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第三章 それぞれの闇と求める希望の光
【20】
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♡ ◇ ♡
「――――何、故ここに⁉」
わたくしは何も理解出来ないまま、余りの事に声を震わせながらもただ一言そう呟いていました。
記憶を思い出して直ぐわたくしは宮殿よりお戻りになられたばかりのお父様へ、本当はお母様も同席の上でしっかりとお話しをしなければいけないとわかってはいたのです。でも前世でのお父様の変化に今一度賭けてみたいと、あの時に感じたお父様の心情の変化を今世でも持っていらっしゃるのであればきっと、わたくしの想いを汲み取って下さると思ったのです。
なので先ずはお父様お一人だけにわたくしの決意を知って頂きたい。
確かに前世のお父様は今までの過去のお父様とはほんの少し違和感を感じましたが、しかしだからと言って今までのお父様達が冷酷な御方でない事は娘のわたくしが良く存じておりますもの。
そうお父様は穏やかな気性の御方で、どの派閥にも属さず常に中立を貫いておられますがしかし誰よりもこの帝国へ、皇帝陛下へ忠誠を捧げておいでなのです。
だからこそ完全な政略目的と理解した上でわたくしの婚姻に異を唱える事無く受け入れられたのですもの。
貴族として当然の事であるのは十分承知致しておりますわ。何故ならわたくしも貴族の娘ですもの。貴族としてあらゆる面で厚遇されている反面、何か変事があれば国や民の為にこの命を捧げねばならない。
それが貴族と言うものなのです。
確かに最近はその義務を忘れ権力ばかりを行使する貴族も多いと聞いています。
ですが我がミルワード侯爵家は古くからこの国へ仕える者としてその義務を忘れたりはしません。
だからこそ過去四回のわたくしは陛下の勅命へ従ったのですもの。
でもそれはあくまで34歳のわたくしが独身だったからに過ぎないのだと改めて思い至った訳なのです!!
とは言えせめて一度くらいはバッドエンドではなくハッピーエンドで人生の幕を下ろしたいと、三回目の転生日本で知ったあれやこれを思い巡らせればです。此度だけでも平穏無事な人生を送りたいと思う事はいけないのでしょうか。
いいえっ、たった一度……これもわたくしの人生なのですもの!!
公爵家へ嫁ぐ選択をするよりもです。修道院で神へ清廉な気持ちで以ってお仕えする事はこの国の安寧を願うのと同義なのです。きっとそれはとても素晴らしく平和で穏やかな生涯を送る事が出来ましょう。
そうしてわたくしはスキップしたい気持ちを必死で抑え込みつつ執務室でお仕事をされているお父様の許へ向かいましたの。
今のわたくしの脳内ではお花畑の中で蝶や小鳥達と戯れているみたいです。ふふ、でももう直ぐですわ。後少しでわたくしの望みは手に入るのですもの。
待っていて下さいね、楽しい修道院ライフ。
そうしてさようなら、今思い出しても恐ろしくも悍ましいバッドな腹ボてエンドさん。
これよりわたくしは慎ましくも幸せな修道女になりますわ。
と言う想いを抱き早速お父様へお話を致しましたの。
「……暫くの間ミルワード領でゆっくりと静養すればいい。何、お前はまだ22歳なのだよ。高が二度の婚約破棄……いやいや婚約破棄等気にせずともだヴィー、お前は我がコッカ―家の大切な娘なのだからね。修道女になる等考えずに領地でゆっくり、ああそうだ思い存分好きな事をして静養すればお前の気鬱も直に晴れるだろう」
「……お父、様……」
「まあ何にせよ家族団欒の席で言わないでくれて良かったよ。この様な途方もない話を聞けばセシリア……ぅお母様だけではなくパーシーもきっと卒倒してしまう所だったよ。二人はとてもお前を、いや皆お前を深く愛しているのだからね」
そう静かに、若干動揺を隠しきれない様子のお父様は優しくわたくしを抱き締めて下さいました。
まるで幼い子供を優しくあやす様に……。
「お父様……ごめん、なさい」
「気にせずともいい。帝都は兎角噂好きな輩が多い」
いいえお父様。
わたくしは我が身、いえ我が人生の可愛さだけで修道女になりたいのです。
ですので我儘なわたくしをどうかお許し下さいそして――――……。
「――――何、故ここに⁉」
わたくしは何も理解出来ないまま、余りの事に声を震わせながらもただ一言そう呟いていました。
記憶を思い出して直ぐわたくしは宮殿よりお戻りになられたばかりのお父様へ、本当はお母様も同席の上でしっかりとお話しをしなければいけないとわかってはいたのです。でも前世でのお父様の変化に今一度賭けてみたいと、あの時に感じたお父様の心情の変化を今世でも持っていらっしゃるのであればきっと、わたくしの想いを汲み取って下さると思ったのです。
なので先ずはお父様お一人だけにわたくしの決意を知って頂きたい。
確かに前世のお父様は今までの過去のお父様とはほんの少し違和感を感じましたが、しかしだからと言って今までのお父様達が冷酷な御方でない事は娘のわたくしが良く存じておりますもの。
そうお父様は穏やかな気性の御方で、どの派閥にも属さず常に中立を貫いておられますがしかし誰よりもこの帝国へ、皇帝陛下へ忠誠を捧げておいでなのです。
だからこそ完全な政略目的と理解した上でわたくしの婚姻に異を唱える事無く受け入れられたのですもの。
貴族として当然の事であるのは十分承知致しておりますわ。何故ならわたくしも貴族の娘ですもの。貴族としてあらゆる面で厚遇されている反面、何か変事があれば国や民の為にこの命を捧げねばならない。
それが貴族と言うものなのです。
確かに最近はその義務を忘れ権力ばかりを行使する貴族も多いと聞いています。
ですが我がミルワード侯爵家は古くからこの国へ仕える者としてその義務を忘れたりはしません。
だからこそ過去四回のわたくしは陛下の勅命へ従ったのですもの。
でもそれはあくまで34歳のわたくしが独身だったからに過ぎないのだと改めて思い至った訳なのです!!
とは言えせめて一度くらいはバッドエンドではなくハッピーエンドで人生の幕を下ろしたいと、三回目の転生日本で知ったあれやこれを思い巡らせればです。此度だけでも平穏無事な人生を送りたいと思う事はいけないのでしょうか。
いいえっ、たった一度……これもわたくしの人生なのですもの!!
公爵家へ嫁ぐ選択をするよりもです。修道院で神へ清廉な気持ちで以ってお仕えする事はこの国の安寧を願うのと同義なのです。きっとそれはとても素晴らしく平和で穏やかな生涯を送る事が出来ましょう。
そうしてわたくしはスキップしたい気持ちを必死で抑え込みつつ執務室でお仕事をされているお父様の許へ向かいましたの。
今のわたくしの脳内ではお花畑の中で蝶や小鳥達と戯れているみたいです。ふふ、でももう直ぐですわ。後少しでわたくしの望みは手に入るのですもの。
待っていて下さいね、楽しい修道院ライフ。
そうしてさようなら、今思い出しても恐ろしくも悍ましいバッドな腹ボてエンドさん。
これよりわたくしは慎ましくも幸せな修道女になりますわ。
と言う想いを抱き早速お父様へお話を致しましたの。
「……暫くの間ミルワード領でゆっくりと静養すればいい。何、お前はまだ22歳なのだよ。高が二度の婚約破棄……いやいや婚約破棄等気にせずともだヴィー、お前は我がコッカ―家の大切な娘なのだからね。修道女になる等考えずに領地でゆっくり、ああそうだ思い存分好きな事をして静養すればお前の気鬱も直に晴れるだろう」
「……お父、様……」
「まあ何にせよ家族団欒の席で言わないでくれて良かったよ。この様な途方もない話を聞けばセシリア……ぅお母様だけではなくパーシーもきっと卒倒してしまう所だったよ。二人はとてもお前を、いや皆お前を深く愛しているのだからね」
そう静かに、若干動揺を隠しきれない様子のお父様は優しくわたくしを抱き締めて下さいました。
まるで幼い子供を優しくあやす様に……。
「お父様……ごめん、なさい」
「気にせずともいい。帝都は兎角噂好きな輩が多い」
いいえお父様。
わたくしは我が身、いえ我が人生の可愛さだけで修道女になりたいのです。
ですので我儘なわたくしをどうかお許し下さいそして――――……。
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