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第一部 第四章 逃げ妻は自由を満喫し妻に逃げられた魔王はじわじわと追い詰める
8 魔獣ホイホイのプレゼン ヴィヴィアンSide
しおりを挟むゾエラちゃん四人……四体、それとも四株なのかしら?
まあそこは余り深くは考えないでおきましょう。
今ゾエラちゃん達とシアとフェンさん、そしてジークさんの八人で賑やかで楽しいお茶会が始まりましたのよ。
当然今回開発した魔獣ホイホイの宣伝も忘れてはいませんわ。
本来ならば私が作り出した魔道具なのですもの。
私自らギルドへ売り込みに行かなければいけないと言うのに、何故かシアが許してくれないのを良い事に私は随分とあの娘に甘えていますわね。
本当に何時までもシアを、シンディーに甘えてばかりではいけない事も十分わかっているのです。
ええ 真実の意味であの娘を救う為にもですわ。
そう私は遠くない未来にシアとは別れなければいけません。
何故なら何時までも私と行動を共にすればする程シアは命を落としてしまう危険性が付いて回るのですもの。
ですのでその為にも今回は私がちゃんと売り込みに成功すれば何れは私一人でもギルドへ売り込みに行ける様にしなくてはいけないのです。
何と申しましても私はもう貴族ではないのです。
平民の、ただのローズ・リリーとして一人で人生を生きていくのですからね。
なのでその為にも……。
先ずはフェンさん達へ私はゾエラちゃん達の説明をしましたの。
最初はお二人とも中々信じられない様子でしたけれどもです。
ナヴァールの樹海へ行く方法として用いたのがあの逃亡の際に使用した何処へでも自由に移動の出来る、まだ名前を付けてはいません。
何故って?
それはそうでしょう。
どうしてもこの扉を見ると頭に浮かぶのはあの魔法の言葉〇〇でも○○。
流石に色々と、そう色々と問題があると思いますので敢えて名前を付けてはいないのです。
そうして実物の扉をお二人の前へ出し、行きたい場所を心の中で決めて頂いてから扉を開くと何故か……。
「「「キャアあああああああ、痴漢っ、痴漢よ!!」」」」
バタン!!
ジークさんは何やら慌てて扉を閉められました。
ほんの一瞬でしたのに何故か彼の口の中には固形石鹸が入っておりそれに加えて全身ずぶ濡れ状態。
「な、なな、なんでだあ……もふぁっ⁉」
ジークさんのお口より石鹸の泡がっ⁉
それって身体に害はないのでしょうかジークさん!!
「はあ、お前の頭ン中は良~くわかったよ」
「え、い、いやちょ、それは……いやそれは男としての最大のロマンと言うかさ」
「はあ? 何がっ、一体どの口が女風呂を堂々と覗くのが男の最大のロマンとかなわきゃねぇーだろうがこの馬鹿垂れあんぽんたん!!」
「ちょ、そこまで……」
「ローズの魔道具使ってこれ以上卑猥な事をするな!! こンのクソッタレがっ!! 今度アタシの前で、いやいやローズの魔道具をいかがわしい目的で使ったが最後、死んだ方がましだって思うくらいこてんぱんにのしてやるからね!!」
目の前でフェンさんだけでなくシアまでも顔を真っ赤にさせて怒っています。
生憎ながら私はジークさんが何処へ扉を繋げたのか場所までは見られなかったのですが、この二人の怒り具合から見て余り想像しない方がいいのかしらと思い至りました。
何故なら最後にシアは物凄~くジークさんを蔑んだ瞳で一瞥すればです。
たった一言だけ、然も地を這う様な低い声音で静かに呟いたのです。
「この下衆がっ」
今まで聞いた事のない言葉ですが意味合いは……止めておきましょうか。
兎に角この扉があれば自由自在に何処へでも移動が出来る事を証明出来たのは何よりです。
さあ次は魔獣ホイホイの特性を説明しましょうね。
何と申しましてもこれは本当に優れモノなのです。
ふふ、今まで私が作り出したモノの中で一番のヒット作品ですわっ。
そうして次に魔獣ホイホイの特徴とその素晴らしさをお二人へ説明しましたの。
先ず魔獣ホイホイは害魔獣断トツ一位のGだけのものではないと言う事を強調しましたわ。
「いやいやそれはないだろう。この大きさではGクラスのって言うかもうGしか入らないだろう!!」
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