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帰りのひととき
しおりを挟む俺、浜崎寛太には東城明日香という好きな人がいた。
その人をどういった経緯で好きになったかはまた後ほど語るとして‥‥。
いつか付き合いたいと思いながらも怖くて告白せずに過ごしている。
それでも恋人っぽいことはしていたりする。
思わず「もう付き合ってるだろ!」と言ってしまうほどのはなしや、
「えっ?それだけ?」と言ってしまいそうな物語もかいたりする。
それではそろそろ今回の物語をすすめていきましょう。
「早く帰ろー!!」
俺の数メートル前でこちらを振り向いて東城明日香はこちらに話しかけている。
「おう、すぐいく。」
「はやくしないと何も奢らないよ~」
「また勝手な話だなぁ」
「うそうそ。はやく帰ろ~」
そんなこんなで自転車置き場の近くまで来た。
数学のお話にあった通り、今東城と一緒に帰っているところである。
話があまりわからなければ前作「数学のひととき」を読んでいただきたい。
まぁそれはそうと、
「東城の自転車は?」
「今日は朝からパンクしちゃってて車で送ってもらったの」
「あらら。それは災難だったな。
じゃあ今日はゆっくり自転車は押して帰るか」
「ううん?はやく帰りたいから浜崎の後ろに乗るよ?」
「え‥‥。俺の後ろでいいのか‥‥?」
「浜崎だからいいんだよ~」
ん‥‥‥?
それはどうゆう意味‥‥‥。
「ははは。また困ってる~」
またやられた。
いい加減何かしら対策をせねばな‥。
「浜崎は面白いねぇ~」
「うるさい。後ろ乗せねーぞ」
「ごめんごめん。じゃあレッツゴー!」
そう言って東城は自転車の後ろにささっと乗る。
俺は東城を後ろに乗せ、自転車をこぎ始めた。
「浜崎って2ケツ上手いねぇ」
東城の家の場所を聞き、そこに向かっている途中で東城が急に口を開いた
。
「そーなのか?あまり後ろに人を乗せないし、後ろにも乗らないからわからないなぁ」
「私もあまり乗らないけど浜崎は上手いと思うよ?」
「おぉ。それなら訳を聞こうか」
「全然揺れないし、なんかあったかくて眠たくなってくる‥‥」
そう言って東城は俺の背中に体を軽く預けてくる。
「東城‥‥‥??」
「やだなぁ~いつもの冗談だよ~」
と言って東城はふふっと笑う。
しかし、その顔はいつもより少しだけ赤く染まっていた。
その理由が恥ずかしかったのか夕焼けのせいで見間違えたのか、俺にはさっぱりわからない。
そんな考えが頭をめぐり、何も返事を返せなかった。
そしてそのままこの日はドキドキしすぎて奢ってもらうことを忘れて家に送り届けて帰ってしまった。
東城を送り届けた後振り向いて、
「また一緒に帰ろうね。」
そう言って笑った東城の笑顔は、家に帰って布団の上で超絶に悶えてしまうほどの破壊力だった。
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