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第四章《秘められた涙と潜む影》
【七】
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馬車に揺られること数時間、
「着きましたよ」
とクロが馬車の扉を開く。
固まった身体を引きずるように馬車から降り、紅子は腕を空へと伸ばす。
「お身体は大丈夫ですか」
「ええ」
くるっと身体の向きを変えながら、紅子は硬い笑みを浮かべる。
「陽時厘、空気が新鮮よ」
「そこまで山奥じゃないけど?」
不貞腐れている美少年は、化粧を施し、女物の着物に袖を通した格好で馬車から降りてくる。
「そ、そうね……あの、よく似合ってる、わよ?」
「しってるよ。僕だからね」
陽時厘は聞こえるように大きく息をつく。
「だいたい、僕は見た目がか弱いから女装しなくてもいいと思うのだけど」
と陽時厘は不機嫌な顔をクロに向ける。
「念の為ですよ。日頃女装していらっしゃるのでてっきり趣味なのかと思っていたのですが……」
「そんなわけねぇでしょ。ふざけるのも大概にしてくださいよ」
そう憤る陽時厘だが、声変わりがまだなこともあり、やはりただの美少女にしか見えない。
「口が悪いですよ、陽時厘。以前親しかったとはいえ、若奥様の前でそのような態度はいただけませんね」
暗い影を落とした表情のノアに、陽時厘もその周りの者も体をすくませた。
「う……すみません」
「以後、お気をつけなさい」
ヒヤリとしたノアの声色に、陽時厘は「はい」と小声で応える。
紅子は視線を逸らしながら、心の中で陽時厘に「ごめん」と呟いた。
「あき……弥生様は何処に?」
ほんのさっきまで同じ馬車に揺られていたのだが、いつの間にか気配が消えていた。
辺りを見回す紅子に、
「主でしたら、先に村へ行くとのことでした」
とクロは紅子の左後ろに付く。
──旅行ではなかったのだろうか。
と、内心ガッカリしている自分に対し驚いた。自分で思っていたより、弥生との時間を大切に思うようになっていたらしい。
「そうでしたか……では、私たちは先に村長へ挨拶に行きましょうか」
着物の袖丈を翻しながら、彼女は微笑した。
***
訪れた村はかなり大きな集落のようで、小さな都のように賑わっていた。この村ひとつで生活が成り立ちそうだ。
「とても賑わっているのね」
「ええ、なにせここは元都……今の都が移る前までは、前太陽様がこちらにいらっしゃったものですから。縮小してしまったらしいですが、この村は他の村と比べ、だいぶ発展していると言えますね」
活気の溢れる道を歩みながら、ノアと紅子は目を輝かせる。
「それより、クロ様もどこかへ行ってしまいましたが……」
ノアは包みを持つ手に力を込め、
「どちらへ行かれたのかしら」
と目を伏せた。
ノアの様子に、紅子は胸の内から興味が湧き上がってくるのを感じた。
「ノアさんは、クロ様を好いておられるのですか?」
と口を開く。
ノアは目を見張り、ふるふると首を横に振った。
「いいえ……尊敬はしていますが、恋情かと聞かれれば」
苦笑するノアに、紅子は慌てて「そうよね」と笑顔を作る。
「私こそ藪から棒に……ごめんなさい。どうか忘れて」
といい、歩く速度を少し速めた。
村長の家は村の奥の方にあり、竹に囲まれていた。
「素敵なお家ですね」
出された煎茶に口をつけながら、紅子は微笑む。
「こだわっていますからな。それで、領主代理の方は?」
「あ……やよ……しゅ、主人は村を見て回ると。勝手をどうぞお許しください」
馬車の中で、弥生の方から紅子に打診があった。
「この村では、私のことは夫として扱ってほしいんです。その理由はまぁ……既婚者じゃないと舐められるみたいなところがありまして」
と言われていたのだ。
ゆえに紅子は慣れていない「夫」呼びを強いられ、顔を真っ赤にしているのだが。
事情など知らない村長は「はぁ」とおかしなものでも見るように半目になりながら呟き、
「いや勿論構わんですが……許すも何も、あなたがたのほうが立場が上でしょうに」
「立場……」
村長の言葉に、紅子は口元に手を当てる。
どうやら偽装夫婦だとはバレていないらしい、と紅子の緊張が少し緩む。実は妻ではないが、と内心謝罪をしながら、
「そうですね。ですが、礼節を欠いていい理由にはならないと思うのですが」
率直な感想に、村長は虚をつかれたように目を見開いた。
「はっは……なんとも、奇異なお方ですな」
「そうでしょうか?」
首をかしげる紅子に、村長は「ええ」と白い髭を撫でる。
「あなたは、我々を人と見てくださるのですね」
村長の言葉に、紅子は言いようのない気持ちの悪さを感じた。
「どういうことでしょうか」
「それは薄々、分かっていらっしゃるのでしょう。そういうことでございます」
村長の細められた目には、どこか暖かな感情が滲んでいる。
どうして、そんな瞳を向けることができるのだろうか。
紅子は胸が締め付けられるような思いに駆られた。
「まぁ、領主代理の方がいらっしゃるようになってからは、不当な働きを強いられることは無くなりましたがね」
ふぉっふぉっと村長は明るく笑う。
「いい男には、いい女が引き寄せられるんですかな。のぉ、領主代理様」
村長は上体を伸ばし、紅子の奥の方に向かって声をかけた。
「いや、逆ですね。良い妻をもつと、男は格好つけなくてはならなくなりますから」
相変わらずの人畜無害そうな表情をしながら、弥生は紅子の肩に手を添えた。
「おお、これはやられた」
村長は笑いながら弥生に視線を向ける。
「ほで、いかがでした」
と声を落とす村長の目はいつの間にか鈍く光り、真剣な話に切り替わっていた。
「ええ、ちょっと気にかかります。ご報告頂いたとおりでしたね」
「始末つけんと、いけん感じやか?」
村長の威厳ある態度に退けをとらず、弥生は淡々と話を進める。
「なんとも言い難いですね。まだ手をつけていない。しかし手をつけられたら手遅れなので……判断に悩むところではありますが、私なら」
紅子は、隣の弥生から発せられる空気が変わるのを感じた。
いつもの温和な、柔らかな空気は一体どこへ消えたのか。隣にはまったくの別人がいるような感覚にすら陥る。
「この村から戸籍を消すでしょうね」
無戸籍にする。
それはつまり、この村での「死」を意味する。村から追放され、以後一生、その村に立ち入ることを許されない。田畑は親族、または村に還される。村長のみに与えられるその権限は、「死」を行使する権限と言っても過言ではない。
なぜなら、ただの農民一人では生きていくのがとてつもない困難だからだ。
農作業しか取り柄のない人間が、この国のほとんどを占めている。そんな中村を追い出され、何かしらをしでかしたという意味をもつ「烙印」を押される。
そんな人間を、一体誰が自身の村で匿おうと思うのだろう。どんな病があるかも分からない、どんな爆弾を抱えているか分からない得体の知れない人間を。
紅子はぎゅうっと太ももの上で拳を握り、「あの」とか細い声を出した。
「私が加わって良いのか……計りかねますが、よろしければお話を伺っても?」
村長におずおずと切り出すと、村長は困惑した様子で弥生に視線を投げた。
「あ、そうでした。話していませんでしたね。訳分からなかったですよね。村長、確認も含め、もう一度お話しください」
眉を下げながら笑みを浮かべる弥生に、村長は目を丸くした。
「は……そんな、あっさりと……」
「私は女性、男性というのをあまり重視していません。必要なところに必要な人材を割くだけです。今回の件は私の妻が必要だと判断した。それだけの話です」
弥生は眼鏡の奥の瞳を光らせた。
村長は呆然と二人を眺めた。
「ほでさか……それでは、お話しします」
コホン、と咳払いをし、村長は語り出した。
「あれはほんの、半年前のこってす」
「着きましたよ」
とクロが馬車の扉を開く。
固まった身体を引きずるように馬車から降り、紅子は腕を空へと伸ばす。
「お身体は大丈夫ですか」
「ええ」
くるっと身体の向きを変えながら、紅子は硬い笑みを浮かべる。
「陽時厘、空気が新鮮よ」
「そこまで山奥じゃないけど?」
不貞腐れている美少年は、化粧を施し、女物の着物に袖を通した格好で馬車から降りてくる。
「そ、そうね……あの、よく似合ってる、わよ?」
「しってるよ。僕だからね」
陽時厘は聞こえるように大きく息をつく。
「だいたい、僕は見た目がか弱いから女装しなくてもいいと思うのだけど」
と陽時厘は不機嫌な顔をクロに向ける。
「念の為ですよ。日頃女装していらっしゃるのでてっきり趣味なのかと思っていたのですが……」
「そんなわけねぇでしょ。ふざけるのも大概にしてくださいよ」
そう憤る陽時厘だが、声変わりがまだなこともあり、やはりただの美少女にしか見えない。
「口が悪いですよ、陽時厘。以前親しかったとはいえ、若奥様の前でそのような態度はいただけませんね」
暗い影を落とした表情のノアに、陽時厘もその周りの者も体をすくませた。
「う……すみません」
「以後、お気をつけなさい」
ヒヤリとしたノアの声色に、陽時厘は「はい」と小声で応える。
紅子は視線を逸らしながら、心の中で陽時厘に「ごめん」と呟いた。
「あき……弥生様は何処に?」
ほんのさっきまで同じ馬車に揺られていたのだが、いつの間にか気配が消えていた。
辺りを見回す紅子に、
「主でしたら、先に村へ行くとのことでした」
とクロは紅子の左後ろに付く。
──旅行ではなかったのだろうか。
と、内心ガッカリしている自分に対し驚いた。自分で思っていたより、弥生との時間を大切に思うようになっていたらしい。
「そうでしたか……では、私たちは先に村長へ挨拶に行きましょうか」
着物の袖丈を翻しながら、彼女は微笑した。
***
訪れた村はかなり大きな集落のようで、小さな都のように賑わっていた。この村ひとつで生活が成り立ちそうだ。
「とても賑わっているのね」
「ええ、なにせここは元都……今の都が移る前までは、前太陽様がこちらにいらっしゃったものですから。縮小してしまったらしいですが、この村は他の村と比べ、だいぶ発展していると言えますね」
活気の溢れる道を歩みながら、ノアと紅子は目を輝かせる。
「それより、クロ様もどこかへ行ってしまいましたが……」
ノアは包みを持つ手に力を込め、
「どちらへ行かれたのかしら」
と目を伏せた。
ノアの様子に、紅子は胸の内から興味が湧き上がってくるのを感じた。
「ノアさんは、クロ様を好いておられるのですか?」
と口を開く。
ノアは目を見張り、ふるふると首を横に振った。
「いいえ……尊敬はしていますが、恋情かと聞かれれば」
苦笑するノアに、紅子は慌てて「そうよね」と笑顔を作る。
「私こそ藪から棒に……ごめんなさい。どうか忘れて」
といい、歩く速度を少し速めた。
村長の家は村の奥の方にあり、竹に囲まれていた。
「素敵なお家ですね」
出された煎茶に口をつけながら、紅子は微笑む。
「こだわっていますからな。それで、領主代理の方は?」
「あ……やよ……しゅ、主人は村を見て回ると。勝手をどうぞお許しください」
馬車の中で、弥生の方から紅子に打診があった。
「この村では、私のことは夫として扱ってほしいんです。その理由はまぁ……既婚者じゃないと舐められるみたいなところがありまして」
と言われていたのだ。
ゆえに紅子は慣れていない「夫」呼びを強いられ、顔を真っ赤にしているのだが。
事情など知らない村長は「はぁ」とおかしなものでも見るように半目になりながら呟き、
「いや勿論構わんですが……許すも何も、あなたがたのほうが立場が上でしょうに」
「立場……」
村長の言葉に、紅子は口元に手を当てる。
どうやら偽装夫婦だとはバレていないらしい、と紅子の緊張が少し緩む。実は妻ではないが、と内心謝罪をしながら、
「そうですね。ですが、礼節を欠いていい理由にはならないと思うのですが」
率直な感想に、村長は虚をつかれたように目を見開いた。
「はっは……なんとも、奇異なお方ですな」
「そうでしょうか?」
首をかしげる紅子に、村長は「ええ」と白い髭を撫でる。
「あなたは、我々を人と見てくださるのですね」
村長の言葉に、紅子は言いようのない気持ちの悪さを感じた。
「どういうことでしょうか」
「それは薄々、分かっていらっしゃるのでしょう。そういうことでございます」
村長の細められた目には、どこか暖かな感情が滲んでいる。
どうして、そんな瞳を向けることができるのだろうか。
紅子は胸が締め付けられるような思いに駆られた。
「まぁ、領主代理の方がいらっしゃるようになってからは、不当な働きを強いられることは無くなりましたがね」
ふぉっふぉっと村長は明るく笑う。
「いい男には、いい女が引き寄せられるんですかな。のぉ、領主代理様」
村長は上体を伸ばし、紅子の奥の方に向かって声をかけた。
「いや、逆ですね。良い妻をもつと、男は格好つけなくてはならなくなりますから」
相変わらずの人畜無害そうな表情をしながら、弥生は紅子の肩に手を添えた。
「おお、これはやられた」
村長は笑いながら弥生に視線を向ける。
「ほで、いかがでした」
と声を落とす村長の目はいつの間にか鈍く光り、真剣な話に切り替わっていた。
「ええ、ちょっと気にかかります。ご報告頂いたとおりでしたね」
「始末つけんと、いけん感じやか?」
村長の威厳ある態度に退けをとらず、弥生は淡々と話を進める。
「なんとも言い難いですね。まだ手をつけていない。しかし手をつけられたら手遅れなので……判断に悩むところではありますが、私なら」
紅子は、隣の弥生から発せられる空気が変わるのを感じた。
いつもの温和な、柔らかな空気は一体どこへ消えたのか。隣にはまったくの別人がいるような感覚にすら陥る。
「この村から戸籍を消すでしょうね」
無戸籍にする。
それはつまり、この村での「死」を意味する。村から追放され、以後一生、その村に立ち入ることを許されない。田畑は親族、または村に還される。村長のみに与えられるその権限は、「死」を行使する権限と言っても過言ではない。
なぜなら、ただの農民一人では生きていくのがとてつもない困難だからだ。
農作業しか取り柄のない人間が、この国のほとんどを占めている。そんな中村を追い出され、何かしらをしでかしたという意味をもつ「烙印」を押される。
そんな人間を、一体誰が自身の村で匿おうと思うのだろう。どんな病があるかも分からない、どんな爆弾を抱えているか分からない得体の知れない人間を。
紅子はぎゅうっと太ももの上で拳を握り、「あの」とか細い声を出した。
「私が加わって良いのか……計りかねますが、よろしければお話を伺っても?」
村長におずおずと切り出すと、村長は困惑した様子で弥生に視線を投げた。
「あ、そうでした。話していませんでしたね。訳分からなかったですよね。村長、確認も含め、もう一度お話しください」
眉を下げながら笑みを浮かべる弥生に、村長は目を丸くした。
「は……そんな、あっさりと……」
「私は女性、男性というのをあまり重視していません。必要なところに必要な人材を割くだけです。今回の件は私の妻が必要だと判断した。それだけの話です」
弥生は眼鏡の奥の瞳を光らせた。
村長は呆然と二人を眺めた。
「ほでさか……それでは、お話しします」
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