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一章
祖父
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家に帰るとすぐ、結芽が「ヒロ君」と駆け寄ってきた。顔色があまり良くない。
「おかえりなさい」
結芽は言いながらそわそわと手を動かしていた。
「結芽さん……どうしたの」
叔母の挙動不審さに、この人は嘘をつくとすぐバレそうだな、と関係ないことをぼんやり思った。
「ええっと……その、今日は璃久君と一緒にご飯食べてきたら?」
話の脈絡のなさに、眉をひそめる。
「夕飯できてないの?気にしなくても俺作るよ」
と気遣う広翔に、結芽はかぶりを振る。
「そういうわけじゃ、なくて……取り敢えず、今は璃久君のお家に」
と、言いかけた時だった。
「結芽」
低い渋い声が玄関まで響く。
肩がビクリと跳ねた。
結芽が心配そうな目で広翔を見つめる。
「結芽、居ないのか」
「はぁい。今行きます」
結芽が声を張り上げた。
「ヒロ君、璃久君のお家には事情を話してあるから……行ってきなさい」
結芽はポン、と肩を叩いた。
「結芽」
今度は大声とまではいかないが、苛立ったような声だ。
「……結芽、さん。じゃあ、行ってきます」
「ええ。あとでLINEするから、安心して」
そう言って結芽は柔らかい笑みを浮かべ、軽く広翔を抱きしめた。
「じゃあ」
結芽はパタパタと廊下を走り、リビングの戸を開けた。
「どこへ行っていた」
「ええ、ちょっと買い物に」
音を立てないように、広翔はそっと玄関の戸を閉めた。閉めて、璃久の家へと走った。
「お父さん、いきなりどうしたのですか」
結芽は当たり障りのないよう気を使いながら話しかけた。
「なんだ。来てはいけなかったのか」
少しムッとしたように声の主──高橋唯史が答えた。
「まさか。歓迎いたしますわ。ですが、お父さんがこちらへ足を運ぶなんて無かったことですし。気になるのは仕方の無いことかと」
「なに、娘の様子を見に来ただけだ。……雅也君は居ないのか」
辺りを見回して姿を探す。
「ああ、雅也さんは出張ですよ」
「そうか。……あいつは?」
「お友達のお家ですよ。今日は夕ご飯も食べてくるらしいですよ」
結芽は寂しげにそう言った。
「……お父さん。いい加減に広翔君を……──」
「あいつの名を出すなと何度言ったらわかるんだお前は!!」
唯史が声を荒らげ、和やかだった雰囲気は一変した。
「ですが」
反駁しようとする結芽を睨みつけ、
「お前まであいつの味方か!?」
癇癪を起こしたような態度に、結芽は言葉を紡げず押し黙る。
「……お茶、入れます」
重い空気が拭われることはなく、時間が過ぎる。
──どうして、こうなってしまったの。
結芽は、湯気の立つヤカンをぼうっと見ながら物思いにふけった。
以前は仲の良い家族だったのに、と。
シュンシュンと音を立てるヤカンと、新聞を広げるバサバサという音だけが室内に広がっていた。
***
「やっぱ来たか」
璃久はそう言いながら中へ入るよう促した。
「ごめん。祖父が、来てて」
「聞いたって。気にすんな。……仕方ないんだから」
璃久の言葉に、頷くことは出来なかった。
「あらあら広翔君!久しぶりねぇ」
満面の笑みで近づいてきたのは璃久の母親の莉乃だった。
「お久しぶりです。突然すみません」
頭を下げると、「やだやめてよ」と広翔は肩を叩かれる。
「今更そんなこと気にしないでよ。お祖父さんは、悪い人ではないけれど……。広翔君に今は、会わない方がいいと思うし」
とにかく気にしないことね、と莉乃は軽く笑った。
広翔は、物心着いた時から叔父夫婦の家に居た。
そのことに特に違和感を感じていなかった。欠けたモノに気づいていなかった。いや、気づきたくなかった。違和感が記憶と化したのは、中学生の時のあの落下事故の時だった。
──自分には両親がいて、二人とも火事で亡くなった。
その事実が、記憶となって頭に刻み込まれた。
その際、病院での出来事も少し思い出していた。
「お前のせいで!お前のせいで 智美は死んだんだ!!」
涙を流しながら泣き叫んだのは他でもない、祖父の唯史だった。
「お前が死ねばよかったんだ!なんで智美が……!!お前が、なんで智美が死んでお前だけ生きている!!××と一緒にお前も死ねば……!!××は一緒に逝ったのに·····!!なぜお前だけが生き残ったぁぁぁ!!」
──お前のせいで。
その言葉は、まだ幼い広翔の精神を破壊させるほどの暴言だった。その暴言によるショックで、広翔の脳は記憶を隠蔽した。
長らく開かれることがなかったその扉は、物理的ショックによりこじ開けられたのだ。
だが、それが記憶の総てではなかった。虚ろにしか覚えてない上に、叔母の発言。そのふたつが相まって、確信へと導いた。
祖父はその見舞い以降姿を見せなかったのだが、今日また目の前に現れた。
平常心を保てる自信がなかった。
存在を否定されるのが、生きていることを否定されるのが辛かった。
──だから逃げた。
「おい、広翔」
目の前で璃久が手を振っていた。
「ぼーっとしてたな。大丈夫か?」
「あ、ああ」
はっと我に返ると、目の前には野菜炒めと具沢山の味噌汁、炊きたての白米が椀に盛られていた。
「年盛りの男の子の食欲って凄いからねぇ。遠慮しないで食べてね」
莉乃はそう言って屈託のない笑みを浮かべた。
笑った顔が璃久によく似ていた。
「いただきます」
そっと食べ物を口に運ぶ。温かい感触が喉を通り、無意識に息をついた。
「おいしいです。すごく」
莉乃に目線を向け、戸惑った。
莉乃は泣いていた。
「母さん」
璃久がガタッと立ち上がる。
「ちが、違うの。悲しいとか、そういうのじゃなくて……ごめんなさい突然。広翔君が、ここに居るのが、懐かしくて。感極まったって言うのかしらね。また、笑えてて……よかった」
そう言って莉乃はポロポロと涙を零した。
「おいおい、お前まで泣くなよ」
璃久の言葉で初めて自分が泣いていることに気づいた。
「あ、いや……これは」
ごしごしと袖で涙を拭う広翔に、莉乃にハンカチを差し出した。
「ありがとうございます」
穏やかな声色で莉乃に感謝を述べた。
「ありがとうございます。俺の事見ててくれて。気に、かけてくれて。昔から、ずっと。璃久や莉乃さんが支えてきてくれたから……居て、くれたから、俺は今笑えてます」
心配いっぱいかけて、すみません。広翔はそう言ってくしゃりと笑った。
「……俺、まだ祖父とは向き合えません。だけど、だけど、近いうち話せたら、って思えました。」
「いいのよ、ゆっくりで」
ゆっくりでいいの。首を横に振りながら莉乃は続ける。
「広翔君一人の問題じゃない。あなただけが責められる理由もない。……記憶を、無理に取り戻す必要も無い。だけどあなたがそう決めたのなら……記憶を手に入れたいと望むのなら、私達は何も出来ないかもだけど、あなたを支える。見限ったりはしないわ。約束する」
莉乃は言い終わると、安心させるように柔らかく微笑んだ。
「あなたは、一人じゃないのよ」
***
「……心配させてたんだな」
「は?」
夕飯を食べ終えると、二人は近くのコンビニへと向かった。その道のりの途中、広翔が呟いた。
「俺、自分のことで一杯で。……心配、かけてたんだな。莉乃さんにも、璃久にも。」
「今更すぎるだろ」
容赦のない璃久の言葉が一刀両断する。
「心配なんて、こっちが勝手にしてるんだ。それにそんなこと言ったら、結芽さんや雅也さんはもっとお前のこと気にしてるだろ」
璃久の言葉に、ふっと二人が脳裏に浮かぶ。
いつも笑って、温かく迎えてくれる人達。
「そうだな」
なんでいつも忘れてしまうんだろう。
あんなに大切にしてもらっていても、心配をかけていても、忘れてしまうんだろう。
「璃久」
「なんだよ」
「ありがとう」
馬鹿じゃねーの、と璃久は言った。
「今更だろ」
そう言った璃久の表情には、晴れ晴れとした笑顔が広がっていた。
ブーーっと広翔のスマホが音を立てた。
「結芽さんじゃん?」
そう言った璃久の言葉は当たっていた。
【お祖父さんを今から駅まで送ります】
「んじゃ、アイス買って食べて帰ったらちょうどいいんじゃん?」
ラインを覗き込んだ璃久が「早くいこーぜ」と広翔を促す。
「ああ」
【了解です。コンビニ寄ってから帰ります】
返信し、璃久の待つコンビニまで駆け足で行った。
「おかえりなさい」
結芽は言いながらそわそわと手を動かしていた。
「結芽さん……どうしたの」
叔母の挙動不審さに、この人は嘘をつくとすぐバレそうだな、と関係ないことをぼんやり思った。
「ええっと……その、今日は璃久君と一緒にご飯食べてきたら?」
話の脈絡のなさに、眉をひそめる。
「夕飯できてないの?気にしなくても俺作るよ」
と気遣う広翔に、結芽はかぶりを振る。
「そういうわけじゃ、なくて……取り敢えず、今は璃久君のお家に」
と、言いかけた時だった。
「結芽」
低い渋い声が玄関まで響く。
肩がビクリと跳ねた。
結芽が心配そうな目で広翔を見つめる。
「結芽、居ないのか」
「はぁい。今行きます」
結芽が声を張り上げた。
「ヒロ君、璃久君のお家には事情を話してあるから……行ってきなさい」
結芽はポン、と肩を叩いた。
「結芽」
今度は大声とまではいかないが、苛立ったような声だ。
「……結芽、さん。じゃあ、行ってきます」
「ええ。あとでLINEするから、安心して」
そう言って結芽は柔らかい笑みを浮かべ、軽く広翔を抱きしめた。
「じゃあ」
結芽はパタパタと廊下を走り、リビングの戸を開けた。
「どこへ行っていた」
「ええ、ちょっと買い物に」
音を立てないように、広翔はそっと玄関の戸を閉めた。閉めて、璃久の家へと走った。
「お父さん、いきなりどうしたのですか」
結芽は当たり障りのないよう気を使いながら話しかけた。
「なんだ。来てはいけなかったのか」
少しムッとしたように声の主──高橋唯史が答えた。
「まさか。歓迎いたしますわ。ですが、お父さんがこちらへ足を運ぶなんて無かったことですし。気になるのは仕方の無いことかと」
「なに、娘の様子を見に来ただけだ。……雅也君は居ないのか」
辺りを見回して姿を探す。
「ああ、雅也さんは出張ですよ」
「そうか。……あいつは?」
「お友達のお家ですよ。今日は夕ご飯も食べてくるらしいですよ」
結芽は寂しげにそう言った。
「……お父さん。いい加減に広翔君を……──」
「あいつの名を出すなと何度言ったらわかるんだお前は!!」
唯史が声を荒らげ、和やかだった雰囲気は一変した。
「ですが」
反駁しようとする結芽を睨みつけ、
「お前まであいつの味方か!?」
癇癪を起こしたような態度に、結芽は言葉を紡げず押し黙る。
「……お茶、入れます」
重い空気が拭われることはなく、時間が過ぎる。
──どうして、こうなってしまったの。
結芽は、湯気の立つヤカンをぼうっと見ながら物思いにふけった。
以前は仲の良い家族だったのに、と。
シュンシュンと音を立てるヤカンと、新聞を広げるバサバサという音だけが室内に広がっていた。
***
「やっぱ来たか」
璃久はそう言いながら中へ入るよう促した。
「ごめん。祖父が、来てて」
「聞いたって。気にすんな。……仕方ないんだから」
璃久の言葉に、頷くことは出来なかった。
「あらあら広翔君!久しぶりねぇ」
満面の笑みで近づいてきたのは璃久の母親の莉乃だった。
「お久しぶりです。突然すみません」
頭を下げると、「やだやめてよ」と広翔は肩を叩かれる。
「今更そんなこと気にしないでよ。お祖父さんは、悪い人ではないけれど……。広翔君に今は、会わない方がいいと思うし」
とにかく気にしないことね、と莉乃は軽く笑った。
広翔は、物心着いた時から叔父夫婦の家に居た。
そのことに特に違和感を感じていなかった。欠けたモノに気づいていなかった。いや、気づきたくなかった。違和感が記憶と化したのは、中学生の時のあの落下事故の時だった。
──自分には両親がいて、二人とも火事で亡くなった。
その事実が、記憶となって頭に刻み込まれた。
その際、病院での出来事も少し思い出していた。
「お前のせいで!お前のせいで 智美は死んだんだ!!」
涙を流しながら泣き叫んだのは他でもない、祖父の唯史だった。
「お前が死ねばよかったんだ!なんで智美が……!!お前が、なんで智美が死んでお前だけ生きている!!××と一緒にお前も死ねば……!!××は一緒に逝ったのに·····!!なぜお前だけが生き残ったぁぁぁ!!」
──お前のせいで。
その言葉は、まだ幼い広翔の精神を破壊させるほどの暴言だった。その暴言によるショックで、広翔の脳は記憶を隠蔽した。
長らく開かれることがなかったその扉は、物理的ショックによりこじ開けられたのだ。
だが、それが記憶の総てではなかった。虚ろにしか覚えてない上に、叔母の発言。そのふたつが相まって、確信へと導いた。
祖父はその見舞い以降姿を見せなかったのだが、今日また目の前に現れた。
平常心を保てる自信がなかった。
存在を否定されるのが、生きていることを否定されるのが辛かった。
──だから逃げた。
「おい、広翔」
目の前で璃久が手を振っていた。
「ぼーっとしてたな。大丈夫か?」
「あ、ああ」
はっと我に返ると、目の前には野菜炒めと具沢山の味噌汁、炊きたての白米が椀に盛られていた。
「年盛りの男の子の食欲って凄いからねぇ。遠慮しないで食べてね」
莉乃はそう言って屈託のない笑みを浮かべた。
笑った顔が璃久によく似ていた。
「いただきます」
そっと食べ物を口に運ぶ。温かい感触が喉を通り、無意識に息をついた。
「おいしいです。すごく」
莉乃に目線を向け、戸惑った。
莉乃は泣いていた。
「母さん」
璃久がガタッと立ち上がる。
「ちが、違うの。悲しいとか、そういうのじゃなくて……ごめんなさい突然。広翔君が、ここに居るのが、懐かしくて。感極まったって言うのかしらね。また、笑えてて……よかった」
そう言って莉乃はポロポロと涙を零した。
「おいおい、お前まで泣くなよ」
璃久の言葉で初めて自分が泣いていることに気づいた。
「あ、いや……これは」
ごしごしと袖で涙を拭う広翔に、莉乃にハンカチを差し出した。
「ありがとうございます」
穏やかな声色で莉乃に感謝を述べた。
「ありがとうございます。俺の事見ててくれて。気に、かけてくれて。昔から、ずっと。璃久や莉乃さんが支えてきてくれたから……居て、くれたから、俺は今笑えてます」
心配いっぱいかけて、すみません。広翔はそう言ってくしゃりと笑った。
「……俺、まだ祖父とは向き合えません。だけど、だけど、近いうち話せたら、って思えました。」
「いいのよ、ゆっくりで」
ゆっくりでいいの。首を横に振りながら莉乃は続ける。
「広翔君一人の問題じゃない。あなただけが責められる理由もない。……記憶を、無理に取り戻す必要も無い。だけどあなたがそう決めたのなら……記憶を手に入れたいと望むのなら、私達は何も出来ないかもだけど、あなたを支える。見限ったりはしないわ。約束する」
莉乃は言い終わると、安心させるように柔らかく微笑んだ。
「あなたは、一人じゃないのよ」
***
「……心配させてたんだな」
「は?」
夕飯を食べ終えると、二人は近くのコンビニへと向かった。その道のりの途中、広翔が呟いた。
「俺、自分のことで一杯で。……心配、かけてたんだな。莉乃さんにも、璃久にも。」
「今更すぎるだろ」
容赦のない璃久の言葉が一刀両断する。
「心配なんて、こっちが勝手にしてるんだ。それにそんなこと言ったら、結芽さんや雅也さんはもっとお前のこと気にしてるだろ」
璃久の言葉に、ふっと二人が脳裏に浮かぶ。
いつも笑って、温かく迎えてくれる人達。
「そうだな」
なんでいつも忘れてしまうんだろう。
あんなに大切にしてもらっていても、心配をかけていても、忘れてしまうんだろう。
「璃久」
「なんだよ」
「ありがとう」
馬鹿じゃねーの、と璃久は言った。
「今更だろ」
そう言った璃久の表情には、晴れ晴れとした笑顔が広がっていた。
ブーーっと広翔のスマホが音を立てた。
「結芽さんじゃん?」
そう言った璃久の言葉は当たっていた。
【お祖父さんを今から駅まで送ります】
「んじゃ、アイス買って食べて帰ったらちょうどいいんじゃん?」
ラインを覗き込んだ璃久が「早くいこーぜ」と広翔を促す。
「ああ」
【了解です。コンビニ寄ってから帰ります】
返信し、璃久の待つコンビニまで駆け足で行った。
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