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第二部 第三章 それぞれの真実と闇
7 エウレテリオの後悔と掛けられた呪いの真実 エレウテリオSide Ⅲ
しおりを挟む『――――ったく、お前は何時まで無駄な時間を過ごす』
ガイオ!!
お、俺は、俺は一体どうしたらいいのだっ⁉
俺はローザに許されない業を背負わせ〰〰〰〰!!
『あれはお前の意思ではなかった筈』
だがそれはっ、でも結果的には!!
『ああ、俺を救おうとしたローザがお前の刃を代わりに受けた。それは間違いない』
ならばいっそ俺を完全に消滅してくれ。
ガイオ、お前の御力だったらこれくらい簡単……だろう。
『……それは出来ぬ相談だ』
何故だっ。
貴方はこの世界で誰よりもだ。
そう何よりも強い力を有している筈!!
『……既に俺は神ではない』
は?
一体ガイオは何を言っているのだろうと俺は素直に思ってしまった。
他の神が……サヴァーノやインノチェンツァが神ではないと言われる方が何気にストンと信じられたのだからな。
しかしガイオは一片の感情も籠らない淡々とした口調で以って二の句を告げたと同時にだ。
この直ぐ後俺をとんでもなく驚かせたのである。
『俺は俺自身の神としての肉体を滅したのだ。いや俺だけではない。今この世界に存在していたものだろう全てを俺が滅ぼしたのだ。ローザを失った俺は怒りで御力を暴走させ、サヴァーノやインノチェンツァだけでなく全てのものを一瞬にして滅してしまった』
じゃ、ではこの世界は――――。
『無に帰した……いや無ではないな。何故なら俺は混沌ではない。無へと帰し混沌ととなるのは男の俺では出来ぬもの。全ての有を無に帰し混沌を生みし母となるのは女である女神にしか出来ぬ。俺がした事は力任せに感情の赴くままこの世界の崩壊。ありとあらゆるものを崩壊させたのだ。そうして多分何処かで奇跡的に生き残ったであろう者達がだ。新しく世界を再生していくのだ。神々の存在しない脆弱なる者達が創り上げていく新たな世界』
新たな、る世界……。
『そうだ、今この世界は静かな眠りに就いている。そうして何時の日か目覚めを迎える為に……。だが俺はローザの最期の瞬間にある約束を交わしたのだ。気の遠くなる時を経ようともだ。俺は必ずローザを、今度こそ自分の愛する女をこの腕の中へ手に入れれば今度こそ何者からも護ってみせる!! だからエレウテリオ……お前がローザに対し思うところがあるならばこの俺に力を貸せ』
ガイオ……。
だが俺は取り返しのつかない、それに俺はガイオではなくサヴァーノより生まれし神……。
『何をうじうじと、お前はもう神ではないだろう。これより我らは時の、輪廻の輪へと入れば人間へと転生をするのだ。それにサヴァーノとインノチェンツァは諦めの悪い。俺を狙うのであれば俺はあいつらを今度こそ一刀両断してやる。だがもしローザへこれ以上干渉するのであれば、これより俺にはもっと沢山の仲間が必要となる』
仲……間?
『ああそうだ仲間だ。何しろこの膨大な時の流れの中で何時何処でローザと出逢うのか等はっきりと言って俺にもわからん。それと人間となる事で俺自身何処まで御力を使えるのかも未知数だ。だからローザを慕う者は多ければ多い程仲間として迎えたい。だからエレウテリオ――――俺の仲間となれ!! そうしてローザと共にダーリアをも探そうではないか』
ダーリア。
ダーリアにまた逢える!!
魂が喜びで震えている……って器のない今の俺は所在なさげな魂のままぷるぷると小さく打ち震えるだけ。
ガイオでなければ間違いなくこんな俺の姿を見た者を問答無用で黙らせていたな。
『後……はだ。ダーリアの件で俺は気になる事があるから別件で調べる事にするとは言え、俺達もそろそろ輪廻の輪へと吸収されていくな』
ああ、目の前が眩く光り輝いている。
この光は覚えがある。
そう嘗てバルディーニで見たのだ。
ローザの温かくも儚げで、それでいて優し気な彼女の纏うものとこれはよく似ていた。
ローザ、俺は何時の日か貴女と出会いそうして心より赦しを、いやそれこそ永遠に赦さなくてもいい。
俺は貴女へ愚かな俺の犯した罪を何時の日か懺悔をしたい。
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