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第二章 五日後に何かが起こる?
【18】
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● ★ ●
あの時のあたしは一体何をしていたのだろう。
第一詳しい記憶なんてものはない。
ただ覚えているのは当時あたしが夢中になっていただろう乙女ゲーム『エアルドレッドの緋色と輝ける乙女』だけがあたしの生きる全てだった。
そんな乙ゲーが人生の全てだって言えばほぼ100%の人間が引くくらいあたしだってわかっているわよ。
でもそのくらいあたしにはこのゲームの中の最推しイケメン、リーヴァイに惚れ込んでいた。
たかがゲームの一登場人物。
現実では決して出逢う事のない不毛な想い。
友達だとも言えないただの知り合いからも『あんた変わってるよ。少しはリアを楽しみな』って言われてもだ。
ただただ毎日リーヴァイの姿を、画面越しからだけれども、またスペシャルイベントでしか見られない彼の微かな笑顔を拝めた日には心がしっかりと天へ召されていたっけ。
そんなあたしに突然……違うアレは必然だ!!
あたしは何としてもリーヴァイに逢いたくて逢いたくて、胸に焦がれるこの想いはあの日現実となってあたしの部屋を囂々と燃やしていた。
熱い熱い熱い熱いぃぃぃぃぃぃっ⁉
燃え盛る炎、灼熱の中で息をする事も出来ないくらいの熱と真っ黒な煙に逃げ場を失ったあたしの心の中にあったのは、絶望と同じ……ううんそれ以上の仄暗い期待だった。
今のあたしはここで死ぬ。
でもあたしの魂は絶対に、うん何があろうと時も世界も全てを超えて愛しいリーヴァイ、貴方の許へと飛んでいくんだ!!
だから待っていて。
後もう少しであたしは愛する貴方の許へ、貴方と恋をする為だけに現実世界でのあたしの身体が破棄されるだけだから……。
そうしてあたしの、ううん私の崇高なる想いは実際に時や世界すらも超えたのよ!!
前の世界で強制的に生を終了させた私は『エアルドレッドの緋色と輝ける乙女』の世界へ転生を果たしただけではなく、見事この世界のサブリーナとして生まれ変わったの!!
ふふ、私こそが選ばれたる人間でありリーヴァイの隣に立つ女なの。
私以外の女の存在なんて絶対に許さないし許される訳なんてないじゃない。
でもその前に何と言っても愛しのリーヴァイと出逢わなきゃね。
そんな私の切ない願いが届いたのか、覚醒して間もなく私は最愛の彼と出逢う事となる。
あれは確か私が7歳になった頃だった。
男女のシンディーの暴挙とジプソン子爵乱入の一件よりお父様からもう勝手に子供達だけでのお茶会はダメだってこっ酷く怒られてって、ヒロインの私が何故……と思いつつも何だかんだと半年くらい経った頃だったかな。
夕方になって急にお父様……アルバート、ううんアルの友人と名乗る男性が訪ねてきたの。
そう、そうよ。その友人こそが私のリーヴァイっ、その人だったってワケ。その時の私の燥ぎっぷりと言うか興奮はもうとんでもなかったわ。
もうね魂が思わず口からびろ~んって飛び出しちゃうくらいに吃驚したんだもん。
だって、だってそうじゃないっ!!
この私があれ程、自身の身を焼き殺しせめて魂だけでも彼の許へと心の底から強く願っていたんだよ。
あのリーヴァイが今っ、私の手の届くところにいる!!
もう感激何てそんな生易しいもんじゃない。
これは本当に現実なのかってブロックレンガにガンガンと、これでもかと頭を思いっ切り打ち付け血みどろ状態にならなければ信じられないくらいの出来事だったわ!!
まあ流石にそれはしなかったけれどもよ。
でも7歳の女の子の身体と心に耐え切れない程の衝撃と言う歓喜が全身を襲っちゃったんだ。
その所為でちょっとおしっこを漏らしちゃったわ。
少しだけよ。床が濡れるくらいのびしょびしょにならなかっただけまだマシよね。それに見えないし。でも臭いは誤魔化せなかったからメイドに命じて素早く着替えを済ませた私は、何故か愛しのリーヴァイへ思いっ切り上から目線でつい、そうついよ。
何時もの我儘って言う程のもんじゃあないけれども、後になってやっぱり自分でも多少の後悔はしたわね。
『私貴方のお嫁さんになって差し上げるわっ』
うん、ちょっとした黒歴史……て言うものでもないのだけれどね。
だけどその瞬間傍でリーヴァイと談笑していたアルはこれ以上ないくらい顔の色を失くしていたっけ。あはは。
あの時のあたしは一体何をしていたのだろう。
第一詳しい記憶なんてものはない。
ただ覚えているのは当時あたしが夢中になっていただろう乙女ゲーム『エアルドレッドの緋色と輝ける乙女』だけがあたしの生きる全てだった。
そんな乙ゲーが人生の全てだって言えばほぼ100%の人間が引くくらいあたしだってわかっているわよ。
でもそのくらいあたしにはこのゲームの中の最推しイケメン、リーヴァイに惚れ込んでいた。
たかがゲームの一登場人物。
現実では決して出逢う事のない不毛な想い。
友達だとも言えないただの知り合いからも『あんた変わってるよ。少しはリアを楽しみな』って言われてもだ。
ただただ毎日リーヴァイの姿を、画面越しからだけれども、またスペシャルイベントでしか見られない彼の微かな笑顔を拝めた日には心がしっかりと天へ召されていたっけ。
そんなあたしに突然……違うアレは必然だ!!
あたしは何としてもリーヴァイに逢いたくて逢いたくて、胸に焦がれるこの想いはあの日現実となってあたしの部屋を囂々と燃やしていた。
熱い熱い熱い熱いぃぃぃぃぃぃっ⁉
燃え盛る炎、灼熱の中で息をする事も出来ないくらいの熱と真っ黒な煙に逃げ場を失ったあたしの心の中にあったのは、絶望と同じ……ううんそれ以上の仄暗い期待だった。
今のあたしはここで死ぬ。
でもあたしの魂は絶対に、うん何があろうと時も世界も全てを超えて愛しいリーヴァイ、貴方の許へと飛んでいくんだ!!
だから待っていて。
後もう少しであたしは愛する貴方の許へ、貴方と恋をする為だけに現実世界でのあたしの身体が破棄されるだけだから……。
そうしてあたしの、ううん私の崇高なる想いは実際に時や世界すらも超えたのよ!!
前の世界で強制的に生を終了させた私は『エアルドレッドの緋色と輝ける乙女』の世界へ転生を果たしただけではなく、見事この世界のサブリーナとして生まれ変わったの!!
ふふ、私こそが選ばれたる人間でありリーヴァイの隣に立つ女なの。
私以外の女の存在なんて絶対に許さないし許される訳なんてないじゃない。
でもその前に何と言っても愛しのリーヴァイと出逢わなきゃね。
そんな私の切ない願いが届いたのか、覚醒して間もなく私は最愛の彼と出逢う事となる。
あれは確か私が7歳になった頃だった。
男女のシンディーの暴挙とジプソン子爵乱入の一件よりお父様からもう勝手に子供達だけでのお茶会はダメだってこっ酷く怒られてって、ヒロインの私が何故……と思いつつも何だかんだと半年くらい経った頃だったかな。
夕方になって急にお父様……アルバート、ううんアルの友人と名乗る男性が訪ねてきたの。
そう、そうよ。その友人こそが私のリーヴァイっ、その人だったってワケ。その時の私の燥ぎっぷりと言うか興奮はもうとんでもなかったわ。
もうね魂が思わず口からびろ~んって飛び出しちゃうくらいに吃驚したんだもん。
だって、だってそうじゃないっ!!
この私があれ程、自身の身を焼き殺しせめて魂だけでも彼の許へと心の底から強く願っていたんだよ。
あのリーヴァイが今っ、私の手の届くところにいる!!
もう感激何てそんな生易しいもんじゃない。
これは本当に現実なのかってブロックレンガにガンガンと、これでもかと頭を思いっ切り打ち付け血みどろ状態にならなければ信じられないくらいの出来事だったわ!!
まあ流石にそれはしなかったけれどもよ。
でも7歳の女の子の身体と心に耐え切れない程の衝撃と言う歓喜が全身を襲っちゃったんだ。
その所為でちょっとおしっこを漏らしちゃったわ。
少しだけよ。床が濡れるくらいのびしょびしょにならなかっただけまだマシよね。それに見えないし。でも臭いは誤魔化せなかったからメイドに命じて素早く着替えを済ませた私は、何故か愛しのリーヴァイへ思いっ切り上から目線でつい、そうついよ。
何時もの我儘って言う程のもんじゃあないけれども、後になってやっぱり自分でも多少の後悔はしたわね。
『私貴方のお嫁さんになって差し上げるわっ』
うん、ちょっとした黒歴史……て言うものでもないのだけれどね。
だけどその瞬間傍でリーヴァイと談笑していたアルはこれ以上ないくらい顔の色を失くしていたっけ。あはは。
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