上 下
190 / 272
第十七章 伯爵軍対帝国軍

6 何か妙案はございませんか?

しおりを挟む
 伯爵領を出立してから約一週間が経ち、アリツェとドミニクは王国軍陣地へと戻ってきた。国境地帯の森は行きと同様に精霊術で上空を迂回し、アリツェたちは帝国軍に気取られないよう、細心の注意を払った。

 戻った王国軍の陣地は、だいぶ混とんとした状況に陥っていた。状況はあまりよくないように感じられる。

 アリツェは着いた足で司令部の天幕へと向かった。

「お兄様! 今戻りましたわ!」

 天幕に入るや、アリツェは声を張り上げた。

 フェルディナントとラディムはすぐさまアリツェへ向き直ると、途端に表情を緩ませた。

「アリツェ、良かった! 無事に戻れたか!」

 ラディムはアリツェの元へ駆け寄ると、手を取ってぎゅっと握りしめた。随分と心配をしてくれていたようだ。

「状況はどうなっていますの?」

 ラディムを安心させるように、アリツェはにこりと微笑みながら尋ねた。

「その点については、叔父上が説明してくれる」

 ラディムは振り返り、後ろに立つフェルディナントを示す。

「アリツェ、ご苦労だったね」

 フェルディナントもアリツェの傍まで歩み寄ると、優し気な視線を寄こした。

「状況は、正直よくないね。ザハリアーシュたちの奇襲で、前線を張る第一軍が浮足立っている」

 フェルディナントは現状を口にすると、一転して表情を曇らせる。

 ここ一週間、毎日のように導師部隊の襲撃を受けており、第一線の部隊の混乱は相当なものになっているようだ。以前の大勝が効いているおかげか、いまだ前線を破られるような事態にまでは陥っていないが、このままでは突破されるのも時間の問題だとフェルディナントは嘆く。

 今はラディムの使い魔のミアが、前線に張り付いて警戒をしている。だが、やはり精霊使いであるラディムが傍にいなければ、使い魔もその実力を発揮しきれない。

 もう一匹の使い魔のラースは、ラディムの警護のために司令部から離れられない。ミア一匹で広範囲のカバーが必要となるため、どうしても警戒の穴が出てきた。今はその穴を的確に導師部隊に突かれている形だと、フェルディナントは苦虫をかみつぶしたような表情で語った。

「もしかして、姿をくらませた状態で、側面や背後から爆薬を投げつけられているのでしょうか?」

 奇襲と聞いて、アリツェは導師部隊が伯爵領軍に対して行っていた行動を、脳裏に思い浮かべた。

 導師部隊は、伯爵領軍の張る陣形の中でも特に薄いと思われる側面や背後を、光属性を練りこんだ外套を着込んで姿をくらましながら近づき、爆薬などのマジックアイテムを駆使しながら襲いかかっていた。

「あぁ、そのとおりだよ。もしかして、伯爵も同じ目に?」

 素早く状況を読み取ったアリツェに、フェルディナントは少し驚いたように目を見開いた。

「はい。……それでしたら、一度わたくしも対処しておりますし、お任せいただければどうにかいたしますわ」

 アリツェは己の自信を示すように、ぐいっと胸を張った。

「長旅で疲れているところを悪いね。頼むよ」

「うふふ、精霊術のすさまじさ、再びザハリアーシュたちの胸に刻み込んで見せますわ!」

 頭を垂れるフェルディナントに、アリツェは強気に答える。

「アリツェが戻って、本当に心強いね」

 ホッと安堵しているフェルディナントを見て、アリツェは大いに満足した。

 劣勢の状況で気が滅入っているであろうフェルディナントを、少しでも励ませられれば……。あえて自信たっぷりに応じたアリツェの意図は、どうやら奏功したようだ。

「それとお兄様、伯爵領軍の件についてなのですが……」

 アリツェはラディムに視線を向けた。

 今、伯爵領軍には精霊使いが皆無だ。霊素持ちもいない。なので、ラディムが伯爵領軍に転属をして、ザハリアーシュに備えるのが上策だ。そうアリツェはラディムに訴えた。また、その際にエリシュカの同行を伯爵が望んでいるとも付け加える。

 アリツェの提案を受け、ラディムは腕を組み、考え込んだ。

「叔父上、どう思う?」

 しばらく思案したのち、ラディムは隣に立つフェルディナントに意見を求めた。フェルディナントも考えを巡らせているのか、うんうんとうなっている。

「タイミングとしては、今しかないかもしれないかな?」

 最終的にはアリツェの意見に同調するように、フェルディナントは首を縦に振った。






 フェルディナントやラディムとの話を終えて、アリツェはドミニクとともに司令部の天幕を離れた。周囲の状況を掴むために、かつての巡回コースをゆっくりと歩く。

 以前はアリツェやドミニクだけで回っていた巡回コースも、今は多数の哨戒の兵が行き来していた。いつ導師部隊に奇襲されるかがわからないため、どの兵も一様に緊張した様子だった。

「さて、アリツェ。どうするんだい? 前回は完全にこちらの奇襲がはまったから、容易に撃退できたよ。けれども、今回は相手も警戒しているんじゃないかな?」

 ドミニクはアリツェに視線を遣り、懸念を口にする。

「わたくしが王国軍側に戻っているとは、まだ知られていないと思いますわ。再度の奇襲、成功させて見せますわ!」

 アリツェは手を握り締めながら、力強く答えた。

 王国軍陣地へ戻る際に、帝国軍には見つからないよう迂回をしている。まだアリツェの帰還は悟られていないはずだ。

「とはいっても、ラディムが伯爵領軍側に転属する件も、当然帝国軍は知らないはずだよ。帝国側は、王国軍にまだラディムがいる前提で動いているはずだ。ザハリアーシュもラディムの精霊術を警戒して、何らかの対策を取ってそうな気がするんだよね」

「なるほど、そういわれてみればそうですわね」

 今までラディムは立場上の問題もあり、対魔術要員として見なされてはいなかった。そのため、帝国側がラディムの精霊術に対抗する術を準備しているだろう可能性を、アリツェはすっかり失念していた。ラディム自身が精霊使いの立場として戦場に出張ってくる可能性を、帝国側は当然に考慮しているだろう。

「少し、慎重に事を運ぼうよ」

「わかりましたわ。少々性急に過ぎたようです。ドミニクも何か案がありましたら、お願いいたしますわ」

 アリツェはドミニクの思慮深さに感心した。確かに、もう少し用心深い対応が必要なのかもしれない。

「『かまいたち』、『目つぶし』、『豪雨』は、一度使っているから警戒されていると考えたほうがいいね」

 考え込み、首をひねりながら、ドミニクはブツブツとつぶやく。

「となりますと……、わたくしも爆薬を作って対抗するのはいかがでしょうか?」

 霊素の扱いではアリツェに一日の長がある。同じ爆薬を作るにしても、悠太の記憶のあるアリツェのほうが、よほど高性能なものを作れるだろう。

「数をそんなにすぐに用意できるのかい? それに、マジックアイテムは霊素持ちが使ったほうが効果が大きいんだろう? 霊素持ちの人数はあちらさんが勝っているし、不利だと思うよ」

 ドミニクは頭を横に振った。

「なかなか難しいですわね」

 妙案が浮かばず、アリツェはため息をついた。

「お兄様経由で、マリエ様が使っていた拘束玉の作り方は承知しているのですが……。やはりここでも、霊素持ちで動けるのがわたくしだけという点がネックですわね」

「うん、アリツェ一人では、相手の数に押されてしまう。拘束玉で全員を拘束しきる前に、抵抗されるのは必至だね」

 拘束玉については、自らも食らってその効果の有用性は十分にわかっている。だが、使える人間が霊素持ちだけという制限が問題だった。アリツェ一人で導師部隊数十人を一度に拘束しきるのは、どう考えても現実的ではない。

「お兄様はもういらっしゃらないので、使い魔を借り受けるわけにもいきませんわ」

「交代で見張りをする以上、ルゥとペスは別々に行動せざるを得ない。なかなか厳しいね」

 精霊使いがアリツェ一人のみなので、取れる戦略に幅を持たせられない。このままでは、いくら考えても良い着想が浮かびそうになかった。

「叔父様には大見えを切りましたが、少々困りましたわね」

 アリツェは力なく頭を振った。

 威勢のいい言葉を吐いたはいいが、このままでは大した成果を上げられそうもない。フェルディナントを失望させてしまうかもしれなかった。

「単属性しか使えない状況じゃ、選択肢があまりないなぁ」

 同時使用可能な属性が一つでは、飛行術と併用しての攻撃といった手段は取れない。妙案もなし、アリツェとドミニクは顔を見合わせ、互いにため息をこぼした。

(アリツェ、風属性で空気を操って、音波攻撃がいいんじゃないか?)

 とその時、横から悠太が割って入ってきた。

(悠太様! 久しぶりでございますわ。最近まったく表に出ていらっしゃらないので、心配しておりましたわ)

 アリツェは久々の悠太の登場に、ホッと胸をなでおろした。ここ最近は、いくら呼び掛けても返事のない時が多く、何か問題でも発生しているのかと気をもんでいたからだ。

(……いろいろ思うところがあるんだ。それよりも、今考えるべきは対魔術だろう?)

 悠太はわずかに言葉を濁したものの、すぐに本題に入る。

(そうでしたわ! 音波攻撃といいますと、具体的には?)

 言葉を聞いただけではアリツェはピンとこなかった。悠太の詳しい説明が必要だ。

(相手を大音圧にさらして行動不能にする。やりすぎると聴覚に異常をきたすと思うので、やるなら数秒ってところかな? 短時間で広範囲に影響を及ぼせるから、今回の場合はわりと有効だと思うぞ)

 悠太は要点をざっと述べる。アリツェも解説を聞くや、持っている悠太の記憶ともあいまって、何となくだがイメージがつかめてきた。

(では、悠太様の案を試してみますわ)

 納得がいったアリツェは礼を述べると、悠太からは「頑張るんだな」と返ってきた。そして、悠太の意識は再び落ちていった。

「ドミニク、悠太様から助言をいただきましたわ」

 アリツェは少し声を弾ませながら、ドミニクに悠太から授かった作戦の概要を説明した。

「ボクには細かい理屈はわからないけれど、話を聞く限りでは有効そうだね。アリツェ、いきなりで使いこなせそう?」

 ドミニクはこくこくとうなずくと、最後に大丈夫かと問いかける。

「悠太様が過去に使った経験がございまして、その時の記憶が残っているので問題はなさそうですわ」

 アリツェは首肯した。

 悠太の知識を生かせるので、特段不安はなかった。それほど難しい精霊術というわけでもなさそうなので、本番での失敗を危惧する必要もなさそうだ。

「じゃ、その手で行こうか」

 ドミニクはアリツェの手を取り、再び巡回コースを歩き出した。

 アリツェも手を引かれるがまま、足を踏み出す。方針が決まり、アリツェはのしかかっていた肩の荷が降りた気分だった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】『飯炊き女』と呼ばれている騎士団の寮母ですが、実は最高位の聖女です

葉桜鹿乃
恋愛
ルーシーが『飯炊き女』と、呼ばれてそろそろ3年が経とうとしている。 王宮内に兵舎がある王立騎士団【鷹の爪】の寮母を担っているルーシー。 孤児院の出で、働き口を探してここに配置された事になっているが、実はこの国の最も高貴な存在とされる『金剛の聖女』である。 王宮という国で一番安全な場所で、更には周囲に常に複数人の騎士が控えている場所に、本人と王族、宰相が話し合って所属することになったものの、存在を秘する為に扱いは『飯炊き女』である。 働くのは苦では無いし、顔を隠すための不細工な丸眼鏡にソバカスと眉を太くする化粧、粗末な服。これを襲いに来るような輩は男所帯の騎士団にも居ないし、聖女の力で存在感を常に薄めるようにしている。 何故このような擬態をしているかというと、隣国から聖女を狙って何者かが間者として侵入していると言われているためだ。 隣国は既に瘴気で汚れた土地が多くなり、作物もまともに育たないと聞いて、ルーシーはしばらく隣国に行ってもいいと思っているのだが、長く冷戦状態にある隣国に行かせるのは命が危ないのでは、と躊躇いを見せる国王たちをルーシーは説得する教養もなく……。 そんな折、ある日の月夜に、明日の雨を予見して変装をせずに水汲みをしている時に「見つけた」と言われて振り向いたそこにいたのは、騎士団の中でもルーシーに優しい一人の騎士だった。 ※感想の取り扱いは近況ボードを参照してください。 ※小説家になろう様でも掲載予定です。

稀代の悪女として処刑されたはずの私は、なぜか幼女になって公爵様に溺愛されています

水谷繭
ファンタジー
グレースは皆に悪女と罵られながら処刑された。しかし、確かに死んだはずが目を覚ますと森の中だった。その上、なぜか元の姿とは似ても似つかない幼女の姿になっている。 森を彷徨っていたグレースは、公爵様に見つかりお屋敷に引き取られることに。初めは戸惑っていたグレースだが、都合がいいので、かわい子ぶって公爵家の力を利用することに決める。 公爵様にシャーリーと名付けられ、溺愛されながら過ごすグレース。そんなある日、前世で自分を陥れたシスターと出くわす。公爵様に好意を持っているそのシスターは、シャーリーを世話するという口実で公爵に近づこうとする。シスターの目的を察したグレースは、彼女に復讐することを思いつき……。 ◇画像はGirly Drop様からお借りしました ◆エール送ってくれた方ありがとうございます!

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

エーリュシオンでお取りよせ?

ミスター愛妻
ファンタジー
 ある男が寿命を迎え死んだ。  と、輪廻のまえに信心していた聖天様に呼び出された。    話とは、解脱できないので六道輪廻に入ることになるが、『名をはばかる方』の御指図で、異世界に転移できるというのだ。    TSと引き換えに不老不死、絶対不可侵の加護の上に、『お取り寄せ能力』という変な能力までいただいた主人公。  納得して転移した異世界は……    のんびりと憧れの『心静かな日々』を送るはずが……    気が付けば異世界で通販生活、まんざらでもない日々だが……『心静かな日々』はどうなるのか……こんなことでは聖天様に怒られそう……  本作は作者が別の表題で公開していた物を、追加修正させていただいたものです。その為に作品名もそぐわなくなり、今回『エーリュシオンでお取りよせ?』といたしました。    作者の前作である『惑星エラムシリーズ』を踏まえておりますので、かなり似たようなところがあります。  前作はストーリーを重視しておりますが、これについては単なる異世界漫遊記、主人公はのほほんと日々を送る予定? です。    なにも考えず、筆に任せて書いております上に、作者は文章力も皆無です、句読点さえ定かではありません、作者、とてもメンタルが弱いのでそのあたりのご批判はご勘弁くださいね。    本作は随所に意味の無い蘊蓄や説明があります。かなりのヒンシュクを受けましたが、そのあたりの部分は読み飛ばしていただければ幸いです。  表紙はゲルダ・ヴィークナー 手で刺繍したフリル付のカーバディーンドレス   パブリックドメインの物です。   

【完結】婚約破棄されて修道院へ送られたので、今後は自分のために頑張ります!

猫石
ファンタジー
「ミズリーシャ・ザナスリー。 公爵の家門を盾に他者を蹂躙し、悪逆非道を尽くしたお前の所業! 決して許してはおけない! よって我がの名の元にお前にはここで婚約破棄を言い渡す! 今後は修道女としてその身を神を捧げ、生涯後悔しながら生きていくがいい!」 無実の罪を着せられた私は、その瞬間に前世の記憶を取り戻した。 色々と足りない王太子殿下と婚約破棄でき、その後の自由も確約されると踏んだ私は、意気揚々と王都のはずれにある小さな修道院へ向かったのだった。 注意⚠️このお話には、妊娠出産、新生児育児のお話がバリバリ出てきます。(訳ありもあります)お嫌いな方は自衛をお願いします! 2023/10/12 作者の気持ち的に、断罪部分を最後の番外にしました。 2023/10/31第16回ファンタジー小説大賞奨励賞頂きました。応援・投票ありがとうございました! ☆このお話は完全フィクションです、創作です、妄想の作り話です。現実世界と混同せず、あぁ、ファンタジーだもんな、と、念頭に置いてお読みください。 ☆作者の趣味嗜好作品です。イラッとしたり、ムカッとしたりした時には、そっと別の素敵な作家さんの作品を検索してお読みください。(自己防衛大事!) ☆誤字脱字、誤変換が多いのは、作者のせいです。頑張って音読してチェックして!頑張ってますが、ごめんなさい、許してください。 ★小説家になろう様でも公開しています。

異世界転生~チート魔法でスローライフ

リョンコ
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

【グラニクルオンライン】〜女神に召喚されたプレイヤーがガチクズばかりなので高レベの私が無双します〜

てんてんどんどん
ファンタジー
国王「勇者よ!よくこの国を救ってくれた!お礼にこれを!!」 国王は綺麗な腕輪【所有者を奴隷にできる腕輪】を差し出した! 主人公(あかん、これダメな方の異世界転移だわ) 私、橘楓(たちばな かえで)はいつも通りVRMMOゲーム【グラニクルオンライン】にログインしたはずだった……のだが。 何故か、私は間違って召喚されゲーム【グラニクルオンライン】の300年後の世界へ、プレイしていた男キャラ「猫まっしぐら」として異世界転移してしまった。 ゲームの世界は「自称女神」が召喚したガチクズプレイヤー達が高レベルでTUeeeしながら元NPC相手にやりたい放題。 ハーレム・奴隷・拷問・赤ちゃんプレイって……何故こうも基地外プレイヤーばかりが揃うのか。 おかげでこの世界のプレイヤーの評価が単なるド変態なんですけど!? ドラゴン幼女と変態エルフを引き連れて、はじまる世直し旅。 高レベルで無双します。 ※※アルファポリス内で漫画も投稿しています。   宜しければそちらもご覧いただけると嬉しいです※※ ※恋愛に発展するのは後半です。 ※中身は女性で、ヒーローも女性と認識していますが男性キャラでプレイしています。アイテムで女に戻ることもできます。それでも中身が女でも外見が男だとBLに感じる方はご注意してください。 ※ダーク要素もあり、サブキャラに犠牲者もでます。 ※小説家になろう カクヨム でも連載しています

王が気づいたのはあれから十年後

基本二度寝
恋愛
王太子は妃の肩を抱き、反対の手には息子の手を握る。 妃はまだ小さい娘を抱えて、夫に寄り添っていた。 仲睦まじいその王族家族の姿は、国民にも評判がよかった。 側室を取ることもなく、子に恵まれた王家。 王太子は妃を優しく見つめ、妃も王太子を愛しく見つめ返す。 王太子は今日、父から王の座を譲り受けた。 新たな国王の誕生だった。

処理中です...