9 / 140
第一章 不可思議な現実?
8
しおりを挟む薬剤師。
冒険者からの勇者?
視点を変え森の中でひっそりと、もふもふ動物達に囲まれてのほのぼのカフェの店員またはカフェのオーナー。
いやいや汗水垂らして大地と真摯に向き合う農地開拓。
それとも頑張って魔力を上げ、魔塔でも上位に入るくらいの魔法使い若しくは魔法騎士っていやいや騎士、騎士関係は絶対にダメ!!
何故なら騎士団にはジークヴァルト様、そのお傍にはあの方がいる!!
おまけにジークヴァルト様は第二騎士団の騎士様。
そう第二騎士団と言えば魔法騎士なのよ。
自ら火中の栗を拾ってどうするエルネスティ-ネ!!
今私は屋敷内にある図書室で片っ端から本を読み漁っている。
勿論それは令嬢らしく読書を嗜む為でもなければ、有り余った時間を無駄に潰していると言う訳でもない。
そこはちゃんと目的があってここにこうして居るのよ。
昨夜はと言うのか自殺を図った時から目覚めてとまぁ色々ね、本当にもう普通ではあり得ない事ばかりの連続で疲労困憊だったわ。
とは言え何時までもグダグダと愚痴を零している暇はない。
そう今は二、三ヶ月先に調うだろう私の婚約。
悲しいかな、記憶がウロな為に確実な時間がわからないのが困ったもの。
自分の事なのに酷く記憶が曖昧な状態の頭を抱え、たった9歳の私が本当に婚約を回避出来るのかしらん。
でもやるしかないのよね!!
未だよくわからないけれどもあの辛い選択をしない為に今の私が頑張るしかない。
それにジークヴァルト様との婚約を何とか回避できたとすればよ。
新たなる男性との婚約からの結婚、それに恋……恋かぁ。
ぺったんこな私の胸へつきんと切ない痛みが訴える。
何も心臓が悪い訳ではない。
そうこれは言わば乙女的な感情故のもの!!
勝手に片想いをして勝手に失恋して、そうして見せ付けるかの様にジーク様の前で自殺をした愚かで、迷惑でってアレは完全に迷惑をかけたわね。
それからの……うぅあり得ないくらいあれが現実だとすれば私は相当イタい女だわ!!
きっとあの場に所にいるだろう私の家族や知り合いからすれな、あまりな浅慮過ぎる私の行動にきっと皆揃って心より呆れていると思う。
まぁその点は自分でも反省をしている。
だけどあの場面での私の心はもう本当に限界だったの。
ジークヴァルト様とあの方との関係がこの七年の間どういうものなのかなんてわからない。
ただあのご様子だとずっと想い合ってこられたのは間違いない。
だからあの瞬間私はもうお二人の、ジークヴァルト様のお傍に居てはいけないと思い知ったわ。
今の私にはわからない。
大人になればわかるかもしれない。
でも今の私は正直に言って恋をするのが……辛いし嫌だ。
確かに貴族の中には政略による婚約があるわ。
いや普通に貴族同士の結婚は政略が当然。
逆に愛情のある結婚の方が珍しい。
きっと両親や両陛下の様に愛情のある結婚を目の当たりにしていたからかもしれない。
当たり前過ぎて普通の様に捉えていた。
とは言え私は貴族。
お父様達が私へ無理な結婚を強い事はないと……思う。
しかし私は平民ではなく貴族の娘だから領民を、その上王族の血も引いているから場合よればこの国の為と言う名目で意に沿わない結婚を受け入れなければいけないかもしれない。
うん、それは一応……多分、覚悟をしている。
今回もし無事にジークヴァルト様との婚約を回避できたとしても、政略による婚約は避けられないかもしれない。
避けられないかもしれないけれど人生を諦めるのは違うと思う。
今は何も出来ない9歳の子供。
ううん、これから何が出来るかわからないからこそ思い切り足掻く事も出来る。
運が良ければ野猿な私を認めてくれる素敵な人と、そうね、男女関係なく沢山巡り合いたいわ。
その為にも今は自分に出来る事を頑張ろう。
だから今度こそはちゃんとよ。
王命による婚約を回避して私は自分らしい未来を切り開いていくわ。
67
お気に入りに追加
2,693
あなたにおすすめの小説
【完結】もう誰にも恋なんてしないと誓った
Mimi
恋愛
声を出すこともなく、ふたりを見つめていた。
わたしにとって、恋人と親友だったふたりだ。
今日まで身近だったふたりは。
今日から一番遠いふたりになった。
*****
伯爵家の後継者シンシアは、友人アイリスから交際相手としてお薦めだと、幼馴染みの侯爵令息キャメロンを紹介された。
徐々に親しくなっていくシンシアとキャメロンに婚約の話がまとまり掛ける。
シンシアの誕生日の婚約披露パーティーが近付いた夏休み前のある日、シンシアは急ぐキャメロンを見掛けて彼の後を追い、そして見てしまった。
お互いにただの幼馴染みだと口にしていた恋人と親友の口づけを……
* 無自覚の上から目線
* 幼馴染みという特別感
* 失くしてからの後悔
幼馴染みカップルの当て馬にされてしまった伯爵令嬢、してしまった親友視点のお話です。
中盤は略奪した親友側の視点が続きますが、当て馬令嬢がヒロインです。
本編完結後に、力量不足故の幕間を書き加えており、最終話と重複しています。
ご了承下さいませ。
他サイトにも公開中です
婚約者の浮気相手が子を授かったので
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ファンヌはリヴァス王国王太子クラウスの婚約者である。
ある日、クラウスが想いを寄せている女性――アデラが子を授かったと言う。
アデラと一緒になりたいクラウスは、ファンヌに婚約解消を迫る。
ファンヌはそれを受け入れ、さっさと手続きを済ませてしまった。
自由になった彼女は学校へと戻り、大好きな薬草や茶葉の『研究』に没頭する予定だった。
しかし、師であるエルランドが学校を辞めて自国へ戻ると言い出す。
彼は自然豊かな国ベロテニア王国の出身であった。
ベロテニア王国は、薬草や茶葉の生育に力を入れているし、何よりも獣人の血を引く者も数多くいるという魅力的な国である。
まだまだエルランドと共に茶葉や薬草の『研究』を続けたいファンヌは、エルランドと共にベロテニア王国へと向かうのだが――。
※表紙イラストはタイトルから「お絵描きばりぐっどくん」に作成してもらいました。
※完結しました
婚約者を想うのをやめました
かぐや
恋愛
女性を侍らしてばかりの婚約者に私は宣言した。
「もうあなたを愛するのをやめますので、どうぞご自由に」
最初は婚約者も頷くが、彼女が自分の側にいることがなくなってから初めて色々なことに気づき始める。
*書籍化しました。応援してくださった読者様、ありがとうございます。
【完結】記憶を失くした貴方には、わたし達家族は要らないようです
たろ
恋愛
騎士であった夫が突然川に落ちて死んだと聞かされたラフェ。
お腹には赤ちゃんがいることが分かったばかりなのに。
これからどうやって暮らしていけばいいのか……
子供と二人で何とか頑張って暮らし始めたのに……
そして………
妹と旦那様に子供ができたので、離縁して隣国に嫁ぎます
冬月光輝
恋愛
私がベルモンド公爵家に嫁いで3年の間、夫婦に子供は出来ませんでした。
そんな中、夫のファルマンは裏切り行為を働きます。
しかも相手は妹のレナ。
最初は夫を叱っていた義両親でしたが、レナに子供が出来たと知ると私を責めだしました。
夫も婚約中から私からの愛は感じていないと口にしており、あの頃に婚約破棄していればと謝罪すらしません。
最後には、二人と子供の幸せを害する権利はないと言われて離縁させられてしまいます。
それからまもなくして、隣国の王子であるレオン殿下が我が家に現れました。
「約束どおり、私の妻になってもらうぞ」
確かにそんな約束をした覚えがあるような気がしますが、殿下はまだ5歳だったような……。
言われるがままに、隣国へ向かった私。
その頃になって、子供が出来ない理由は元旦那にあることが発覚して――。
ベルモンド公爵家ではひと悶着起こりそうらしいのですが、もう私には関係ありません。
※ざまぁパートは第16話〜です
《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。
友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」
貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。
「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」
耳を疑いそう聞き返すも、
「君も、その方が良いのだろう?」
苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。
全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。
絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。
だったのですが。
【完結】この胸が痛むのは
Mimi
恋愛
「アグネス嬢なら」
彼がそう言ったので。
私は縁組をお受けすることにしました。
そのひとは、亡くなった姉の恋人だった方でした。
亡き姉クラリスと婚約間近だった第三王子アシュフォード殿下。
殿下と出会ったのは私が先でしたのに。
幼い私をきっかけに、顔を合わせた姉に殿下は恋をしたのです……
姉が亡くなって7年。
政略婚を拒否したい王弟アシュフォードが
『彼女なら結婚してもいい』と、指名したのが最愛のひとクラリスの妹アグネスだった。
亡くなった恋人と同い年になり、彼女の面影をまとうアグネスに、アシュフォードは……
*****
サイドストーリー
『この胸に抱えたものは』全13話も公開しています。
こちらの結末ネタバレを含んだ内容です。
読了後にお立ち寄りいただけましたら、幸いです
* 他サイトで公開しています。
どうぞよろしくお願い致します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる