25 / 59
五章
事件の記憶<前編>
しおりを挟む ゼルマがみんなに受け入れられてから数日が経った。
エーアストから移住してきたパルレさんは、このテンプルムでも冒険者ギルド職員に就職し、毎日元気に働いている。
今までの経験も活かせるし、総合ギルド長のヨシュアさんにもパルレさんのことはよろしく伝えておいたので、今後も安心して仕事ができるはず。
すでにここでの生活にもすっかり慣れたようだ。
エイミーさんも就職場所が決まったので、近々カイダからこっちへ引っ越すための作業をする予定だ。
これは僕も手伝うので、それほど困難ではないだろう。荷物は全部『空間転移』で持ってきちゃうしね。
ちなみに、エイミーさんが選んだ職業は料理人だ。
僕らがカイダ国を出たあと、エイミーさんは料理を一生懸命勉強していたら、なんと『料理』スキルを習得することができたらしい。
よほどの根気と才能がなければ技能スキルは出てこないのに、それを数ヶ月で習得するなんて、相当頑張ったんだと思う。
まだレベル1らしいけど、スキル持ちはその道では食いっぱぐれることはないので、これも問題なく暮らせるだろう。
そして今日もゼルマのもとに、血を飲ませに訪れた。
みんなにバレてからは、吸血行為は1日置きにしてもらったので、2日ぶりの血にゼルマは喉を鳴らして飲んでいる。
「飲み放題と言ったのに、1日置きにしちゃって申し訳ないね」
「ふん、きひゃまの血にゃど、別に3日おひでも問題にゃいわ!」
あ、いらないとは言わないんですね。それに、3日置きでは問題ないけど、4日置きだと不満があるのかな。
相変わらずツンツンと強がってはいるけど、一応少しは素直になっているんだろうか?
「……ふー満足したぞ。しかし小僧、貴様女たらしのくせに、あの下女どもに頭が上がらぬようではないか。だらしのない男だ」
「彼女たちは下女じゃなくて仲間だよ。それに、頭が上がらないってわけじゃ……」
いや、これは当たってるか。
実際、彼女たちには全然頭が上がらないもんな。
「全く、貴様はいったいどういう勇者なのだ。弱くはないようだが、貴様の力がサッパリ分からぬ。まあ女たちにこき使われてるようでは、まだまだ未熟者だな」
「はい、仰る通りで……精進します」
うう、するどい指摘に、もはや逆らう気力も起こらない。薄々自分でも気付いてたけど、僕には亭主関白は無理だろうな。
カインやイザヤみたいな、女性に対するあの自信って、どうやったら身につくんだろう?
そういえば、父さんも母さんの尻に敷かれているような感じだし、女性に弱いのは僕の血筋なのかもしれない。
そうだ、両親といえば……。
「ねえゼルマ、キミのお父さんやお母さんは生きてるの? 復活してから会いには行ったかい?」
封印されている間に長い年月が経ってしまって、ゼルマも家族のことが気になっているんじゃないかと。
「親のことなど知らぬ。ワシが封印される前は生きとったが、あれから3000年も経てば、すでに討ち倒されているやもしれぬな」
「ええっ!? 気にならないの?」
「ワシら吸血鬼一族は、血縁者に対してそれほど情は感じぬ。子も数百年に一度しか生まぬし、基本的には単独で生きていく。よって、親といえどもほとんど他人同然だ。ワシの故郷はここよりかなり遠方ゆえ、確かめに行くのも億劫だしな」
なるほど……その辺は人間の常識には当てはまらないんだろうな。
不死ならではの感覚なのかも。
もしも吸血鬼が情に厚くて、一族で結託してどんどん子を増やして襲ってきていたら、人類はとっくに滅んでいたかもしれないな。
「それじゃあゼルマ、また2日後に来るよ」
「あ、ああ、分かった。だがその、なんだ、血を飲む以外でも……」
「え? なに?」
「……いや、なんでもない。2日後でもなんでも好きに来るがよい。べ、別に明日でもワシは構わんがな、ひ、ひまだから相手をしてやってもよいぞ」
「……? よく分からないけど明後日でOKだね? それじゃあ」
「ちょ、まっ……そ、だっ……おぅ……なっ、こ……ほうぅ」
ゼルマはなんかオロオロとしながら落ち着かない様子でモゴモゴ言ってるけど、あまり長居しないようにしてるので、さっさと帰ろう。
っとその前に、せっかくだから1ヶ所だけ寄り道していくか。
◇◇◇
「ユーリ様、またいらしてくださいね」
帰り掛けに寄ったのは、以前山賊から救い出した女性たちが住んでいるところだ。
ゼルマの住居からそれほど遠くないので、ついでに顔を出すことにした。まあ眷女のみんなも連れて、度々様子を見に来てはいるけどね。
女性たちには農地を与えて、そこで国家として依頼した作物を作ってもらっている。
収穫に特化したゴーレムも渡してあるので、作業的には問題ないとは思うけど、男手が一切ないので少々心配なんだよね。
山賊に囚われていた頃と違って、女性たちはすっかり健康と美しさを取り戻しているので、そろそろ旦那さんを持ってもいいとは思うんだけど……。
彼女たちは相当酷い目に遭わされたので、少なからず男性恐怖症になっているのではないだろうか。
心の傷が癒えるまでまだまだ時間が掛かるかもしれないけど、いずれいい人を見つけて幸せな家庭を築けることを祈ってる。
さて、用事も済ませたし王城に帰ろうかと思ったところ、少し離れた場所をてくてくと歩く5~6歳くらいの少女が視界に入った。
少女はアピよりも小さい100センチ程度の身長で、オレンジ色の髪を2本の三つ編みにして垂らしている。
こんな街外れで、小さな子が1人で行動していることにも驚いたが、それよりも目に付いたのはその背中だ。
その少女は、自分の身体よりも大きな荷物を背負って歩いていたのだ。
こんな子が背負えているんだから中身は軽いんだろうけど、それにしても見た目のインパクトは大きい。
こんな大荷物を背負って、いったいどこへ行こうとしているのか。
そのまま立ち去るのも薄情な気がしたので、少女に声を掛けてみようとしたところ……。
「あうっ!」
少女が躓いて転んでしまった。
前方に倒れ込んだ少女の背に、大きな荷物がのし掛かる。
「キミっ、大丈夫かい!?」
僕は慌てて少女へと駆け寄る。
そこで僕は再び驚いてしまった。
転んだ拍子に少女の荷物から飛び出たその中身は、なんと多数の剣だった!
その数ざっと30本。それが少女の頭部を覆い隠すように散らばっている。
剣は通常サイズよりも大きいくらいで、どう見てもこんな小さな子が背負えるような重さじゃないぞ?
荷袋に軽量化の魔法も掛かっている様子はないし、どうなってるんだ?
とりあえず、僕は落ちた剣を拾い集める。
あ、これミスリル製だ! なるほど、見た目よりはだいぶ軽いのか。
それでも、この本数をこんな少女が背負うのは相当キツいはず。ましてや歩いて移動するなんて、ちょっと信じられない。
目的地は近くなのかな?
「うう~あたいとしたことがとんだ失態を。あ、拾ってくれてすまないでしゅ」
「キミ、こんなにたくさん剣を持ってどこに行くの? 良かったら運ぶの手伝うよ?」
「だ、大丈夫でしゅ。どうぞお構いなくでしゅ」
少女はそそくさと剣を受け取りながら、僕の申し出を断ってきた。
少し迷惑そうにしてるから、1人で運ばなくちゃいけない理由でもあるのかもしれないけど、ちょっと気になるところだ。
それにしても、これほどミスリル製の剣を持ってるなんてすごいな。
安いお店で買ったとしても、相当な金額になるぞ。こんな子供に運ばせるにしては、あまりにも高価すぎる。
それに、剣自体の出来もなかなか素晴らしく……って、ちょっと待て!
「これ、ドマ・ギンガイムの剣じゃないの!?」
僕は思わず叫んでしまった。
数十年にわたって超一流の剣を作り続けたという、謎の天才鍛冶師ドマ・ギンガイム。
解析してみると、やはりそのドマ・ギンガイム作の剣だった。それも30本全部だ。
こんな少女が、ドマ・ギンガイムの剣を大量に持ち歩いてるなんて!?
「ぼ、坊主っ、なぜそれを!? い、いや、なんでもないでしゅ、拾ってくれてありがとでしゅ」
「あ、待って!」
少女は剣を全部受け取ると、急いで走り去っていく。
あの重さの荷物を背負っているのに、とんでもない速さだ。
これはさすがに普通じゃないな。間違いなくただの子供ではないだろう。
どうも何かを隠したいようだし、色々と気になることもある。
ひょっとして、ドマ・ギンガイムさんと何か関係のある子なのでは?
ストーカーみたいで申し訳ないが、こっそりあとを尾けてみよう。
エーアストから移住してきたパルレさんは、このテンプルムでも冒険者ギルド職員に就職し、毎日元気に働いている。
今までの経験も活かせるし、総合ギルド長のヨシュアさんにもパルレさんのことはよろしく伝えておいたので、今後も安心して仕事ができるはず。
すでにここでの生活にもすっかり慣れたようだ。
エイミーさんも就職場所が決まったので、近々カイダからこっちへ引っ越すための作業をする予定だ。
これは僕も手伝うので、それほど困難ではないだろう。荷物は全部『空間転移』で持ってきちゃうしね。
ちなみに、エイミーさんが選んだ職業は料理人だ。
僕らがカイダ国を出たあと、エイミーさんは料理を一生懸命勉強していたら、なんと『料理』スキルを習得することができたらしい。
よほどの根気と才能がなければ技能スキルは出てこないのに、それを数ヶ月で習得するなんて、相当頑張ったんだと思う。
まだレベル1らしいけど、スキル持ちはその道では食いっぱぐれることはないので、これも問題なく暮らせるだろう。
そして今日もゼルマのもとに、血を飲ませに訪れた。
みんなにバレてからは、吸血行為は1日置きにしてもらったので、2日ぶりの血にゼルマは喉を鳴らして飲んでいる。
「飲み放題と言ったのに、1日置きにしちゃって申し訳ないね」
「ふん、きひゃまの血にゃど、別に3日おひでも問題にゃいわ!」
あ、いらないとは言わないんですね。それに、3日置きでは問題ないけど、4日置きだと不満があるのかな。
相変わらずツンツンと強がってはいるけど、一応少しは素直になっているんだろうか?
「……ふー満足したぞ。しかし小僧、貴様女たらしのくせに、あの下女どもに頭が上がらぬようではないか。だらしのない男だ」
「彼女たちは下女じゃなくて仲間だよ。それに、頭が上がらないってわけじゃ……」
いや、これは当たってるか。
実際、彼女たちには全然頭が上がらないもんな。
「全く、貴様はいったいどういう勇者なのだ。弱くはないようだが、貴様の力がサッパリ分からぬ。まあ女たちにこき使われてるようでは、まだまだ未熟者だな」
「はい、仰る通りで……精進します」
うう、するどい指摘に、もはや逆らう気力も起こらない。薄々自分でも気付いてたけど、僕には亭主関白は無理だろうな。
カインやイザヤみたいな、女性に対するあの自信って、どうやったら身につくんだろう?
そういえば、父さんも母さんの尻に敷かれているような感じだし、女性に弱いのは僕の血筋なのかもしれない。
そうだ、両親といえば……。
「ねえゼルマ、キミのお父さんやお母さんは生きてるの? 復活してから会いには行ったかい?」
封印されている間に長い年月が経ってしまって、ゼルマも家族のことが気になっているんじゃないかと。
「親のことなど知らぬ。ワシが封印される前は生きとったが、あれから3000年も経てば、すでに討ち倒されているやもしれぬな」
「ええっ!? 気にならないの?」
「ワシら吸血鬼一族は、血縁者に対してそれほど情は感じぬ。子も数百年に一度しか生まぬし、基本的には単独で生きていく。よって、親といえどもほとんど他人同然だ。ワシの故郷はここよりかなり遠方ゆえ、確かめに行くのも億劫だしな」
なるほど……その辺は人間の常識には当てはまらないんだろうな。
不死ならではの感覚なのかも。
もしも吸血鬼が情に厚くて、一族で結託してどんどん子を増やして襲ってきていたら、人類はとっくに滅んでいたかもしれないな。
「それじゃあゼルマ、また2日後に来るよ」
「あ、ああ、分かった。だがその、なんだ、血を飲む以外でも……」
「え? なに?」
「……いや、なんでもない。2日後でもなんでも好きに来るがよい。べ、別に明日でもワシは構わんがな、ひ、ひまだから相手をしてやってもよいぞ」
「……? よく分からないけど明後日でOKだね? それじゃあ」
「ちょ、まっ……そ、だっ……おぅ……なっ、こ……ほうぅ」
ゼルマはなんかオロオロとしながら落ち着かない様子でモゴモゴ言ってるけど、あまり長居しないようにしてるので、さっさと帰ろう。
っとその前に、せっかくだから1ヶ所だけ寄り道していくか。
◇◇◇
「ユーリ様、またいらしてくださいね」
帰り掛けに寄ったのは、以前山賊から救い出した女性たちが住んでいるところだ。
ゼルマの住居からそれほど遠くないので、ついでに顔を出すことにした。まあ眷女のみんなも連れて、度々様子を見に来てはいるけどね。
女性たちには農地を与えて、そこで国家として依頼した作物を作ってもらっている。
収穫に特化したゴーレムも渡してあるので、作業的には問題ないとは思うけど、男手が一切ないので少々心配なんだよね。
山賊に囚われていた頃と違って、女性たちはすっかり健康と美しさを取り戻しているので、そろそろ旦那さんを持ってもいいとは思うんだけど……。
彼女たちは相当酷い目に遭わされたので、少なからず男性恐怖症になっているのではないだろうか。
心の傷が癒えるまでまだまだ時間が掛かるかもしれないけど、いずれいい人を見つけて幸せな家庭を築けることを祈ってる。
さて、用事も済ませたし王城に帰ろうかと思ったところ、少し離れた場所をてくてくと歩く5~6歳くらいの少女が視界に入った。
少女はアピよりも小さい100センチ程度の身長で、オレンジ色の髪を2本の三つ編みにして垂らしている。
こんな街外れで、小さな子が1人で行動していることにも驚いたが、それよりも目に付いたのはその背中だ。
その少女は、自分の身体よりも大きな荷物を背負って歩いていたのだ。
こんな子が背負えているんだから中身は軽いんだろうけど、それにしても見た目のインパクトは大きい。
こんな大荷物を背負って、いったいどこへ行こうとしているのか。
そのまま立ち去るのも薄情な気がしたので、少女に声を掛けてみようとしたところ……。
「あうっ!」
少女が躓いて転んでしまった。
前方に倒れ込んだ少女の背に、大きな荷物がのし掛かる。
「キミっ、大丈夫かい!?」
僕は慌てて少女へと駆け寄る。
そこで僕は再び驚いてしまった。
転んだ拍子に少女の荷物から飛び出たその中身は、なんと多数の剣だった!
その数ざっと30本。それが少女の頭部を覆い隠すように散らばっている。
剣は通常サイズよりも大きいくらいで、どう見てもこんな小さな子が背負えるような重さじゃないぞ?
荷袋に軽量化の魔法も掛かっている様子はないし、どうなってるんだ?
とりあえず、僕は落ちた剣を拾い集める。
あ、これミスリル製だ! なるほど、見た目よりはだいぶ軽いのか。
それでも、この本数をこんな少女が背負うのは相当キツいはず。ましてや歩いて移動するなんて、ちょっと信じられない。
目的地は近くなのかな?
「うう~あたいとしたことがとんだ失態を。あ、拾ってくれてすまないでしゅ」
「キミ、こんなにたくさん剣を持ってどこに行くの? 良かったら運ぶの手伝うよ?」
「だ、大丈夫でしゅ。どうぞお構いなくでしゅ」
少女はそそくさと剣を受け取りながら、僕の申し出を断ってきた。
少し迷惑そうにしてるから、1人で運ばなくちゃいけない理由でもあるのかもしれないけど、ちょっと気になるところだ。
それにしても、これほどミスリル製の剣を持ってるなんてすごいな。
安いお店で買ったとしても、相当な金額になるぞ。こんな子供に運ばせるにしては、あまりにも高価すぎる。
それに、剣自体の出来もなかなか素晴らしく……って、ちょっと待て!
「これ、ドマ・ギンガイムの剣じゃないの!?」
僕は思わず叫んでしまった。
数十年にわたって超一流の剣を作り続けたという、謎の天才鍛冶師ドマ・ギンガイム。
解析してみると、やはりそのドマ・ギンガイム作の剣だった。それも30本全部だ。
こんな少女が、ドマ・ギンガイムの剣を大量に持ち歩いてるなんて!?
「ぼ、坊主っ、なぜそれを!? い、いや、なんでもないでしゅ、拾ってくれてありがとでしゅ」
「あ、待って!」
少女は剣を全部受け取ると、急いで走り去っていく。
あの重さの荷物を背負っているのに、とんでもない速さだ。
これはさすがに普通じゃないな。間違いなくただの子供ではないだろう。
どうも何かを隠したいようだし、色々と気になることもある。
ひょっとして、ドマ・ギンガイムさんと何か関係のある子なのでは?
ストーカーみたいで申し訳ないが、こっそりあとを尾けてみよう。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説

命のその先で、また会いましょう
春野 安芸
青春
【死んだら美少女が迎えてくれました。せっかくなので死後の世界を旅します】
彼――――煌司が目覚めた場所は、果てしなく続く草原だった。
風に揺れて金色に光る草々が揺れる不思議な場所。稲穂でもなく黄金草でもない。現実に存在するとは思えないような不思議な場所。
腕を抓っても何も感じない。痛覚も何もない空間。それはさながら夢のよう。
夢と思っても目覚めることはできない。まさに永久の牢獄。
彼はそんな世界に降り立っていた。
そんな時、彼の前に一人の少女が現れる。
不思議な空間としてはやけに俗世的なピンクと青のメッシュの髪を持つ少女、祈愛
訳知り顔な彼女は俺を迎え入れるように告げる。
「君はついさっき、頭をぶつけて死んじゃったんだもん」
突如として突きつけられる"死"という言葉。煌司は信じられない世界に戸惑いつつも魂が集まる不思議な世界を旅していく。
死者と出会い、成長し、これまで知らなかった真実に直面した時、彼はたどり着いた先で選択を迫られる。
このまま輪廻の輪に入って成仏するか、それとも――――

「南風の頃に」~ノダケンとその仲間達~
kitamitio
青春
合格するはずのなかった札幌の超難関高に入学してしまった野球少年の野田賢治は、野球部員たちの執拗な勧誘を逃れ陸上部に入部する。北海道の海沿いの田舎町で育った彼は仲間たちの優秀さに引け目を感じる生活を送っていたが、長年続けて来た野球との違いに戸惑いながらも陸上競技にのめりこんでいく。「自主自律」を校訓とする私服の学校に敢えて詰襟の学生服を着ていくことで自分自身の存在を主張しようとしていた野田賢治。それでも新しい仲間が広がっていく中で少しずつ変わっていくものがあった。そして、隠していた野田賢治自身の過去について少しずつ知らされていく……。

後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
ヤマネ姫の幸福論
ふくろう
青春
秋の長野行き中央本線、特急あずさの座席に座る一組の男女。
一見、恋人同士に見えるが、これが最初で最後の二人の旅行になるかもしれない。
彼らは霧ヶ峰高原に、「森の妖精」と呼ばれる小動物の棲み家を訪ね、夢のように楽しい二日間を過ごす。
しかし、運命の時は、刻一刻と迫っていた。
主人公達の恋の行方、霧ヶ峰の生き物のお話に添えて、世界中で愛されてきた好編「幸福論」を交え、お読みいただける方に、少しでも清々しく、優しい気持ちになっていただけますよう、精一杯、書いてます!
どうぞ、よろしくお願いいたします!

幼馴染が家出したので、僕と同居生活することになったのだが。
四乃森ゆいな
青春
とある事情で一人暮らしをしている僕──和泉湊はある日、幼馴染でクラスメイト、更には『女神様』と崇められている美少女、真城美桜を拾うことに……?
どうやら何か事情があるらしく、頑なに喋ろうとしない美桜。普段は無愛想で、人との距離感が異常に遠い彼女だが、何故か僕にだけは世話焼きになり……挙句には、
「私と同棲してください!」
「要求が増えてますよ!」
意味のわからない同棲宣言をされてしまう。
とりあえず同居するという形で、居候することになった美桜は、家事から僕の宿題を見たりと、高校生らしい生活をしていくこととなる。
中学生の頃から疎遠気味だったために、空いていた互いの時間が徐々に埋まっていき、お互いに知らない自分を曝け出していく中──女神様は何でもない『日常』を、僕の隣で歩んでいく。
無愛想だけど僕にだけ本性をみせる女神様 × ワケあり陰キャぼっちの幼馴染が送る、半同棲な同居生活ラブコメ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる