135 / 272
第十二章 悪役令嬢爆誕
6 聖女様を苛め抜きますわ
しおりを挟む
ラディムに協力を取り付けた後、アリツェは自室に戻った。
「さて、嫌がらせと申しましても、いったい何をすればよろしいのでしょうか」
椅子に腰を掛け、アリツェはぶらぶらと足を揺らす。
(うーん、そうだなぁ……)
悠太は口をつぐみ、考え込んだ。
(こんな感じでどうだ?)
しばらく待つと、悠太はいくつか案を出した。
もっとどぎつい嫌がらせを提案してくるかと思ったが、悠太は今のアリツェにも実行できそうな程度の作戦を示した。いきなりではアリツェが対応できないと踏んだのだろう。
「わかりましたわ。気は進みませんが、致し方ありませんわね」
アリツェはため息をつきつつも、首肯した。
その日の午後、アリツェは屋敷の廊下を歩いていると、目の前からクリスティーナが歩いてくるのが目に入った。クリスティーナは何やら困惑した顔を浮かべている。
「あらごきげんよう、クリスティーナ様。どうかなさいましたの?」
「あっ、アリツェ! ちょうどよかった。これからフェイシアの国王陛下と会食の予定があるのですが、指定されたこの場所がわからなくて、困っていたのです」
そういって、クリスティーナは手に持つメモをアリツェに見せた。
アリツェはメモを覗き込み、描かれた地図を眺める。アリツェのよく知る、オーミュッツで一番の老舗のレストランだった。アリツェは道を教えようとしたところで、ふと思い立った。
(悠太様の案に、ちょっとした嘘を付いて恥をかかせるっていうものがありましたわね。これはちょうどよさそうですわ)
「あらあら、それは大変ですわね。どれどれ……。ああ、ここは、中央通りから少しわき道に入って――」
アリツェはクリスティーナに懇切丁寧にレストランの場所を教えた。地図に描かれたものとはまったく別のレストランを……。
「ありがとう! あなた、ちんちくりんなのに気が利くわね!」
クリスティーナはパッと笑顔を浮かべると、アリツェの腕を取って礼とも言えぬ礼を口にした。そのままクリスティーナは手を離すと、パタパタと廊下を駆けていった。
(……嘘をお教えしましたが、なぜだか全然、申し訳ないという気持ちが起きませんわね)
クリスティーナの後ろ姿を見遣りながら、アリツェは嘆息した。
(ありゃ天然で性悪だな……)
悠太も呆れた声を上げた。
翌朝、クリスティーナが顔を真っ赤にしてアリツェの部屋に怒鳴り込んできた。
「ちょっと、アリツェ! 教えてもらった場所、全然違ったんですけど!」
クリスティーナは、鼻息荒くアリツェに食って掛かる。
「オーッホッホッホ! あら、それは大変に失礼をいたしましたわ。ただ、クリスティーナ様のお持ちだったメモでははっきりとはわからなかったものでして。文句ならわたくしではなく、そのメモを持ち込んだ側近の方におっしゃってはいかがかしら?」
アリツェはチラリとクリスティーナに視線を向け、薄ら笑いを浮かべた。
「あら、私の下僕……もとい、供の者たちが粗相をしたと? まぁ、失礼しちゃうわね!」
アリツェの態度にカチンと来たのか、クリスティーナはますます興奮し、地団太を踏み始めた。
(あらあら、はしたない。それでも一国の王女ですの?)
アリツェは呆れた。
「わたくしこれから予定がありますの。ごめんあそばせ」
これ以上付き合っていても時間の無駄だとアリツェは思い、適当な理由をつけて部屋を出た。
「ムキーッ! 何よあの態度!」
アリツェの部屋の中で、クリスティーナは悔しそうに吠えていた。
(これで、嫌がらせにはなりましたでしょうか、悠太様?)
(なんかあの聖女様、結構神経が図太そうだから厄介かもしれないぞ)
(はぁ……、そうですか。面倒ですわね)
アリツェはまだこんな不毛なことを続けなければいけないかと思うと、がっくりと肩を落とした。
翌日のお昼前、アリツェは厨房に足を向けた。
「ちょっとよろしいかしら?」
アリツェは近くにいたメイドに声をかける。
「あら、アリツェお嬢様。どうされました?」
本来厨房にいるべきではない主家の娘がいるので、メイドは少し困った顔を浮かべて、首をかしげた。
「いえ、実はクリスティーナ様が人参をお嫌いだとおっしゃっていたのを耳にいたしまして。あらかじめのけておいて差し上げようかと思いましたの」
アリツェはまったくのでたらめを口にした。クリスティーナから食べ物の好き嫌いの話など、聞いたことはなかった。
「あらあら、お嬢様はお優しいですね。いいですわ、除いておきます」
アリツェとクリスティーナは同年代の少女同士だ。メイドたちから見れば、友人同士のほほえましい気づかいに見えるのだろう。
「ああ、結構ですわ。あなたも忙しいでしょう? わたくしがやっておきますわ」
アリツェ自身がやらなければ意味がなかった。何しろ、クリスティーナへの嫌がらせの一環なのだから。
「でも、お嬢様を厨房にお入れするだなんて、旦那様に叱られてしまいます」
厨房に主人一家が出入りするのは、使用人の領域を冒す意味でもあまり好ましい行為ではない。本来であれば避けるべき行為だった。
「黙っていれば大丈夫ですわ。さ、あなたは自分の仕事に戻りなさい」
だが、アリツェは強引に中に入り込み、メイドを追い払った。
(えっと、このお皿にこの粉を入れればいいのですわね?)
アリツェは懐から小さな便を取り出した。悠太から持ってくるようにと指示されたものだ。
(ああ、胡椒たっぷりだ。こいつは楽しみだな。ふっふっふ)
(悠太様、随分と楽しんでいらっしゃるのですわね)
(あぁ、クリスティーナの性格が悪いから、オレもあまり罪悪感は抱かなくなったよ)
アリツェは苦笑した。だが、悠太の言葉には同感だった。
瓶の中に詰め込まれている胡椒を、アリツェはえいやっと勢いよくクリスティーナのスープ皿に大量に振りかける。巻き上がる胡椒の煙に、アリツェは思わず顔をそむけた。これは、なかなかに強烈だ。ちょっと、自分では口にしたくない。
目的を済ますと、アリツェはそそくさと厨房を退散した。
食堂で辺境伯一家とヤゲルの主だった面々がそろい、昼食会が始まった。
穏やかな雰囲気の中、めいめい談笑をしつつ、食事が進んでいく。
前菜が済み、スープが配膳された。各々がスプーンを手にし、スープを口に含めた時、事件は起こった。
「うっ! ゲホゲホゲホッ!」
クリスティーナは突然、盛大にむせこみ始めた。
「あら、はしたないですわ。どうなさったのですか、クリスティーナ様?」
アリツェは何食わぬ顔でクリスティーナをたしなめる。クリスティーナがむせたのは、当然アリツェが仕掛けた胡椒爆弾のためだ。
「ま、まさかあんた!? ちょっと、いったいなんてことしてくれるのよ!」
アリツェの様子にピンとくるものがあったのだろう、クリスティーナは怒りだし、アリツェを怒鳴りつけた。
「ふふっ、何のお話ですの? お食事時にみっともない真似はおよしになられた方がよろしいかと、わたくし愚考いたしますわ。皆さま怪訝な顔でクリスティーナ様をご覧になっていらっしゃいますわ」
アリツェは眉一つ動かさず、じっとクリスティーナを見つめた。
「くっ! ふ、ふんっ。今日のところは勘弁してあげるわ」
クリスティーナはたまらず顔を背け、口をナプキンで拭うと、再び食事に戻った。
「さて、嫌がらせと申しましても、いったい何をすればよろしいのでしょうか」
椅子に腰を掛け、アリツェはぶらぶらと足を揺らす。
(うーん、そうだなぁ……)
悠太は口をつぐみ、考え込んだ。
(こんな感じでどうだ?)
しばらく待つと、悠太はいくつか案を出した。
もっとどぎつい嫌がらせを提案してくるかと思ったが、悠太は今のアリツェにも実行できそうな程度の作戦を示した。いきなりではアリツェが対応できないと踏んだのだろう。
「わかりましたわ。気は進みませんが、致し方ありませんわね」
アリツェはため息をつきつつも、首肯した。
その日の午後、アリツェは屋敷の廊下を歩いていると、目の前からクリスティーナが歩いてくるのが目に入った。クリスティーナは何やら困惑した顔を浮かべている。
「あらごきげんよう、クリスティーナ様。どうかなさいましたの?」
「あっ、アリツェ! ちょうどよかった。これからフェイシアの国王陛下と会食の予定があるのですが、指定されたこの場所がわからなくて、困っていたのです」
そういって、クリスティーナは手に持つメモをアリツェに見せた。
アリツェはメモを覗き込み、描かれた地図を眺める。アリツェのよく知る、オーミュッツで一番の老舗のレストランだった。アリツェは道を教えようとしたところで、ふと思い立った。
(悠太様の案に、ちょっとした嘘を付いて恥をかかせるっていうものがありましたわね。これはちょうどよさそうですわ)
「あらあら、それは大変ですわね。どれどれ……。ああ、ここは、中央通りから少しわき道に入って――」
アリツェはクリスティーナに懇切丁寧にレストランの場所を教えた。地図に描かれたものとはまったく別のレストランを……。
「ありがとう! あなた、ちんちくりんなのに気が利くわね!」
クリスティーナはパッと笑顔を浮かべると、アリツェの腕を取って礼とも言えぬ礼を口にした。そのままクリスティーナは手を離すと、パタパタと廊下を駆けていった。
(……嘘をお教えしましたが、なぜだか全然、申し訳ないという気持ちが起きませんわね)
クリスティーナの後ろ姿を見遣りながら、アリツェは嘆息した。
(ありゃ天然で性悪だな……)
悠太も呆れた声を上げた。
翌朝、クリスティーナが顔を真っ赤にしてアリツェの部屋に怒鳴り込んできた。
「ちょっと、アリツェ! 教えてもらった場所、全然違ったんですけど!」
クリスティーナは、鼻息荒くアリツェに食って掛かる。
「オーッホッホッホ! あら、それは大変に失礼をいたしましたわ。ただ、クリスティーナ様のお持ちだったメモでははっきりとはわからなかったものでして。文句ならわたくしではなく、そのメモを持ち込んだ側近の方におっしゃってはいかがかしら?」
アリツェはチラリとクリスティーナに視線を向け、薄ら笑いを浮かべた。
「あら、私の下僕……もとい、供の者たちが粗相をしたと? まぁ、失礼しちゃうわね!」
アリツェの態度にカチンと来たのか、クリスティーナはますます興奮し、地団太を踏み始めた。
(あらあら、はしたない。それでも一国の王女ですの?)
アリツェは呆れた。
「わたくしこれから予定がありますの。ごめんあそばせ」
これ以上付き合っていても時間の無駄だとアリツェは思い、適当な理由をつけて部屋を出た。
「ムキーッ! 何よあの態度!」
アリツェの部屋の中で、クリスティーナは悔しそうに吠えていた。
(これで、嫌がらせにはなりましたでしょうか、悠太様?)
(なんかあの聖女様、結構神経が図太そうだから厄介かもしれないぞ)
(はぁ……、そうですか。面倒ですわね)
アリツェはまだこんな不毛なことを続けなければいけないかと思うと、がっくりと肩を落とした。
翌日のお昼前、アリツェは厨房に足を向けた。
「ちょっとよろしいかしら?」
アリツェは近くにいたメイドに声をかける。
「あら、アリツェお嬢様。どうされました?」
本来厨房にいるべきではない主家の娘がいるので、メイドは少し困った顔を浮かべて、首をかしげた。
「いえ、実はクリスティーナ様が人参をお嫌いだとおっしゃっていたのを耳にいたしまして。あらかじめのけておいて差し上げようかと思いましたの」
アリツェはまったくのでたらめを口にした。クリスティーナから食べ物の好き嫌いの話など、聞いたことはなかった。
「あらあら、お嬢様はお優しいですね。いいですわ、除いておきます」
アリツェとクリスティーナは同年代の少女同士だ。メイドたちから見れば、友人同士のほほえましい気づかいに見えるのだろう。
「ああ、結構ですわ。あなたも忙しいでしょう? わたくしがやっておきますわ」
アリツェ自身がやらなければ意味がなかった。何しろ、クリスティーナへの嫌がらせの一環なのだから。
「でも、お嬢様を厨房にお入れするだなんて、旦那様に叱られてしまいます」
厨房に主人一家が出入りするのは、使用人の領域を冒す意味でもあまり好ましい行為ではない。本来であれば避けるべき行為だった。
「黙っていれば大丈夫ですわ。さ、あなたは自分の仕事に戻りなさい」
だが、アリツェは強引に中に入り込み、メイドを追い払った。
(えっと、このお皿にこの粉を入れればいいのですわね?)
アリツェは懐から小さな便を取り出した。悠太から持ってくるようにと指示されたものだ。
(ああ、胡椒たっぷりだ。こいつは楽しみだな。ふっふっふ)
(悠太様、随分と楽しんでいらっしゃるのですわね)
(あぁ、クリスティーナの性格が悪いから、オレもあまり罪悪感は抱かなくなったよ)
アリツェは苦笑した。だが、悠太の言葉には同感だった。
瓶の中に詰め込まれている胡椒を、アリツェはえいやっと勢いよくクリスティーナのスープ皿に大量に振りかける。巻き上がる胡椒の煙に、アリツェは思わず顔をそむけた。これは、なかなかに強烈だ。ちょっと、自分では口にしたくない。
目的を済ますと、アリツェはそそくさと厨房を退散した。
食堂で辺境伯一家とヤゲルの主だった面々がそろい、昼食会が始まった。
穏やかな雰囲気の中、めいめい談笑をしつつ、食事が進んでいく。
前菜が済み、スープが配膳された。各々がスプーンを手にし、スープを口に含めた時、事件は起こった。
「うっ! ゲホゲホゲホッ!」
クリスティーナは突然、盛大にむせこみ始めた。
「あら、はしたないですわ。どうなさったのですか、クリスティーナ様?」
アリツェは何食わぬ顔でクリスティーナをたしなめる。クリスティーナがむせたのは、当然アリツェが仕掛けた胡椒爆弾のためだ。
「ま、まさかあんた!? ちょっと、いったいなんてことしてくれるのよ!」
アリツェの様子にピンとくるものがあったのだろう、クリスティーナは怒りだし、アリツェを怒鳴りつけた。
「ふふっ、何のお話ですの? お食事時にみっともない真似はおよしになられた方がよろしいかと、わたくし愚考いたしますわ。皆さま怪訝な顔でクリスティーナ様をご覧になっていらっしゃいますわ」
アリツェは眉一つ動かさず、じっとクリスティーナを見つめた。
「くっ! ふ、ふんっ。今日のところは勘弁してあげるわ」
クリスティーナはたまらず顔を背け、口をナプキンで拭うと、再び食事に戻った。
0
お気に入りに追加
291
あなたにおすすめの小説
稀代の悪女として処刑されたはずの私は、なぜか幼女になって公爵様に溺愛されています
水谷繭
ファンタジー
グレースは皆に悪女と罵られながら処刑された。しかし、確かに死んだはずが目を覚ますと森の中だった。その上、なぜか元の姿とは似ても似つかない幼女の姿になっている。
森を彷徨っていたグレースは、公爵様に見つかりお屋敷に引き取られることに。初めは戸惑っていたグレースだが、都合がいいので、かわい子ぶって公爵家の力を利用することに決める。
公爵様にシャーリーと名付けられ、溺愛されながら過ごすグレース。そんなある日、前世で自分を陥れたシスターと出くわす。公爵様に好意を持っているそのシスターは、シャーリーを世話するという口実で公爵に近づこうとする。シスターの目的を察したグレースは、彼女に復讐することを思いつき……。
◇画像はGirly Drop様からお借りしました
◆エール送ってくれた方ありがとうございます!
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
【グラニクルオンライン】〜女神に召喚されたプレイヤーがガチクズばかりなので高レベの私が無双します〜
てんてんどんどん
ファンタジー
国王「勇者よ!よくこの国を救ってくれた!お礼にこれを!!」
国王は綺麗な腕輪【所有者を奴隷にできる腕輪】を差し出した!
主人公(あかん、これダメな方の異世界転移だわ)
私、橘楓(たちばな かえで)はいつも通りVRMMOゲーム【グラニクルオンライン】にログインしたはずだった……のだが。
何故か、私は間違って召喚されゲーム【グラニクルオンライン】の300年後の世界へ、プレイしていた男キャラ「猫まっしぐら」として異世界転移してしまった。
ゲームの世界は「自称女神」が召喚したガチクズプレイヤー達が高レベルでTUeeeしながら元NPC相手にやりたい放題。
ハーレム・奴隷・拷問・赤ちゃんプレイって……何故こうも基地外プレイヤーばかりが揃うのか。
おかげでこの世界のプレイヤーの評価が単なるド変態なんですけど!?
ドラゴン幼女と変態エルフを引き連れて、はじまる世直し旅。
高レベルで無双します。
※※アルファポリス内で漫画も投稿しています。
宜しければそちらもご覧いただけると嬉しいです※※
※恋愛に発展するのは後半です。
※中身は女性で、ヒーローも女性と認識していますが男性キャラでプレイしています。アイテムで女に戻ることもできます。それでも中身が女でも外見が男だとBLに感じる方はご注意してください。
※ダーク要素もあり、サブキャラに犠牲者もでます。
※小説家になろう カクヨム でも連載しています
【完結】『飯炊き女』と呼ばれている騎士団の寮母ですが、実は最高位の聖女です
葉桜鹿乃
恋愛
ルーシーが『飯炊き女』と、呼ばれてそろそろ3年が経とうとしている。
王宮内に兵舎がある王立騎士団【鷹の爪】の寮母を担っているルーシー。
孤児院の出で、働き口を探してここに配置された事になっているが、実はこの国の最も高貴な存在とされる『金剛の聖女』である。
王宮という国で一番安全な場所で、更には周囲に常に複数人の騎士が控えている場所に、本人と王族、宰相が話し合って所属することになったものの、存在を秘する為に扱いは『飯炊き女』である。
働くのは苦では無いし、顔を隠すための不細工な丸眼鏡にソバカスと眉を太くする化粧、粗末な服。これを襲いに来るような輩は男所帯の騎士団にも居ないし、聖女の力で存在感を常に薄めるようにしている。
何故このような擬態をしているかというと、隣国から聖女を狙って何者かが間者として侵入していると言われているためだ。
隣国は既に瘴気で汚れた土地が多くなり、作物もまともに育たないと聞いて、ルーシーはしばらく隣国に行ってもいいと思っているのだが、長く冷戦状態にある隣国に行かせるのは命が危ないのでは、と躊躇いを見せる国王たちをルーシーは説得する教養もなく……。
そんな折、ある日の月夜に、明日の雨を予見して変装をせずに水汲みをしている時に「見つけた」と言われて振り向いたそこにいたのは、騎士団の中でもルーシーに優しい一人の騎士だった。
※感想の取り扱いは近況ボードを参照してください。
※小説家になろう様でも掲載予定です。
私は聖女(ヒロイン)のおまけ
音無砂月
ファンタジー
ある日突然、異世界に召喚された二人の少女
100年前、異世界に召喚された聖女の手によって魔王を封印し、アルガシュカル国の危機は救われたが100年経った今、再び魔王の封印が解かれかけている。その為に呼ばれた二人の少女
しかし、聖女は一人。聖女と同じ色彩を持つヒナコ・ハヤカワを聖女候補として考えるアルガシュカルだが念のため、ミズキ・カナエも聖女として扱う。内気で何も自分で決められないヒナコを支えながらミズキは何とか元の世界に帰れないか方法を探す。
【本編完結】さようなら、そしてどうかお幸せに ~彼女の選んだ決断
Hinaki
ファンタジー
16歳の侯爵令嬢エルネスティーネには結婚目前に控えた婚約者がいる。
23歳の公爵家当主ジークヴァルト。
年上の婚約者には気付けば幼いエルネスティーネよりも年齢も近く、彼女よりも女性らしい色香を纏った女友達が常にジークヴァルトの傍にいた。
ただの女友達だと彼は言う。
だが偶然エルネスティーネは知ってしまった。
彼らが友人ではなく想い合う関係である事を……。
また政略目的で結ばれたエルネスティーネを疎ましく思っていると、ジークヴァルトは恋人へ告げていた。
エルネスティーネとジークヴァルトの婚姻は王命。
覆す事は出来ない。
溝が深まりつつも結婚二日前に侯爵邸へ呼び出されたエルネスティーネ。
そこで彼女は彼の私室……寝室より聞こえてくるのは悍ましい獣にも似た二人の声。
二人がいた場所は二日後には夫婦となるであろうエルネスティーネとジークヴァルトの為の寝室。
これ見よがしに少し開け放たれた扉より垣間見える寝台で絡み合う二人の姿と勝ち誇る彼女の艶笑。
エルネスティーネは限界だった。
一晩悩んだ結果彼女の選んだ道は翌日愛するジークヴァルトへ晴れやかな笑顔で挨拶すると共にバルコニーより身を投げる事。
初めて愛した男を憎らしく思う以上に彼を心から愛していた。
だから愛する男の前で死を選ぶ。
永遠に私を忘れないで、でも愛する貴方には幸せになって欲しい。
矛盾した想いを抱え彼女は今――――。
長い間スランプ状態でしたが自分の中の性と生、人間と神、ずっと前からもやもやしていたものが一応の答えを導き出し、この物語を始める事にしました。
センシティブな所へ触れるかもしれません。
これはあくまで私の考え、思想なのでそこの所はどうかご容赦して下さいませ。
聖女やめます……タダ働きは嫌!友達作ります!冒険者なります!お金稼ぎます!ちゃっかり世界も救います!
さくしゃ
ファンタジー
職業「聖女」としてお勤めに忙殺されるクミ
祈りに始まり、一日中治療、時にはドラゴン討伐……しかし、全てタダ働き!
も……もう嫌だぁ!
半狂乱の最強聖女は冒険者となり、軟禁生活では味わえなかった生活を知りはっちゃける!
時には、不労所得、冒険者業、アルバイトで稼ぐ!
大金持ちにもなっていき、世界も救いまーす。
色んなキャラ出しまくりぃ!
カクヨムでも掲載チュッ
⚠︎この物語は全てフィクションです。
⚠︎現実では絶対にマネはしないでください!
転生したおばあちゃんはチートが欲しい ~この世界が乙女ゲームなのは誰も知らない~
ピエール
ファンタジー
おばあちゃん。
異世界転生しちゃいました。
そういえば、孫が「転生するとチートが貰えるんだよ!」と言ってたけど
チート無いみたいだけど?
おばあちゃんよく分かんないわぁ。
頭は老人 体は子供
乙女ゲームの世界に紛れ込んだ おばあちゃん。
当然、おばあちゃんはここが乙女ゲームの世界だなんて知りません。
訳が分からないながら、一生懸命歩んで行きます。
おばあちゃん奮闘記です。
果たして、おばあちゃんは断罪イベントを回避できるか?
[第1章おばあちゃん編]は文章が拙い為読みづらいかもしれません。
第二章 学園編 始まりました。
いよいよゲームスタートです!
[1章]はおばあちゃんの語りと生い立ちが多く、あまり話に動きがありません。
話が動き出す[2章]から読んでも意味が分かると思います。
おばあちゃんの転生後の生活に興味が出てきたら一章を読んでみて下さい。(伏線がありますので)
初投稿です
不慣れですが宜しくお願いします。
最初の頃、不慣れで長文が書けませんでした。
申し訳ございません。
少しづつ修正して纏めていこうと思います。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる