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第一部  第三章  それぞれの闇と求める希望の光

7  無自覚無意識であるからこその罪 Ⅱ リーヴァイSide

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 最初は当然の結果でそれが当たり前のものだと俺は普通に信じていた。

 誰しも己が努力をして勝ち得た幸運なのだと、またそれを疑う者はいない。


 それに初めて気が付いたのはヴィーと出逢って四年と言う時間が既に経過した頃だった。
 
 当時の俺は10歳の相変わらずのお子様で、ヴィーは22歳の結婚適齢期が微妙な妙齢の女性。


 ふんわりとした雰囲気は変わらず周囲の者を何時も幸せにさせる魅力的な笑顔は未だ健在いや、そこへ益々女性らしさに磨きがかかると共に余りの美しさに俺はヴィーへ逢う度に煩く打ち鳴らす心臓をいっそ一思いに突き刺してしまおうかと、何度考えた事だろう。

 この四年もの間ヴィーへ逢う度に俺は一体の何の修行なのかと真剣に悩む度、自身の慾と初めて知る身体の変調そしてそれだけは絶対に彼女へ知られてはいけないと、不毛な努力を何度も繰り返すピエロそのものだった。


 またその理由は悲しいかな決して縮まる事のない愛する女性との年齢差は十二年。

 俺自身は特段問題視する事案でもないし、はっきり言って許容範囲だと大声で叫びたい!!


 しかしヴィーはとても繊細な女性なのだ。

 客観的に見て……まあはっきり言って現実を直視はしたくないけれどもだ。


 何処の世界に12歳も年下の、何の力……いやいや権力的にはそこらの貴族よりもしっかりと行使は出来る!!


 だがそれでもだ。

 高が10歳の子供に惚れられる22歳の令嬢と言う構図は倫理面から言って到底受け入れ難いのは、流石の俺でも十分過ぎるくらいに理解はしている。


 また反対の立場……そう女性が幼く男性が年上ならば受け入れられるこの世界の方が可笑しいのだと、俺は心の中で盛大に突っ込みを入れていた!!


 だがその反対論を受け入れている方が現実なのである。


 まあお互いが成人していれば噂程度にはなるけれども特に問題視はされない?

 いや、きっと社交界にいる煩い蠅達は皆こぞって小さな問題を然も途轍もなく大きな問題だと言わんばかりに、大きな尾ひれを何本も付けては煩いくらいに囃し立てるのだろう。


 そして間違いなくその標的になるだろう相手は俺の場合――――なのだっ!!


 これまでにヴィーの祝福と言う恩恵を余す事なく受け入れている癖に連中は彼女を平気で貶める言葉を、まるで呼吸をするかの様に吐き続けるだろう。

 それもこれも俺がただの貴族子息ではなく、皇族であり現時点で皇位継承第三位と言う身分の高さが裏目に出ていると言ってもいい。


 しかしそれもこれもひっくるめてそれでも――――俺にはヴィーが必要なのだ!!


 何者にも決して渡したくはない。

 俺だけの、俺の唯一なる存在なんだ!!


 ただ……ヴィーが俺自身をどう想っていてくれているのかは、残念ながらまだ確かめられてはいない。



 多分嫌われてはいない。

 でもだからと言って10歳の子供を恋愛対象に見てはいないと言う事実は嫌でもわかる。


 本当は少しもわかりたくないのだがな。


 だから俺は四年前より色々と頑張っているのだ。

 何時かヴィーの隣へ立つ事の出来る男になりたいと、ただそれだけの為に必死で興も勉強をしていた頃だった。

 ヴィーがあからさまに俺を避ける様になったのは……。


 そして同時にヴィーの秘密を知った瞬間でもあったのだ。
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