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第四章 指し示される道
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しおりを挟む私は今王宮の地下、最下層にあるらしい秘匿されし場所へと向かっているの。
勿論一人ではないわよ。
第三王子のエーベルお兄様と第四王子のラインお兄様、そして何故かシュター……ジークヴァルト様の四人で向かっている。
先ず王宮中央奥の階段より地下へ向かって下りていく。
下りた所は歴代の王族の眠りに就かれている霊廟とされる場所。
でも私達が向かうのはそこよりも更に地下深く、王族でさえも立ち入る事が許されない聖なる場所と呼ばれる所。
当然の事ながら私がここを知るのも行くのも今が初めて。
とは言えこの場所はエーベルお兄様とラインお兄様だけでなく、王陛下でさえもまだ訪れた事はなかったのですって。
そして何故私達が今ここへ訪れる事となったのかと言うと……。
あの後私は眠りから覚め、王陛下とお父様達へあの闇の世界での出来事と大神官長、つまり女神様の残影が私に伝えた言葉と指し示された道標ついて話し合った結果なの。
それでなくとも今我が国は、正確には大神殿かな。
長であられた大神官長様がお隠れになられたのですもの。
もう上や下への大騒ぎ。
喪が明ける前には次の大神官長様を選出しなければいけないのだけれども、我が国の大神官長様は他国の大神官長様とはまた違う意味で信仰と尊敬が寄せられていた重要人物。
確かにその中身は女神様の残影……って、それを知っているのは私達だけ。
ただ我がファーベルク王国が他国と異なると言われているのは、遥か昔女神様が最初に地上へ舞い降りられた場所と伝えられているからなの。
それだけに神殿側としては前大神官長様と同じくらい徳の高い人物を選出しなければいけないと躍起になっているらしい。
一応政教分離を謳っている我が国だけれどもよ。
何時の世も宗教が政治介入をしてくるのは人の世の常……って最近の座学で学んだ事。
でも亡くなられた大神官長様だけは一切政治への介入をされなかったとか。
ただ次を受け継がれる大神官長となられる御方がそうであるとは限らない。
それともまた女神様が新たな大神官長様の中へお入りになられるのかしら。
また王国側も新たな大神官長様の選出に関して神経質になっていないと言えば嘘になる。
そこへ不思議な事に私と言う存在が何かしら色々と絡んでいるらしい。
うーん全く意味が分からない。
話は少し戻って私が眠らされている間の事よ。
あろう事か神殿側は私を引き取り、次代を受け継ぐ者として養育したいと申し出てきたの。
何と言っても150年ぶりの金の玉を引き当てたのが一番の理由。
聖務局に狙われるのは何となんとなく理解していたけれども、まさかの神殿からそう言われるとは考えもしなかったわ。
ただその前に私は一つ問いたい。
一体何時、私は金の玉を引き当てたのよ!!
そこの所の記憶も一切ないのですけれどね。
まぁ色々と、本当に色々と疑問に思う事が沢山あり過ぎて、本当に今更感が半端ない。
だから全てが終わってから色々、自分でちゃんと納得できるまで調べてみる事にしたわ。
話は戻り神殿の申し入れに関しては当然お父様だけでなく王陛下も猛反対。
神官見習いともなれば俗世とは切り離されての生活になってしまうでしょ。
勉強は嫌いではないけれども、だからと言って大好きでもないわ。
先ず第一に自由を奪われるのは絶対に嫌。
でもその声を今まで抑えて下さったのが前大神官長様だったらしい。
本当に色々な意味で私は大神官長様に護られていたのだと今更ながらに思う。
だから大神官長様が、女神様が私へ何を伝えたいのかを知る為にも私は指し示す場所へと向かっている。
ただこの場所へ立ち入る事が出来るのはファーレンホルストの血を受け継ぐ者のみ。
だとすればジークヴァルト様は完全にアウトな筈。
何故なら彼は王妃様の弟であって王族ではないもの。
数代程遡れば名門公爵家なのだから、王家とも姻戚関係があるとは思う。
でも確実にその血は薄い。
とは言え現実に彼は今ここにいる。
その理由は……。
これも私が眠っている間によ。
森で私を護ったとされる対価により私と正式に婚約がなされたらしい。
一体何時?
森で私は何からジークヴァルト様に護られたの⁉
そこに私の意思は何処にあるの?
突っ込みどころがあり過ぎて、現実を突き付けられた時は思わず今度は薬を自主的に飲んで眠りたくなったわよ。
まぁそんなこんなで血を受け継ぐ者の婚約者と言う括りで、ギリ立ち入る事が出来るらしい……って私は絶対に認めませんからね!!
目が覚めれば知らない人が婚約者って、余りにも酷過ぎるしロマンスの欠片すらなさ過ぎる。
幾ら野猿令嬢と呼ばれても、そこは人並みに夢見る乙女なの!!
王陛下とお父様の馬鹿ああああああああああ。
全てが終わって戻ってきたら、暫くの間ぜーったいに口を利かないんだから!!
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