、何いっちょ前に理解者のフリしてんだ」
広翔は「何だよそれ」と立ち上がる。
「お前は自分勝手だと自覚しておいて、それをいつか相手にわかってもらえるなんて思ってるからクソ野郎なんだって言ってんの」
憤怒の表情を浮かべたまま、広翔は璃久の襟元を掴んだ。
だが、璃久は挑戦的な目で見つめ返した。
「図星だろ?」
ギリと襟元を掴む手に力が入り──抜けた。
乱れた襟元を整えながら璃久は困ったように笑った。
「お前らは、もっと話し合って決めた方がいいぜ」
パンパンとズボンの汚れを落とし、背を向けた。
「今度こそ後悔しないようにな」
そう言い残し、一人で先に教室へと戻っていった。
一人残された広翔の足元を冷たい風が通り抜けた。
***
混ざりあった感情を抱え家に帰ると、二人揃っていそいそと準備していた。
「ただいま」
声をかけると、結芽さんが「おかえりなさい」と笑いながら言った。
「なんの準備?」
「あら、聞いてなかったの?ちょっと雅也さーん!了承済みって話じゃなかったのー?」
首をねじ曲げ、慌てた様子で雅也に詰め寄る。
「ん?言ったぞ?」
なんの話だ、と広翔は眉を寄せる。
「明後日からお休みが続くから、皆で一足先にイタリアに行くことにしたって、言っただろ?」
──そうだったっけ……。
ぼんやりとした記憶があるばかりで決定的な場面が思い出せない。
というか、これじゃあ、より一層先輩との仲が険悪になりそうだ。
「……広翔君」
結芽は心配そうに広翔を見つめた。
広翔は笑顔を作って「じゃあ俺も準備する」と言った。
その前に、やる事をやっておきたい。
そうして、ラインを開いてメールを打った。
するとすぐに既読がついた。
「既読スルーかな」
苦笑いを浮かべてスマホを放り投げた。
送ったのは出航時間、一足先のイタリア行きの報告。
余計怒らせただろうな、と広翔は枕に顔を埋める。
どうすれば理解し合うことができるのか、既に難しく思えた。というか、むしろ以前よりも意思の疎通が難しく感じた。
「何でだ」
独り言を呟いても返ってはこない。
静寂に包まれた部屋は、広翔を夢の中へと誘った。
「バカね」
目に冷たいものが触れていた。
視界は真っ暗だ。だが、その声は姉のものだとわかる。
「姉さん」
別段特に何も感じていなかったのに、姉の声を聞くとどうしようもなく泣きたくなる。
また会えた、という感情と、もう二度と会えないんだという感情。これはただの夢で、自分の作りだした妄想だと分かってはいても、嬉しいものは嬉しいのだ。
「あなた、本当に女心が分かっていないのね。あなたは自分勝手と言ってるくせに、本当はそんなこと思ってすらいないのよ。あなたはただ瑠璃ちゃんを傷つけているだけに過ぎない。それ以上でも、それ以下でもないのよ」
怒気を含んだ姉の物言いに広翔は怯む。
どうしても姉に対しては強く出れない、弟の性が顔を出す。
「瑠璃ちゃんを二度と泣かせないでよね。女に悲し涙を流させるのはクズ男よ。あんた、男なら嬉し泣きくらいさせなさいよね」
ペシッと額を叩かれ、春海の姿が鮮やかに視界に映る。
──ああ、これが本当に最後なんだ。
なぜかそう実感した。
姉は昔のように優しい笑みを浮かべた。
「もう。これで私生まれ変わるのまーた遅くなっちゃったわ。あれで最期にしようとしてたのに」
広翔もつられて笑顔になる。
「そう言って、まだこっち側にいてくれたくせに。……姉さん。俺は馬鹿だから、人の気持ちは分かっていると勝手に思っていたんだ。でもそうじゃなかったんだ。ちゃんと話す。面と向かって。上手く言えなくても、俺の気持ち話すよ。また、先輩と話し合ってみるよ」
広翔の目から、涙が溢れ出た。
ああ、駄目だ。笑顔で別れようと決めていたのに。どんどん溢れてきて止まらない。肉親との別れがここまで辛いとは思わなかった。だって、今俺には大切な人たちでいっぱいだから。だけど、やはりそういうものではないらしい。
「寂しいよ」
言うつもりのなかった言葉が口から滑り出る。
「行かないで……俺もそっちに行きたい……っ置いて、いかないで……っ」
小さな子どもみたいにしゃくりあげる。
春海は困った顔はしなかった。
代わりに、甘えん坊ねと笑った。
「いいのよ、別に……こっちに来たっていいの。でも、未練はないのね?さっき私に言ったことは全て嘘だったのね?」
広翔は項垂れた。
春海は微笑して「馬鹿ね」ともう一度言った。
「生きてるのは今のあなたに与えられた特権。死者から剥奪されてしまったもの。ちゃんと空から見てるから……ごめんね、一人にして。でもね、生きてさえいれば……人間って、不思議と強くなれる。そうしてくれる存在に会える。これは、私のワガママでもあるけれど」
ふわりと頭を撫でられる。
許してね。大好きよ。ずっと──……。
「……っ姉さん!寂しい、けど。でも俺、姉さんのおかげで今色々あるけど楽しく過ごせてたんだ!これからもきっと、きっとまだ沢山経験したことないものとか感じていくこととか、そういうの全部……全部姉さんたちのおかげなんだ!!感謝してるんだ!嘘じゃないから……っ!!」
流す涙を止められない。男がこんなに泣くなんて、恥ずかしい。
春海は瞳を潤ませ、
「男なら泣くな」
もう戻ることのできない日常で見せていた笑みを浮かべた。
これはきっと全て妄想で、現実のことではないのだろう。だけど、忘れないでいたかった。妄想でも何でもいい。姉との、家族とのやり取りを忘れたくはなかった。
目を覚ますと、歪んだ視界が広がっていた。
ぐにゃぐにゃになったそれを拭って、息をひとつ吐いた。
パシンと両頬を叩く。
意志を固めた表情で、広翔は部屋を飛び出した。
「広翔君?」
驚いた顔の結芽が慌てた様子でキッチンから出てきた。
広翔は「ごめん、結芽さん」と断って清々しい笑みを浮かべた。
「ちょっと急用ができた。イタリアは……今回の、パスでいい?ホントごめん。雅也さんにも謝っておいて」
すると結芽は目を大きく見開き、「まぁ」と声を漏らした。
「飛行機代は、ちゃんとバイトして返すから」
手を合わせて言う広翔に、結芽はくすりと微笑んだ。
「じゃあ広翔君のは、お父さんに譲っちゃうわ」
え、と広翔は目を見開いた。
「もともと、お父さんに孝行したいって話は持ち上がってたの。騙すようなことしてごめんなさいね」
結芽のいたずらっぽい笑みに広翔は困惑した。
「──つまり、イタリア行きってのは嘘だ。ああ、もちろん三月の出張は本当だからな。今回の旅行の話だけだ。広翔君がたいぶ溜め込んでいそうだったから親代わりとして何か言ってやろうと思っていたんだが……その必要は無さそうだな」
結芽の後ろから雅也が現れた。
二人は親の表情をしていた。
広翔はまた潤みそうになる目に力を入れてぐっと堪え、頭を深く下げた。
振り返らずに、広翔は自転車を走らせた。
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