ドラゴン=八角=アーム~無限修羅~

AKISIRO

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第1部 ロイ編

第5話 夢の図書館

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==とある村==
 本が大好きだった。
 父親はドガリル・ウェイト、7代将軍の1人だった。
 母親は病気で死んだ。
 旅に出たかった。
 世界各地に眠るであろう本を読み解きたかった。
 突如としてい頭の中で声が響くようになった。
 フラッシュパックのように見た事も無い景色が思い浮かんだ。

 果てしなく果てしなく、どこまでもどこまでも、見たこともない本の知識が頭に流れるようになった。
 額に七角の文様が現れるようになった。
 不思議だった。
 それが現れているとあらゆる知識が流れてくる。
 膨大な量に驚きながら、意識が朦朧としていた。
 だが、それらは遥か昔の知識だという事が分かった。
 
 自分自身が、一番最初に武器を開発したウェイバリアンと言う生まれ変わりだという事も悟った。
 新しい知識が欲しかった。
 だから、ドーマスは忽然と消えてしまっていたが、ロイには別れの挨拶を澄まして旅に出た。
 ドリームは戦う事を知らないから頭を使って旅をした。

 村に行くと冒険者ギルドで護衛の冒険者を雇っての冒険。
 ドリームは荷物持ちをしながら、本やら何やらを集めていた。
 彼の知識は武器や防具の設計図に秀でていたので、ひたすら設計図を売って金貨にしていた。

 飲み食いや寝床には困らなかった。
 ただ1つだけ困るとしたら。
 夢の世界の時間と現実の世界の時間が違っていたからだ。

 夢の世界で1週間が経つと、現実の世界では1日しかたっていないし。
 夢の中には沢山の書物が積み重なっており、暇を持て余す事も無かった。

 何より一番最高に良かったのは、コレクション感覚で本を積み重ねる事が出来たことだ。
 新しい知識となった本は新しい本として夢の中にコレクションされていく。

 本に囲まれた夢の図書館がそこには広がっていた。
 指先1つで本を操る事が出来る。
 この力が現実世界でも使えたらどれだけ最高だろうか。
 指先1つで物を操る力。
 それはある意味最強なのかもしれない。

 眼が覚めると、人々の悲鳴がこだましていた。
 ある時から、モンスターの大軍が攻めてこなくなった。
 巨大な隕石が大地に5つ降り注いだ時だったろうか。

 だが、現在は見たこともない人間のような化け物が異世界から来訪者としてやってきていた。
 彼等は村や街や国を襲っていった。
 彼等は拠点を作る事を好まず、ひたすら残虐に殺してく。
 まるでどこかに生贄を送っているかのような行いだ。
 
 ドリームがいる村も同じような状況だったようだ。
 彼は即座に外に出たのだが、問題はそこからだ、多くの村人が悲鳴を上げて逃げまとっている。
 目の前の子供が化け物のような人間に襲われそうになっている。
 はっとなって、夢の中でやっていたように指先を向けた。

 対象者から剣を弾き飛ばす。
 まるで演奏者の如く指揮棒で操って剣を弾き飛ばしたかのようだ。
 
「こ、これは」

 次から次から、化物のような人間から武器を弾き飛ばす。

 ドリームの周りには多くの冒険者達が集まってくる。

「皆さん今です」

 化け物のような人間達は見えない攻撃にさらされながら、びくびくとしながら逃げまとっている。
 そうして、冒険者達が化け物のような人間達を倒しつくす事に成功すると。
 ドリームはその場で歓迎の宴の主役となっていた。

 自分自身でもよくわからなかった。
 不思議と変な力が使えるのだと思った。
 だから命を助けるために使えたらいいなと思った。
 もしこの力を使ってカーゼル村を守れたら。

 きっとこれからひどい事になるから、戻ろうか。
 それにこの村からだとそんなに遠くないだろうし。

 そうして、ドリームはまた旅に出た。
 大量の本は売り飛ばす事にして。
 カーゼル村に向かう。
 山と山に囲まれた村。
 まるで逆傘のような村にドリームは夢や希望を詰め込んで歩き出す。
 もちろん1人だ。
 冒険者を雇うお金がない訳ではない。
 ただただ。この指揮者の力を使ってみたいと思ったからだ。
 だからなのかもしれないけど。
 今、生きているっていう感じがするんだ。

 ドリームは走る。
 楽しくて楽しくてたまらないからだ。

 筋肉もろくについておらず。
 ただぼろぼろの肉体な訳でもなく。
 ただ少しなよってしているかもしれないけど。
 1人の男として、不思議な力を使えて。
 ただそれだけで良いのだから。

 ただそれだけで、沢山の命を救えるのだから。
 だからドリームはカーゼル村に向かう。
 そこにはかつての友ロイとドーマスがいる事を願っているのだから。



==ブシャルー帝国==

 ナルデラ・ゴッド・ブシャルーは玉座にて逆立ちで集中していた。

「これこれ、若様、何をなさっているのですか」

「鬼婆か、今集中していたところだ」

「ほほう、鬼婆からしたら意味不明そのものですがな」

「そうか? 頭に血が巡って集中しやすいぞ」

「そうでもないものかもしれませんなぁ、さてと、異世界からの来訪者達の気配が消えてから、モンスターの大軍が消えたと思ったら次は、見た事もない化け物の人間が攻めてきました。ブシャルー帝国の10の領地にて、10人の滅び人が守り切りましたが、ガンムンド・ソーラとゴルドン・ソーラの2人に変な鎧がまとわりついて、彼等の情報によりますと」

「話が長いぞ、鬼婆」

「はふー失礼しました。簡単に説明しますと、5人の鎧の候補者を選ぶためにモンスターの大軍を送り込んでいたそうです、決まったのでモンスターは攻めてこぬようですが、異世界各地にて戦争が勃発しており、それを救う手段のようですね、今残りの3体の鎧候補者を探しておりますが、いまだ見つかっておりません」

「ふむ、やはり長いな」

「こ、これは失礼しましたーですじゃ」

「いや、良いんだ。ハルニレム王は助け出さねば、お主の予知能力でなんとかなるだろう」

「まぁ、見えとるのは異世界に吹き飛ばされたと言う事です。他の7代将軍もそれぞれ異世界とこの世界の各地にて療養しているようですじゃ」

「ふむ、そのハルニレムが飛ばされた異世界の名は?」

「地球と呼ばれる場所ですじゃ」

「そこに俺が行く方法は?」

「ないですじゃ。異世界に渡る方法は限られておりますじゃ」

「そうか、それなら力を蓄えるしかないか」

「その通りですじゃ、それにハルニレム王の息子が2人いるのですがじゃ、1人は死んだとされておりましたが、地球にいるようですじゃ、それに1人は隠されており、魔法がかけられており見つけられないですじゃ」

「それは気にするな、あの一族は大抵表に出てくるから分かる」

「そうなのですかじゃ?」

「お前だって何百年も生きている口ではなかろうか」

「それでも若様には勝てないですよ、なぜなら若様は300歳を超えておりますがな」

「まぁ、呪いだがな」

「7代将軍が1人ラガディ・ヘルマの造った技術を応用した力の失敗があなたなのですが、それは成功と捉えたほうがよかろうですじゃ」

「それがポジティブだというのかもしれないな」

「まぁ、気にする事ではないですじゃ、それじゃあ、わしは食事の準備をしてまいりますじゃ」

「ありがとうな」

「気にするなですじゃ」

 今宵もナルデラ・ゴッド・ブシャルーは逆立ちになりながら玉座に集中していた。
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