6 / 102
第一章《出会いと別れと悲嘆》
【六】
しおりを挟む
塾は週に三日間、自身の習いたいことを教えてくれる。
「やっぱり、字が書けない子は少ないのね」
と、こそっと耳打ちするように桜は言った。
桜は背筋をしゃんと伸ばし、深緑に反射する髪を肩の高さに揃えている、格好いい女子だ。切れ長の瞳が、より一層彼女を惹き立てている。
聞けば、彼女は紅子と同じ年らしい。
彼女の家は由緒ある武家の家らしく、桜は親からすれば望まれなかった性別で生まれてきてしまったらしい。
だが、彼女はめげなかった。
自分の存在意義を、自分で確かめるために、或いは見つけるために、この塾へと赴いたそうだ。
「私は、できたらお嫁になんか行きたくないの。父のもとで剣術を極めたいのだけど……なかなか、そうはいかないわよね」
筆をことりと置いて、彼女は寂しげに笑う。
塾を出たら、即結婚。
それが、親に決められた道らしい。
「父は最後まで……私を認めてはくださらないでしょうね」
パチパチッと十露盤を叩きながら、誰に言うでもなく呟いた。
「桜さん………」
大丈夫ですよ、きっと認めて貰えます。
そんな気休めの言葉を、彼女は欲してなどいないだろう。ただ、誰かに聞いてもらいたかっただけなのかもしれない。
「……今度」
紅子はシャッシャッと筆の形を整えて紙へと押し付ける。
真っ黒な墨が、白い紙に色を付けていく。
「私にも、教えてくださいな」
目を少し細くして、紅子は唇をそっと曲げた。
桜はきょとんと目を瞬いたが、すぐに頬を染めて、
「ええ」
と嬉しそうに笑った。
「あ、紅子ちゃん」
と、隣の席に座っていた昭平が、紅子を呼ぶ。
紅子は内心ビクビクしながら、
「何でしょう」
と笑顔を向けた。
「これ、どうやるの?」
十露盤を手にしながら唸る昭平に、紅子はほっと胸を撫で下ろす。
秘密を知られてから、彼女は昭平が口を滑らせるやも、と気が気ではなかったのだ。
本当にうっかりしていた。
今、国はいい動きをしていない。むしろ他国との戦争の道を歩み始めている。国民の誰もが、それを望んでいる。
もし戦争が始まるのだとしたら、紅子の能力は決して人に知られてはならない。売られる、という危険の他に、戦地へと向かわされることになるだろう。
彼女の能力をもってすれば、死なない兵士がたくさん産み出される。彼女の祖母の時のように。
紅子はキュッと締め付けられた心臓にそっと手をおいて、ゆっくりと深呼吸した。
口が乾く。
彼女の祖母は能力を軍の者に知られてしまい、戦地へと連れていかれた。
そして、彼女の祖母は──。
「紅子ちゃん?」
心配そうに覗き込んできた昭平に、紅子はぎこちなく微笑んだ。
「ごめんなさい。ちょっとぼーっとしてしまって……どれですか?」
長く紅い髪を耳にかけ、紅子は昭平の手元を覗き見た。
「……いいよなぁ、昭平のやつ」
坊主頭が売りの柴田権次郎は大きな溜め息をついた。
「ほんとだよなぁ。美人で控えめで後ろ盾もあって、おまけに勉学まで優れてる紅子さんに仲良くしてもらって……まぁ、お似合いってやつだよなぁ」
権次郎のすぐ隣にいた汐留馬庄も首肯する。
「ああ、あいつの家って名家なんだっけか」
「あんななりしてても、確か昭平のやつ、剣の腕は……」
「なんのお話ですか?」
ふっと上から澄んだ声が降ってきた。
「あ、酒井さん」
「昭平の話だよ。あっ、座って座って」
と、二人は筆を置いて座布団を譲る。
「どうぞお気になさらず……昭平さんて、確か長男ではなかったかと思うのですが」
明菜の呟きに、二人は「あー」という肯定の声を漏らした。
「やっぱり、長男じゃないと女性陣としてはアウトな感じなのかい?」
馬庄は眼鏡をかけ直しながら力なく笑った。
「そうですね、大事です。私は特に……あまり言いたくはないのですが、家が大きいものですから、半端なところへは嫁がせて貰えません。いくら政略結婚が薄れてきたとはいえ、力を持つ家の風習というのは、なかなか……。いい人を連れてこれなければ、私は父様の言うところへ嫁ぐことになるでしょうね」
明菜は静かに書を閉じた。
目を伏せ、赤い唇をきゅっと引き結んでいた。
「私は父様のお人形ということなのかと、時々考えてしまいますわ」
「まぁ、女子なんて大抵そんな感じでしょうけれどね」
と、口を挟んできたのは桜だった。
「けれど、やっぱり……私は私の好きな人のもとへ嫁ぎたいのです」
明菜がそう漏らすと、男子二人は「え」と固まった。
「さ、酒井さんはもう……好きな人が……!?」
おろおろと狼狽える彼らに、明菜はクスリと笑ってみせる。
「内緒です」
人差し指を唇の前に立てながら言う彼女に、二人は頬を赤らめた。
「……いい人」
ぽつりと呟いた紅子に、昭平は視線を投げる。
「紅子ちゃんもいるの?気になる人」
腕を組んで机に突っ伏す彼に、紅子は「いえ」と首を振った。
「私は、嫁いだ人を好きになりたいなと思っています」
昭平はじっと腕の中から紅子を見つめた。
「それは、好きになった人とは結ばれることがないからってこと?」
昭平の言葉に、紅子は軽くかぶりを振った。
「それも無いとは言いきれませんが」
しゅっと音を響かせて筆を走らせる。
「何かの縁で結ばれていたのだと思うからです」
コトンと筆を置いて、紅子は昭平に笑顔を向けた。
彼女の笑顔に昭平は言った。
「君は嘘つきだね」
「え……」
思いがけない反応に、紅子は目を丸くした。
「君は、何も考えてなんかいないだろう」
むくりと起き上がりながら、彼は十露盤の珠を弾いた。
紅子は黙って続きを促した。
「君は、何も望んでなんかいないだろ?」
机の下で、紅子はきゅっと手に力を込めた。
「それを悪いことと言うつもりも毛頭ないし、口出す気もないけど。人生、もっと楽しんだ方がいいんじゃない?」
そっと視線を外して、「そうですね」と笑った。
笑ってみせた。
昭平もまた、にこりと笑みだけを返した。
帰り道、紅子はずっと俯いて歩いていた。
「お紅ちゃん……今度は何があったの」
滋宇は沈黙に耐えかねて口を開いた。
紅子は俯いたまま、ボソボソと小さな声を出した。
「人生、もっと楽しんだ方がいいんじゃないって言われたの」
滋宇はピタリと足を止めた。
紅子もつられて足を止め、ゆっくりと滋宇に身体を向ける。
「無理に、決まってるのにね」
諦めたような、寂しげな色を灯す紅子の瞳に、滋宇は何も言えずにいた。
明るい日差しの似合わない紅子の背中に、滋宇は拳を握りしめた。
タタタッと紅子に駆け寄り、腕にしがみついた。
「滋宇……?」
「さ、早く宿に戻ろ」
わざと明るい声で、滋宇は笑顔を紅子に向ける。
紅子は眉を下げて「そうね」と口角を上げた。
黒い雲の隙間から、一筋の光が漏れ出ていた。
「やっぱり、字が書けない子は少ないのね」
と、こそっと耳打ちするように桜は言った。
桜は背筋をしゃんと伸ばし、深緑に反射する髪を肩の高さに揃えている、格好いい女子だ。切れ長の瞳が、より一層彼女を惹き立てている。
聞けば、彼女は紅子と同じ年らしい。
彼女の家は由緒ある武家の家らしく、桜は親からすれば望まれなかった性別で生まれてきてしまったらしい。
だが、彼女はめげなかった。
自分の存在意義を、自分で確かめるために、或いは見つけるために、この塾へと赴いたそうだ。
「私は、できたらお嫁になんか行きたくないの。父のもとで剣術を極めたいのだけど……なかなか、そうはいかないわよね」
筆をことりと置いて、彼女は寂しげに笑う。
塾を出たら、即結婚。
それが、親に決められた道らしい。
「父は最後まで……私を認めてはくださらないでしょうね」
パチパチッと十露盤を叩きながら、誰に言うでもなく呟いた。
「桜さん………」
大丈夫ですよ、きっと認めて貰えます。
そんな気休めの言葉を、彼女は欲してなどいないだろう。ただ、誰かに聞いてもらいたかっただけなのかもしれない。
「……今度」
紅子はシャッシャッと筆の形を整えて紙へと押し付ける。
真っ黒な墨が、白い紙に色を付けていく。
「私にも、教えてくださいな」
目を少し細くして、紅子は唇をそっと曲げた。
桜はきょとんと目を瞬いたが、すぐに頬を染めて、
「ええ」
と嬉しそうに笑った。
「あ、紅子ちゃん」
と、隣の席に座っていた昭平が、紅子を呼ぶ。
紅子は内心ビクビクしながら、
「何でしょう」
と笑顔を向けた。
「これ、どうやるの?」
十露盤を手にしながら唸る昭平に、紅子はほっと胸を撫で下ろす。
秘密を知られてから、彼女は昭平が口を滑らせるやも、と気が気ではなかったのだ。
本当にうっかりしていた。
今、国はいい動きをしていない。むしろ他国との戦争の道を歩み始めている。国民の誰もが、それを望んでいる。
もし戦争が始まるのだとしたら、紅子の能力は決して人に知られてはならない。売られる、という危険の他に、戦地へと向かわされることになるだろう。
彼女の能力をもってすれば、死なない兵士がたくさん産み出される。彼女の祖母の時のように。
紅子はキュッと締め付けられた心臓にそっと手をおいて、ゆっくりと深呼吸した。
口が乾く。
彼女の祖母は能力を軍の者に知られてしまい、戦地へと連れていかれた。
そして、彼女の祖母は──。
「紅子ちゃん?」
心配そうに覗き込んできた昭平に、紅子はぎこちなく微笑んだ。
「ごめんなさい。ちょっとぼーっとしてしまって……どれですか?」
長く紅い髪を耳にかけ、紅子は昭平の手元を覗き見た。
「……いいよなぁ、昭平のやつ」
坊主頭が売りの柴田権次郎は大きな溜め息をついた。
「ほんとだよなぁ。美人で控えめで後ろ盾もあって、おまけに勉学まで優れてる紅子さんに仲良くしてもらって……まぁ、お似合いってやつだよなぁ」
権次郎のすぐ隣にいた汐留馬庄も首肯する。
「ああ、あいつの家って名家なんだっけか」
「あんななりしてても、確か昭平のやつ、剣の腕は……」
「なんのお話ですか?」
ふっと上から澄んだ声が降ってきた。
「あ、酒井さん」
「昭平の話だよ。あっ、座って座って」
と、二人は筆を置いて座布団を譲る。
「どうぞお気になさらず……昭平さんて、確か長男ではなかったかと思うのですが」
明菜の呟きに、二人は「あー」という肯定の声を漏らした。
「やっぱり、長男じゃないと女性陣としてはアウトな感じなのかい?」
馬庄は眼鏡をかけ直しながら力なく笑った。
「そうですね、大事です。私は特に……あまり言いたくはないのですが、家が大きいものですから、半端なところへは嫁がせて貰えません。いくら政略結婚が薄れてきたとはいえ、力を持つ家の風習というのは、なかなか……。いい人を連れてこれなければ、私は父様の言うところへ嫁ぐことになるでしょうね」
明菜は静かに書を閉じた。
目を伏せ、赤い唇をきゅっと引き結んでいた。
「私は父様のお人形ということなのかと、時々考えてしまいますわ」
「まぁ、女子なんて大抵そんな感じでしょうけれどね」
と、口を挟んできたのは桜だった。
「けれど、やっぱり……私は私の好きな人のもとへ嫁ぎたいのです」
明菜がそう漏らすと、男子二人は「え」と固まった。
「さ、酒井さんはもう……好きな人が……!?」
おろおろと狼狽える彼らに、明菜はクスリと笑ってみせる。
「内緒です」
人差し指を唇の前に立てながら言う彼女に、二人は頬を赤らめた。
「……いい人」
ぽつりと呟いた紅子に、昭平は視線を投げる。
「紅子ちゃんもいるの?気になる人」
腕を組んで机に突っ伏す彼に、紅子は「いえ」と首を振った。
「私は、嫁いだ人を好きになりたいなと思っています」
昭平はじっと腕の中から紅子を見つめた。
「それは、好きになった人とは結ばれることがないからってこと?」
昭平の言葉に、紅子は軽くかぶりを振った。
「それも無いとは言いきれませんが」
しゅっと音を響かせて筆を走らせる。
「何かの縁で結ばれていたのだと思うからです」
コトンと筆を置いて、紅子は昭平に笑顔を向けた。
彼女の笑顔に昭平は言った。
「君は嘘つきだね」
「え……」
思いがけない反応に、紅子は目を丸くした。
「君は、何も考えてなんかいないだろう」
むくりと起き上がりながら、彼は十露盤の珠を弾いた。
紅子は黙って続きを促した。
「君は、何も望んでなんかいないだろ?」
机の下で、紅子はきゅっと手に力を込めた。
「それを悪いことと言うつもりも毛頭ないし、口出す気もないけど。人生、もっと楽しんだ方がいいんじゃない?」
そっと視線を外して、「そうですね」と笑った。
笑ってみせた。
昭平もまた、にこりと笑みだけを返した。
帰り道、紅子はずっと俯いて歩いていた。
「お紅ちゃん……今度は何があったの」
滋宇は沈黙に耐えかねて口を開いた。
紅子は俯いたまま、ボソボソと小さな声を出した。
「人生、もっと楽しんだ方がいいんじゃないって言われたの」
滋宇はピタリと足を止めた。
紅子もつられて足を止め、ゆっくりと滋宇に身体を向ける。
「無理に、決まってるのにね」
諦めたような、寂しげな色を灯す紅子の瞳に、滋宇は何も言えずにいた。
明るい日差しの似合わない紅子の背中に、滋宇は拳を握りしめた。
タタタッと紅子に駆け寄り、腕にしがみついた。
「滋宇……?」
「さ、早く宿に戻ろ」
わざと明るい声で、滋宇は笑顔を紅子に向ける。
紅子は眉を下げて「そうね」と口角を上げた。
黒い雲の隙間から、一筋の光が漏れ出ていた。
0
お気に入りに追加
13
あなたにおすすめの小説

【完結】内緒で死ぬことにした 〜いつかは思い出してくださいわたしがここにいた事を〜
たろ
恋愛
手術をしなければ助からないと言われました。
でもわたしは利用価値のない人間。
手術代など出してもらえるわけもなく……死ぬまで努力し続ければ、いつかわたしのことを、わたしの存在を思い出してくれるでしょうか?
少しでいいから誰かに愛されてみたい、死ぬまでに一度でいいから必要とされてみたい。
生きることを諦めた女の子の話です
★異世界のゆるい設定です
旦那様、前世の記憶を取り戻したので離縁させて頂きます
結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
恋愛
【前世の記憶が戻ったので、貴方はもう用済みです】
ある日突然私は前世の記憶を取り戻し、今自分が置かれている結婚生活がとても理不尽な事に気が付いた。こんな夫ならもういらない。前世の知識を活用すれば、この世界でもきっと女1人で生きていけるはず。そして私はクズ夫に離婚届を突きつけた―。

10年間の結婚生活を忘れました ~ドーラとレクス~
緑谷めい
恋愛
ドーラは金で買われたも同然の妻だった――
レクスとの結婚が決まった際「ドーラ、すまない。本当にすまない。不甲斐ない父を許せとは言わん。だが、我が家を助けると思ってゼーマン伯爵家に嫁いでくれ。頼む。この通りだ」と自分に頭を下げた実父の姿を見て、ドーラは自分の人生を諦めた。齢17歳にしてだ。
※ 全10話完結予定

【完結】仰る通り、貴方の子ではありません
ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは
私に似た待望の男児だった。
なのに認められず、
不貞の濡れ衣を着せられ、
追い出されてしまった。
実家からも勘当され
息子と2人で生きていくことにした。
* 作り話です
* 暇つぶしにどうぞ
* 4万文字未満
* 完結保証付き
* 少し大人表現あり
転生悪役令嬢に仕立て上げられた幸運の女神様は家門から勘当されたので、自由に生きるため、もう、ほっといてください。今更戻ってこいは遅いです
青の雀
ファンタジー
公爵令嬢ステファニー・エストロゲンは、学園の卒業パーティで第2王子のマリオットから突然、婚約破棄を告げられる
それも事実ではない男爵令嬢のリリアーヌ嬢を苛めたという冤罪を掛けられ、問答無用でマリオットから殴り飛ばされ意識を失ってしまう
そのショックで、ステファニーは前世社畜OL だった記憶を思い出し、日本料理を提供するファミリーレストランを開業することを思いつく
公爵令嬢として、持ち出せる宝石をなぜか物心ついたときには、すでに貯めていて、それを原資として開業するつもりでいる
この国では婚約破棄された令嬢は、キズモノとして扱われることから、なんとか自立しようと修道院回避のために幼いときから貯金していたみたいだった
足取り重く公爵邸に帰ったステファニーに待ち構えていたのが、父からの勘当宣告で……
エストロゲン家では、昔から異能をもって生まれてくるということを当然としている家柄で、異能を持たないステファニーは、前から肩身の狭い思いをしていた
修道院へ行くか、勘当を甘んじて受け入れるか、二者択一を迫られたステファニーは翌早朝にこっそり、家を出た
ステファニー自身は忘れているが、実は女神の化身で何代前の過去に人間との恋でいさかいがあり、無念が残っていたので、神界に帰らず、人間界の中で転生を繰り返すうちに、自分自身が女神であるということを忘れている
エストロゲン家の人々は、ステファニーの恩恵を受け異能を覚醒したということを知らない
ステファニーを追い出したことにより、次々に異能が消えていく……
4/20ようやく誤字チェックが完了しました
もしまだ、何かお気づきの点がありましたら、ご報告お待ち申し上げておりますm(_)m
いったん終了します
思いがけずに長くなってしまいましたので、各単元ごとはショートショートなのですが(笑)
平民女性に転生して、下剋上をするという話も面白いかなぁと
気が向いたら書きますね
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

五歳の時から、側にいた
田尾風香
恋愛
五歳。グレースは初めて国王の長男のグリフィンと出会った。
それからというもの、お互いにいがみ合いながらもグレースはグリフィンの側にいた。十六歳に婚約し、十九歳で結婚した。
グリフィンは、初めてグレースと会ってからずっとその姿を追い続けた。十九歳で結婚し、三十二歳で亡くして初めて、グリフィンはグレースへの想いに気付く。
前編グレース視点、後編グリフィン視点です。全二話。後編は来週木曜31日に投稿します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる