21 / 102
第三章《籠姫伝と焔の能力》
【一】
しおりを挟む
体が痛い。頭がじんと痺れるような感覚から、紅子は呻き声を洩らしながら目をゆっくり開いた。
暗い室内は、見覚えのない場所だった。
つい先刻までの記憶が頭になだれ込む。
──そうか、誘拐されたんだっけ。
きっと秋桐様は迷惑に思っているだろうな。紅子は眉を下げ溜息をついた。
カランとどこかで小石が転がるような音がした。紅子は慌てて目を瞑り耳に神経を尖らせた。
「え、女の子なの!?じゃあチームに入れよーよ!私女の子大歓迎!」
「いやでも運動神経良くなさそうだし……まぁ可愛いっちゃ可愛い。うん、俺全然アリ。彼女にしてもいい」
「なんで上から目線なんだ。お前の方が彼女の手に余るよ」
「なんだと!」
と、数人が連れ立って近づいてくる。
紅子の心臓の音はだんだん速くなっていく。
カチャンとドアノブが捻られる音がした。
キィと甲高い音と共に、複数の足音がピタリと止まった。
「あー……まだ寝てる。やっぱあの薬個人差あるなぁ……もう丸九日寝込んでるよ。そろそろ飯食わないと栄養失調で永遠に起きなくなるぞ」
ペチペチ、と紅子は頬を軽く叩かれる。
思わず顔をしかめると、「お」と呟きが降ってきた。
「起きろー。起きねーとチューするぞー」
男の呟きに、紅子はパチッと目を開いた。
「その反応もなかなかショックだぞ」
と、バンダナをグルグル巻いた山賊のような男は、眉間に皺を寄せ呻きながら拳を握った。
皆マントを深く被っていて顔がはっきりとは分からない。
ここはどこですか、と声を出そうとすると、「ひゅーっひゅーっ」という呼吸音しか出てこない。
「ああ、水分が足りないのよ。水飲んどきな」
切れ長の瞳を持つ女は、そう言いながら瓢箪を差し出してきた。
紅子はそれには手を出そうとしなかった。
すると女は切れ長の瞳をより一層細め、
「安心しな。毒なんぞ入ってやしない。なんなら私が先に飲んでやろうか」
そう言うなりキュポンと栓を抜くと、躊躇いもせず瓢箪を傾けた。
「な?平気だろ。あんた、少しでも何か食べないと死ぬぞ。この飯にも毒は入ってねぇから安心して食えよ」
そう言いながら、後ろに控えている女を親指で指す。
女、というにしては、なんとなく喋り方が女性のようではない。そんな不思議な彼女に、少し違和感を覚えるも、嫌悪感や恐怖心は一切感じなかった。むしろ、居心地がいいとさえ感じたのだ。
「ん?あぁ……私みたいな女は少ないから、珍しいよな。でも、私はお淑やかにっていう男の理想にはなれないんだ」
彼女はニカッと口を開いて明るく笑った。
「強引に連れ出して悪かった。だけど、どうか力を貸してくれないか?私たちの後ろにあんたが居たら心強いんだ」
一体何の話だ、と紅子は眉を寄せる。
すると真っ黒な長髪を一つに結った男が「おい」と女に視線を遣った。
「突然そんな話をしても分からないだろ。まずは一から説明しろ」
冷たい視線を投げかけられ、紅子はビクッと肩を震わせた。
「それもそーだよ。まずはお腹になにか入れなよォ。ほんに栄養失調になるよ」
盆を持っていた女が高い声を出す。微妙に会話が噛み合っていない。
その盆を紅子の目の前に置き、にこっと笑顔を見せた。
「てわけで、まずちゃっちゃと体調回復させてくれるかな?」
有無を言わさない集団の圧に、紅子はごくりと唾を飲み込み箸を手に取った。
***
食わされた飯は、予想に反してにかなり美味だった。
重湯と同じような見た目だが、味付けがしっかりなされていた。また付け合せの瓜の漬物も、少し塩気があって食欲を湧かせるものだった。
「おっ!めちゃ綺麗にたいらげたなぁ」
バンダナ男は目を猫のように細めた。
「これだけ食べられれば、明後日にでも声が出せるようになるわよ」
満足そうに食器を片す女のフードの隙間から、綺麗な桜色の髪が数束外へ出た。
紅子がその髪に見惚れていると、女と目が合った。
「私、サクラっていうのよ。この髪は地毛じゃないの」
サクラと名乗った女はそう言って笑い、「またね、えーと……紅い髪だから、あーちゃんって勝手に呼ぶね」
またねー、と手を振りながらサクラは部屋から出ていった。
部屋には、切れ長の瞳の女とバンダナ男、それと冷気を放ち続ける男が残った。
ざり、と床が擦れる音に紅子は肩をビクッと震わせる。
「さて、本題に入りたいところだが……お前、能力者で間違いないか」
蔑むような冷たい視線を紅子に注ぐ男は、漆黒のフードを外した。彼は白銀の髪を肩ほどの高さで切り揃えていた。神童と言われたら信じてしまいそうな程に整った顔立ちの男は、よくよく見ればまだ十五にもなっていない子どもに見える。
「そうか、答えたくないのなら……無理やり聞き出すしかないな」
なんの反応も示さない紅子に対し、男は細い目をさらに細めた。
しかし紅子は身構えも睨みもしなかった。
その様子に、女が「まて」と静止をかけた。
「この子、力ずくでは何も吐かないだろうよ。……拷問されたことでもあるようだ」
そう呟いた彼女は、ギリッと拳を握った。
しかし、思い直したように眉間のシワを解いて息を短く吐いた。
「私たちは全員普通の人間ができないことをできる、なんかしらの能力をもつ人間の集まりだ」
「おい」と白銀髪の男が険しい顔をしたが、女は意に介さない様子で言葉を紡ぎ続ける。
「だから能力に関してはそこいらの連中より理解がある。この話が理解るのなら、教えてくれ。あんたは、能力をもっているのか?」
紅子はじっと女の目を見返した。
少し茶色の混じった瞳に、紅子の顔が映っている。
真っ直ぐな意志を持つ、とても澄んだ瞳だった。
紅子はふっと目元を緩め、小さく頷いた。
「……そうか。それで、本題はここからなんだ」
女は一旦目を伏せてからゆっくりと顔を上げた。
「私たちと一緒に戦って欲しい。私たちは戦って、自分たちの権利を掴み取りたい。どこにでも、弱いものが存在して虐げられるような風習が蔓延っている。私たちはそれを無くしたい」
きゅっと紅子の手を掴み、「どうか力を貸して」と女は頭を下げた。
「勿論前線に出て戦うのが嫌だったら後援でも構わない。とにかく、私たちと共に居てくれさえすればそれでいい」
女の手は震えていた。
紅子は口を開きかけたが、声を出せないことを思い出し口を閉じた。
「どっちなんだ」
煮え切らない態度の紅子に、白銀髪の男は腕を組んで彼女を見下ろす。
紅子はそっと女の手を外し、掌の上を指でなぞった。
「……か、み……紙……あ、ちょ、シン。紙と鉛筆もってきて」
シン、と呼ばれたバンダナ男は「あいよ」とポケットから小さなメモ用紙と鉛筆を取りだした。
紅子はそこに文字を連ねた。
「申し訳ありませんが、御協力はできません」
暗い室内は、見覚えのない場所だった。
つい先刻までの記憶が頭になだれ込む。
──そうか、誘拐されたんだっけ。
きっと秋桐様は迷惑に思っているだろうな。紅子は眉を下げ溜息をついた。
カランとどこかで小石が転がるような音がした。紅子は慌てて目を瞑り耳に神経を尖らせた。
「え、女の子なの!?じゃあチームに入れよーよ!私女の子大歓迎!」
「いやでも運動神経良くなさそうだし……まぁ可愛いっちゃ可愛い。うん、俺全然アリ。彼女にしてもいい」
「なんで上から目線なんだ。お前の方が彼女の手に余るよ」
「なんだと!」
と、数人が連れ立って近づいてくる。
紅子の心臓の音はだんだん速くなっていく。
カチャンとドアノブが捻られる音がした。
キィと甲高い音と共に、複数の足音がピタリと止まった。
「あー……まだ寝てる。やっぱあの薬個人差あるなぁ……もう丸九日寝込んでるよ。そろそろ飯食わないと栄養失調で永遠に起きなくなるぞ」
ペチペチ、と紅子は頬を軽く叩かれる。
思わず顔をしかめると、「お」と呟きが降ってきた。
「起きろー。起きねーとチューするぞー」
男の呟きに、紅子はパチッと目を開いた。
「その反応もなかなかショックだぞ」
と、バンダナをグルグル巻いた山賊のような男は、眉間に皺を寄せ呻きながら拳を握った。
皆マントを深く被っていて顔がはっきりとは分からない。
ここはどこですか、と声を出そうとすると、「ひゅーっひゅーっ」という呼吸音しか出てこない。
「ああ、水分が足りないのよ。水飲んどきな」
切れ長の瞳を持つ女は、そう言いながら瓢箪を差し出してきた。
紅子はそれには手を出そうとしなかった。
すると女は切れ長の瞳をより一層細め、
「安心しな。毒なんぞ入ってやしない。なんなら私が先に飲んでやろうか」
そう言うなりキュポンと栓を抜くと、躊躇いもせず瓢箪を傾けた。
「な?平気だろ。あんた、少しでも何か食べないと死ぬぞ。この飯にも毒は入ってねぇから安心して食えよ」
そう言いながら、後ろに控えている女を親指で指す。
女、というにしては、なんとなく喋り方が女性のようではない。そんな不思議な彼女に、少し違和感を覚えるも、嫌悪感や恐怖心は一切感じなかった。むしろ、居心地がいいとさえ感じたのだ。
「ん?あぁ……私みたいな女は少ないから、珍しいよな。でも、私はお淑やかにっていう男の理想にはなれないんだ」
彼女はニカッと口を開いて明るく笑った。
「強引に連れ出して悪かった。だけど、どうか力を貸してくれないか?私たちの後ろにあんたが居たら心強いんだ」
一体何の話だ、と紅子は眉を寄せる。
すると真っ黒な長髪を一つに結った男が「おい」と女に視線を遣った。
「突然そんな話をしても分からないだろ。まずは一から説明しろ」
冷たい視線を投げかけられ、紅子はビクッと肩を震わせた。
「それもそーだよ。まずはお腹になにか入れなよォ。ほんに栄養失調になるよ」
盆を持っていた女が高い声を出す。微妙に会話が噛み合っていない。
その盆を紅子の目の前に置き、にこっと笑顔を見せた。
「てわけで、まずちゃっちゃと体調回復させてくれるかな?」
有無を言わさない集団の圧に、紅子はごくりと唾を飲み込み箸を手に取った。
***
食わされた飯は、予想に反してにかなり美味だった。
重湯と同じような見た目だが、味付けがしっかりなされていた。また付け合せの瓜の漬物も、少し塩気があって食欲を湧かせるものだった。
「おっ!めちゃ綺麗にたいらげたなぁ」
バンダナ男は目を猫のように細めた。
「これだけ食べられれば、明後日にでも声が出せるようになるわよ」
満足そうに食器を片す女のフードの隙間から、綺麗な桜色の髪が数束外へ出た。
紅子がその髪に見惚れていると、女と目が合った。
「私、サクラっていうのよ。この髪は地毛じゃないの」
サクラと名乗った女はそう言って笑い、「またね、えーと……紅い髪だから、あーちゃんって勝手に呼ぶね」
またねー、と手を振りながらサクラは部屋から出ていった。
部屋には、切れ長の瞳の女とバンダナ男、それと冷気を放ち続ける男が残った。
ざり、と床が擦れる音に紅子は肩をビクッと震わせる。
「さて、本題に入りたいところだが……お前、能力者で間違いないか」
蔑むような冷たい視線を紅子に注ぐ男は、漆黒のフードを外した。彼は白銀の髪を肩ほどの高さで切り揃えていた。神童と言われたら信じてしまいそうな程に整った顔立ちの男は、よくよく見ればまだ十五にもなっていない子どもに見える。
「そうか、答えたくないのなら……無理やり聞き出すしかないな」
なんの反応も示さない紅子に対し、男は細い目をさらに細めた。
しかし紅子は身構えも睨みもしなかった。
その様子に、女が「まて」と静止をかけた。
「この子、力ずくでは何も吐かないだろうよ。……拷問されたことでもあるようだ」
そう呟いた彼女は、ギリッと拳を握った。
しかし、思い直したように眉間のシワを解いて息を短く吐いた。
「私たちは全員普通の人間ができないことをできる、なんかしらの能力をもつ人間の集まりだ」
「おい」と白銀髪の男が険しい顔をしたが、女は意に介さない様子で言葉を紡ぎ続ける。
「だから能力に関してはそこいらの連中より理解がある。この話が理解るのなら、教えてくれ。あんたは、能力をもっているのか?」
紅子はじっと女の目を見返した。
少し茶色の混じった瞳に、紅子の顔が映っている。
真っ直ぐな意志を持つ、とても澄んだ瞳だった。
紅子はふっと目元を緩め、小さく頷いた。
「……そうか。それで、本題はここからなんだ」
女は一旦目を伏せてからゆっくりと顔を上げた。
「私たちと一緒に戦って欲しい。私たちは戦って、自分たちの権利を掴み取りたい。どこにでも、弱いものが存在して虐げられるような風習が蔓延っている。私たちはそれを無くしたい」
きゅっと紅子の手を掴み、「どうか力を貸して」と女は頭を下げた。
「勿論前線に出て戦うのが嫌だったら後援でも構わない。とにかく、私たちと共に居てくれさえすればそれでいい」
女の手は震えていた。
紅子は口を開きかけたが、声を出せないことを思い出し口を閉じた。
「どっちなんだ」
煮え切らない態度の紅子に、白銀髪の男は腕を組んで彼女を見下ろす。
紅子はそっと女の手を外し、掌の上を指でなぞった。
「……か、み……紙……あ、ちょ、シン。紙と鉛筆もってきて」
シン、と呼ばれたバンダナ男は「あいよ」とポケットから小さなメモ用紙と鉛筆を取りだした。
紅子はそこに文字を連ねた。
「申し訳ありませんが、御協力はできません」
0
お気に入りに追加
13
あなたにおすすめの小説

【完結】内緒で死ぬことにした 〜いつかは思い出してくださいわたしがここにいた事を〜
たろ
恋愛
手術をしなければ助からないと言われました。
でもわたしは利用価値のない人間。
手術代など出してもらえるわけもなく……死ぬまで努力し続ければ、いつかわたしのことを、わたしの存在を思い出してくれるでしょうか?
少しでいいから誰かに愛されてみたい、死ぬまでに一度でいいから必要とされてみたい。
生きることを諦めた女の子の話です
★異世界のゆるい設定です
旦那様、前世の記憶を取り戻したので離縁させて頂きます
結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
恋愛
【前世の記憶が戻ったので、貴方はもう用済みです】
ある日突然私は前世の記憶を取り戻し、今自分が置かれている結婚生活がとても理不尽な事に気が付いた。こんな夫ならもういらない。前世の知識を活用すれば、この世界でもきっと女1人で生きていけるはず。そして私はクズ夫に離婚届を突きつけた―。

10年間の結婚生活を忘れました ~ドーラとレクス~
緑谷めい
恋愛
ドーラは金で買われたも同然の妻だった――
レクスとの結婚が決まった際「ドーラ、すまない。本当にすまない。不甲斐ない父を許せとは言わん。だが、我が家を助けると思ってゼーマン伯爵家に嫁いでくれ。頼む。この通りだ」と自分に頭を下げた実父の姿を見て、ドーラは自分の人生を諦めた。齢17歳にしてだ。
※ 全10話完結予定

【完結】仰る通り、貴方の子ではありません
ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは
私に似た待望の男児だった。
なのに認められず、
不貞の濡れ衣を着せられ、
追い出されてしまった。
実家からも勘当され
息子と2人で生きていくことにした。
* 作り話です
* 暇つぶしにどうぞ
* 4万文字未満
* 完結保証付き
* 少し大人表現あり
転生悪役令嬢に仕立て上げられた幸運の女神様は家門から勘当されたので、自由に生きるため、もう、ほっといてください。今更戻ってこいは遅いです
青の雀
ファンタジー
公爵令嬢ステファニー・エストロゲンは、学園の卒業パーティで第2王子のマリオットから突然、婚約破棄を告げられる
それも事実ではない男爵令嬢のリリアーヌ嬢を苛めたという冤罪を掛けられ、問答無用でマリオットから殴り飛ばされ意識を失ってしまう
そのショックで、ステファニーは前世社畜OL だった記憶を思い出し、日本料理を提供するファミリーレストランを開業することを思いつく
公爵令嬢として、持ち出せる宝石をなぜか物心ついたときには、すでに貯めていて、それを原資として開業するつもりでいる
この国では婚約破棄された令嬢は、キズモノとして扱われることから、なんとか自立しようと修道院回避のために幼いときから貯金していたみたいだった
足取り重く公爵邸に帰ったステファニーに待ち構えていたのが、父からの勘当宣告で……
エストロゲン家では、昔から異能をもって生まれてくるということを当然としている家柄で、異能を持たないステファニーは、前から肩身の狭い思いをしていた
修道院へ行くか、勘当を甘んじて受け入れるか、二者択一を迫られたステファニーは翌早朝にこっそり、家を出た
ステファニー自身は忘れているが、実は女神の化身で何代前の過去に人間との恋でいさかいがあり、無念が残っていたので、神界に帰らず、人間界の中で転生を繰り返すうちに、自分自身が女神であるということを忘れている
エストロゲン家の人々は、ステファニーの恩恵を受け異能を覚醒したということを知らない
ステファニーを追い出したことにより、次々に異能が消えていく……
4/20ようやく誤字チェックが完了しました
もしまだ、何かお気づきの点がありましたら、ご報告お待ち申し上げておりますm(_)m
いったん終了します
思いがけずに長くなってしまいましたので、各単元ごとはショートショートなのですが(笑)
平民女性に転生して、下剋上をするという話も面白いかなぁと
気が向いたら書きますね
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
僕は君を思うと吐き気がする
月山 歩
恋愛
貧乏侯爵家だった私は、お金持ちの夫が亡くなると、次はその弟をあてがわれた。私は、母の生活の支援もしてもらいたいから、拒否できない。今度こそ、新しい夫に愛されてみたいけど、彼は、私を思うと吐き気がするそうです。再び白い結婚が始まった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる