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第二部 第三章 それぞれの真実と闇
15 シンディーとして メルチェーデSide
しおりを挟む気の遠くなる程の繰り返される転生は本当の意味で色々とクズなモノだった。
だがどんなに身体が汚辱に塗れようとも不思議と私とローザの魂は未だ穢されてはいない。
私は転生をして早々に女神であった頃の、ローザとの記憶を取り戻せばだ。
神であった頃に持っていただろう御力は呪い故に封じられてはいたけれどもである。
女神としての記憶とローザを何としても護りたいと言う気力だけで襲い掛かってくるだろう数多なる穢れを振り払ってこられたのかもしれない。
まあ常に私の傍にローザがいてくれたからこそ、私は穢される事もなくこの状況で狂わなかったのだろう。
だがローザは未だ尊い女神であった頃の記憶の一切はなく、脆弱な人間の器が持つには膨大過ぎる御力によって常にその生命を削られていた。
しかし結果的には彼女のその膨大過ぎる御力故に魂は穢れなかったのかもしれない。
そう私の前では常にローザ、貴女は慈愛に満ち優しい笑顔をする女性。
あの頃と何ら遜色なく、その姿形がどの様に変わろうともだ。
愛と祝福の女神ローザ・アウレリアーナ……貴女の神々しいまでのオーラは何時の時代も何ら変わる事はない。
そうしてまた時は流れ貴女は侯爵家の令嬢ヴィヴィアンとなり、私は子爵家の令嬢へと転生をする。
ローザ、貴女との記憶は確か初めて会ったお茶会の席で貴女より声を掛けて貰った瞬間に私はフラッシュバックとなって全てを思い出していく。
そう……だな。
何時も私はこの世界へ生まれれば最初に出会うのは何時も貴女だった。
姉妹や兄弟、親子に友人……常に貴女の傍近くで私は転生をしていたのだ。
きっと幾重にも鎖で絡める様に繋いだ結果なのだろう。
そして――――こんな風に離れて転生をする事の方が初めてだったのかもしれない。
年齢もどういう訳なのかかなり離れてもいた。
何もかも初めてばかりである意味新鮮だった。
だがその反面少し寂しくも空しいと感じてもいた。
なのに最初に出会った頃の貴女は当然私を覚えてはいない。
私のっ、貴女へ焦がれる様な想いをだ。
貴女は何時までも何も気付いてはくれない!!
記憶のなかった私は今までとは大きく違いまた家族にも恵まれたものの、元々気紛れで直ぐに癇癪を起していた嵐と炎の女神メルチェーデなのである。
その記憶と御力こそは封じられているとは言えである。
性格は思いっきり女神であった頃のモノを受け継がれている訳で、当然同じ年齢の令嬢や子息達との関係は最悪だった。
常にもやもやと何かを思い出しそうで思い出せない苛立ちは、武人を多く輩出していたジプソン家の娘らしくあらゆる武術で以って発散をする毎日だった。
元々武術の素質もあったのかもしれない。
まあお陰で色々と体術を会得出来た。
しかし令嬢とのしての素養……つまり社交はさっぱりで、今生での母親からは毎日お小言ばかりを喰らっていた。
今までの転生にはない穏やかである意味幸せな人生。
だがそれも貴女と出会うまで……いや正確にはあのクソ男と出会うまでだったな!!
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