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第二章 干渉と発露する力
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しおりを挟む屋敷へ戻った私は当然何時もと変わらず……そこは是が非とも変わって欲しいテアのお説教から始まり、淑女レッスンと講師の先生と一緒にお勉強をしたの。
午後にはテアとお母様と一緒にお茶をし、その後はテアと一緒にお庭へ出て散歩をする。
何時もと変わらない日常。
そうして何事もなく夕食を済ませ促されるままに入浴をし、就寝を迎えた私はふと思う。
何か、そう何かを忘れている様で忘れてはいない?
忘れると言うかわからないほんの少しの違和感。
でも忘れている事って一体何がある?
先ず私の家族に王陛下と王妃陛下、クリスお兄様に始まり第二王子のベルンお兄様でしょ。
第三王子のエーベルお兄様に第四王子のラインお兄様。
お兄様のご婚約者の令嬢方に親友のアンネとルート。
幼いころからの私の専属侍女のリリーに、渋い緑茶が好きな我が家のハウス・スチュアートのヨナタンや『私はあくまで執事です』が口癖の万能女性執事なコジマだけでなく、他の皆の事もしっかり覚えていてよ。
ほら、何も忘れてはいない。
それならば何故……?
わからない。
一体何に対しての違和感なのかがわからない。
忘れてはいけないものは何もない……筈。
カチャ
「エルまだ起きていたの?」
「お母様?」
「今日は疲れていると思うから早く寝なさい」
お母様が様子を見に来てくれたみたい。
「ね、お母様」
「なぁにエル」
「お願い。少しでいいのでぎゅっとして下さい」
少し驚いた顔をされたと思えば瞬間朗らかに破顔一笑されるお母様。
「幾つになってもまだまだエルは甘えたさんね」
「何時もじゃないもの。偶に……だもの」
そう何時もはちゃんとお姉さんだもの。
「わかったわ。ゆっくり休むのですよエル。愛しているわ私の大切な宝物」
お母様はそっと私を布団ごと抱き締めれば額にキスをしてくれる。
「おやすみなさいお母様」
私は今日もお母様達の溢れる愛に包まれ夢の世界へと誘われていく。
まるで胸の中に湧いたほんの小さな違和感を忘れるかの様に……。
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