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第一章 不可思議な現実?
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しおりを挟む思わず目の前にいるのは本当に16歳のエルネスティーネなのかと疑問を抱いてしまった。
何故なら私の知るエルネスティーネはこんな笑い方なんてしない。
え……と私の知るエルネスティーネって、私は一体彼女の何を知っているのかしら。
いやいや今はそれよりも目の前の事に集中しなきゃ。
そう目の前にいるエルネスティーネは得意げに?ううん、それとも少し違う。
何て表現をすればいいのだろう。
ただあの時、ジークヴァルト様の目の前で身を投げる瞬間に見せたあの悲しげだけれども儚げで、それでも精一杯幸せそうな、思わず胸が締め付けられる様な微笑みを湛えたいたわ。
では今の彼女は?
以前の彼女とは全く違う異質なもの。
物語で出てくる様な悪人みたいな、そうね譬えるならば世界中の皆が知る大魔女ってきっとこんな風に笑うのねって想像してしまった。
そのくらい極悪で、怖くもあり何か子供でも分かる程の色気?が駄々洩れだわ。
流石に16歳のエルネスティーネにないものばかりでしょ。
だから私は何も考えずに叫んでしまっていた。
「貴女は誰?」
勿論叫んだ後で大後悔。
こんな訳の分からない場所で、多分相当な危険人物だろう相手に対し喧嘩を売るのは得策ではない。
とは言え9歳の私に駆け引きなんて出来る筈もなく――――。
『何を言うかと思えばククク、勿論私こそがエルネスティーネよ』
スッと私と同じ菫色の瞳を細め射抜く様な視線で私を見ながら否定をする。
その視線が怖くて身体をビクつかせてしまう。
でも絶対に負けたくはない!!
「違うわ。エルネスティーネはそんな変な嗤い方なんてしないもの!!」
更に煽ってどうする私!!
火に水を注いではいけないけれど……。
『……お前にエルネスティーネの何を知っていると言うの?』
「え……?」
何を……と問われましても私が知るのは彼女の死を選んだ理由と身を投げる瞬間だけ。
はっきり言わなくともそれ以外はほぼほぼ知らないと言うかウロ……だわ。
『話にならないわ。私はエルネスティーネをずっと昔から知っている』
ずっと昔……から?
『お前の知る遥かな昔からよ。そしてお前は、貴女は私を――――⁉』
突然昏く重苦しい雲より一条の眩い光が差し込んできたわ。
『エル、惑わされないで』
眩い光の中、眩し過ぎる光を発しつつその光の中より私へ向かって温かな声が聞こえてきたの。
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