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第一章  不可思議な現実?

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 薬剤師。
 冒険者からの勇者?
 視点を変え森の中でひっそりと、もふもふ動物達に囲まれてのほのぼのカフェの店員またはカフェのオーナー。

 いやいや汗水垂らして大地と真摯に向き合う農地開拓。
 それとも頑張って魔力を上げ、魔塔でも上位に入るくらいの魔法使い若しくは魔法騎士っていやいや騎士、騎士関係は絶対にダメ!!

 何故なら騎士団にはジークヴァルト様、そのお傍にはあの方がいる!!
 おまけにジークヴァルト様は第二騎士団の騎士様。
 そう第二騎士団と言えば魔法騎士なのよ。

 自ら火中の栗を拾ってどうするエルネスティ-ネ!!


 
 今私は屋敷内にある図書室で片っ端から本を読み漁っている。
 勿論それは令嬢らしく読書を嗜む為でもなければ、有り余った時間を無駄に潰していると言う訳でもない。

 そこはちゃんと目的があってここにこうして居るのよ。

 昨夜はと言うのか自殺を図った時から目覚めてとまぁ色々ね、本当にもう普通ではあり得ない事ばかりの連続で疲労困憊だったわ。
 とは言え何時までもグダグダと愚痴を零している暇はない。

 そう今は二、三ヶ月先に調ととのうだろう私の婚約。

 悲しいかな、記憶がウロな為に確実な時間がわからないのが困ったもの。
 自分の事なのに酷く記憶が曖昧な状態の頭を抱え、たった9歳の私が本当に婚約を回避出来るのかしらん。
  
 でもやるしかないのよね!!

 未だよくわからないけれどもあの辛い選択をしない為に今の私が頑張るしかない。
 
 それにジークヴァルト様との婚約を何とか回避できたとすればよ。
 新たなる男性との婚約からの結婚、それに恋……恋かぁ。

 ぺったんこな私の胸へつきんと切ない痛みが訴える。

 何も心臓が悪い訳ではない。
 そうこれは言わば乙女的な感情故のもの!!


 勝手に片想いをして勝手に失恋して、そうして見せ付けるかの様にジーク様の前で自殺をした愚かで、迷惑でってアレは完全に迷惑をかけたわね。

 それからの……うぅあり得ないくらいあれが現実だとすれば私は相当イタい女だわ!!

 きっとあの場に所にいるだろう私の家族や知り合いからすれな、あまりな浅慮過ぎる私の行動にきっと皆揃って心より呆れていると思う。
 まぁその点は自分でも反省をしている。
 だけどあの場面での私の心はもう本当に限界だったの。


 ジークヴァルト様とあの方との関係がこの七年の間どういうものなのかなんてわからない。
 ただあのご様子だとずっと想い合ってこられたのは間違いない。
 
 だからあの瞬間私はもうお二人の、ジークヴァルト様のお傍に居てはいけないと思い知ったわ。
 
 今の私にはわからない。
 大人になればわかるかもしれない。
 でも今の私は正直に言って恋をするのが……辛いし嫌だ。

 確かに貴族の中には政略による婚約があるわ。
 いや普通に貴族同士の結婚は政略が当然。
 逆に愛情のある結婚の方が珍しい。

 きっと両親や両陛下の様に愛情のある結婚を目の当たりにしていたからかもしれない。

 当たり前過ぎて普通の様に捉えていた。
 

 とは言え私は貴族。
 お父様達が私へ無理な結婚を強い事はないと……思う。
 しかし私は平民ではなく貴族の娘だから領民を、その上王族の血も引いているから場合よればこの国の為と言う名目で意に沿わない結婚を受け入れなければいけないかもしれない。

 うん、それは一応……多分、覚悟をしている。

 今回もし無事にジークヴァルト様との婚約を回避できたとしても、政略による婚約は避けられないかもしれない。

 避けられないかもしれないけれど人生を諦めるのは違うと思う。
 今は何も出来ない9歳の子供。

 ううん、これから何が出来るかわからないからこそ思い切り足掻く事も出来る。

 運が良ければ野猿な私を認めてくれる素敵な人と、そうね、男女関係なく沢山巡り合いたいわ。
 その為にも今は自分に出来る事を頑張ろう。
 
 だから今度こそはちゃんとよ。
 王命による婚約を回避して私は自分らしい未来を切り開いていくわ。
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