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私の進むべき道を見つけたよ!

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「ちょ、何だよそれ。バカな真似はよせ。こっちに戻って来いよ。生産ギルド同士、争っても利はないぞ」

 さすがに予想外の展開だったのか、ギルドマスターは焦り始めた。
 
「別に、あなたたちと張り合うつもりはないよ。こっちはこっちで勝手にやらせてもらう。私たちは精霊武具を専門にするつもりだから、きっと需要がバッティングすることもないだろうしね」

 『炎の工房』の一般ギルド員には、別にこれといって悪感情があるわけじゃない。ギルド自体を潰してしまえだなんて、さすがに考えてはいないよ。

「ただし、あなたたち『炎の工房』の幹部クラス連中とは、今後一切、話し合う気はないからね」

 でも、幹部連中だけは別だ。あいつらが私にしでかした仕打ちの落とし前は、きっちりつけてもらうんだから。

「はいはい、お帰りはこちらだよー。冷やかしのお客様は、さよーならー」

 私はギルドマスターの背を無理やり押した。

「お、おい。まだ話は終わって――」

「ざんねーん、あんたはこの工房出禁ね。バイバーイ」

 ギルドマスターの言葉を途中で遮って、私は無理やり彼を工房の外へと追い出した。

 まだブツブツ文句を言っているギルドマスターの背に向かって、私は盛大に塩を撒く。

 お清めお清め。二度と来るな、バーカ。

 私は手をパンパンっと払い、付いた塩を落とした。

「ふぅ……。あー、すっきりした」

「レンカ、なかなかやるじゃない」

 私は突然声をかけられて驚き、びくっと体をこわばらせた。ゆっくりと声のした方へ顔を向けると、ユリナがにやにやと笑いながら立っている。

「げげっ、ユリナ。もしかして見てた?」

 ユリナは笑顔でうなずいた。

 うそー、マジですかー。恥ずかしすぎる。

「でも、それでこそレンカって感じがするぞ」

 ユリナの後ろから、今度はカレルが姿を現す。

 あちゃー、カレルにまで見られていたよ。

 ……でも、まぁいいかな。これが私らしいって言ってくれているし。人間、自然体が一番だよね。

「おかげさまで、ここ数日の嫌な気分もすっかり払しょくできたよ。これで気分一新、鍛冶に取り組めるかな」

 まさに、憑き物が落ちたって表現がぴったりくる。新生レンカ、今ここに現れりってね。

「カレルの仲間のエレメンタルウェポン制作も、近々やるんだっけ? もう、どんどん持ってこーいって感じだよ。よーし、腕が鳴るぞー」

 私は腕をまくり、「お任せあれっ」と言い放った。

「じゃあ、後日、ゲイルとミリアを連れてまた寄らせてもらうよ」

 私のしぐさにカレルは微笑を浮かべながら、隣に立つユリナに目配せをする。

 ユリナはうなずいて、「じゃあ、レンカ。またね」と別れのあいさつを口にし、カレルと連れ立って工房を後にした。

「はーい、お待ちしていまーす」

 私は勢いよくブンブンと手を振って、カレルとユリナを送り出した。

 そのまま、ユリナと並んで歩くカレルの後姿を、人ごみに紛れて見失うまで、私はじいっと見つめ続けた。

 ――ありがとう、そしてさようなら、私の初恋。
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