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第二章  干渉と発露する力

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「いらっしゃいエル」
「ようきた。ゆっくりしていくがよいぞ。何なら数日王宮でゆるりと逗留するのはどうかな」

 相変わらずの歓迎ぶりに大変嬉しく思います。
 今日は何時もの様なご機嫌伺いに来た訳ではない。

「お母様よりお泊りの許可を頂いてはいませんので本日は日帰りでお願いします」

「そ、そうか……」

 何気に顔を引き攣らせていらっしゃるのは、もしかしてお母様の報復を恐れての事でしょうか。

「もうティーネ様ばかりずるいですわ。私だって可愛い女の子に囲まれて癒されたい!!」

 私の返事にあからさまに落胆する王陛下と、何やらあらぬ方向で恨み節を唱える王妃陛下。
 
 然もって、王妃陛下の横にいらっしゃる御方は少し可愛いからは遠いのですが、それでも王妃様の愛する旦那様ですよ……ね?

 私は密かに突っ込みを入れる。
 そう言葉として発してはいない。
 何故なら一言でも発すれば色々と面倒臭い事になるからよ。


「そう言えば今日はエル一人なのね。テアはどうしたの?」
「はい偶には一人で両陛下にお会いしたいと思ったのです」

 そこで少し上目遣いでお二人を見つめたまま可愛く笑顔で答える。
 
「「はうぅぅぅ可愛い過ぎる!! 絶対に男にはない、これぞ幼い女の子の持つ可愛さだ(わ)!!」」

 可愛い私にふるふると悶えられる両陛下。
 あざとい子供だと言われようとも今回だけは関係ないわ。
 そう目的を達成する為にあざとさは時として必要なのである。
 

「さあこちらへおいで。わしの膝の上に座るとよい」

 陛下はスッと立ち上がるとそのまま私は素早く回収されれば膝の上。

「まぁ陛下ずるいですわよ。陛下がそのお心算ならば……さぁエル、シェフ特製の濃厚プリンを食べましょうね。クリームにエルの好きな苺とチェリーが沢山盛りつけられていてよ。はい、あーんして」

 王妃様は自主的に陛下のお隣りへ席を移動されると、椅子をこれでもかとくっつけられる。
 そうして私を雛鳥宜しくと言った具合にプリンを嬉々として食べさせていく。
 
「……王妃様、美味しいですけれどこれはこれでとても恥ずかしい、です」
「嫌よ、王妃だなんて呼ばないで頂戴。王妃ではなく伯母さまよエル。フローラ伯母さまと呼んでって何時も言っているでしょ」

「〰〰〰〰こ、ここだけですよ、フローラ伯母様」

 こ、公開処刑だぁ。
 でも目的の為に頑張れ私!!


「いや~ん、もう何なのこの可愛い生き物は⁉」

 何気に鼻息が荒いですフローラ伯母様。
 そしてやっぱり恥ずかしい。
 9歳と言えばもう幼くはない。
 ある程度の事は一人でできる年齢なの。
 だから傍で控えている皆、この居た堪れない恥ずかしさをどうか理解して欲しい。
 でも今日は目標を達成する為にぐっと我慢、我慢よエルネスティーネ!!

「おいそなただけずるいぞ。おおそうじゃ、わしの事はレオン伯父様と呼んでおくれ可愛いエルや」

 フローラ伯母さまとのやり取りを見ていた、いや見せつけられていた王陛下もどんどん無理難題を私へ押し付けてくる。
 
「れ、レオン伯父様?」
「うんうん。あぁやはり女の子は可愛いのう。男の子だとこうはならん」
「でもクリスお兄様やベルンお兄様達はとても素敵な王子様ですわよ」

 そう四人の王子様はそれぞれ個性的。
 9歳のお子様目線でも物凄くイケメン且つそれぞれに優秀でお優しいの。
 物心のつく頃より実の妹の様に、またお兄様達も私をお姫様扱いしているのは言うまでもない。
 ただ今はお兄様達の事ではなく目的達成が第一。

 ところが既に目論見を見透かされていたとは、この瞬間までの私を殴ってやりたいとも思ったわ。
 隠し事の一つも出来ないと言うのかレオン伯父様、伊達にこのファーベルク王国の王陛下をされてはいないわね。
 恐るべしだわ。
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