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第四章 指し示される道
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しおりを挟む「一人で歩いてはいけませんよエル」
そう言いながら私の許しもなく、勝手に手を繋いでくるジークヴァルド様。
「だ、大丈夫ですから手を繋がなくてもいいです!!」
普通に拒否をする私。
「ここは暗く冷たい地下なのです。万が一エルに何かあれば私は自分が許せない」
「べ、別に責任を感じなくていいです!!」
何なの一体。
「ですが一般的に考えても私は16歳の成人、つまりは大人です。一方貴女はまだ9歳の稚い少女。はっきり言えば貴女はまだ子供であり大人に護られるべき存在なのです。然も私は王命ではありますが貴女の婚約者。これ以上貴女を護る者として相応しい者はいないでしょう」
「――――っ⁉」
人が眠っている間に勝手に婚約者となった癖にこのロリコン!!
涼しい顔をして、然も当然と言わんばかりに正論を唱えないで!!
絶対に認めない。
幾ら王陛下の御命令でもこの様な形で婚約だなんて。
おまけにお兄様達もよ。
私が困っているのに、何時もならばちゃんと護って下さるのにどうして今はこの変態から護って下さらないの⁉
「ごめんねエル。エルの心の声が駄々洩れ状態でちゃんと聞こえてはいるのだけれどね」
だったら何故――――。
「俺とエーベルの二人でこの空間を安定させなければいけないからね。何しろわかっているだけで数百年間は誰もこの最下層にある霊廟へ立ち入った事はないからね。然もここは物理的な空間とは違い、女神様の血を受け継いだ者でしか入る事が許されない不思議空間。まさかのおとぎ話レベルの言い伝えだと思っていただけにね。リアルに何が起こるかわからないから、こうしてエーベルと二人で警戒しないとね」
「エルはジークと手を繋いでいろ。転んではいけない」
最後のトドメとばかりに寡黙過ぎるエーベルお兄様にまで注意をされてしまった以上、言う事を聞かない訳にはいかない。
「……はい」
結果私は不承不承と言う体でジークヴァルト様と手を繋いで進む事となったの。
でも何があろうともジーク様何て愛称呼びはしないわよ。
この一件が解決すれば王陛下と王妃様に可愛くお願いをして、すみやかに婚約を解消して貰うのですもの。
それまでのか、関係……ってなんだか厭らしい?わね。
とは言え私は本当にジークヴァルト様と何度もお会いした事があったのかしら。
繋いだ手より少しだけ顔を上げてそっとジークヴァルト様の顔を見る。
そ、そんなにじーっと見てはいないわよ。
ほんの少し、そう彼に気づかれないくら……。
「どう致しましたエル?」
「ふぎゃあああああああああああ⁉」
何故に気付かれた。
突然の破壊力抜群の笑顔に心臓が口から転び出そうになる所だったわ。
「エルぅ、少し静かにして。余り煩いと集中出来ない。ジークもだよ。余りエルを揶揄わないで。彼女は大事な俺達のお姫様だからね」
前方にいるラインお兄様から注意されちゃった。
「ごめんなさいラインお兄様」
「すみません殿下。つい可愛くて……」
だーかーらーそれをやめてと言っているのに何故わからない!!
「エル、お願いだから集中させて……」
「……ごめんなさい」
エル、ここを出るまでの我慢よ。
そう手を繋いでいるのは……か、カボチャ。
動くカボチャだと思えばいいの。
うんカボチャは甘くて、ほくほくして美味しい食べ物だから今度料理長にタルトを作っても……。
と、兎に角私は出来るだけ無心になって歩く事に徹した、わ。
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