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本編
4 決意
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穏やかでそれでいて胸の奥が甘酸っぱくも擽ったい様な気持ち。
マリアーナの微笑む姿を見るだけで、胸の中がグッと熱くなれば息も止まりそうになる程に苦しくもありまたそれと同じいや、それ以上に何処までも甘美な一時……。
ラファエルが楽園であるこの場所へ来てもう直ぐ十日になる。
これは最初から理解もしていたし納得もしていた。
それは今も変わらない。
だがこの甘美で幸せな時間は永遠ではない事を、何時までもこの場所に留まってはいけないをである。
何故なら彼は自分の立場を十分過ぎる程に理解をしていた。
ラファエルは生まれながらの王族。
然もただの王族ではなくこの国の王太子であり、次代の王となる存在。
王族たる者は常に己を律し、大切な国と国民の生活を全力で護らなければいけない。
何処かの阿呆の様に王族だからと国民の生活を一切顧みず、己が快楽や私服を肥やしてはいけないのである。
ただ悲しい事にごく僅かではあるのだが、そんな自分勝手な阿呆は何処の世界でも存在しているのが現実だ。
この楽園に留まれるのは長くても十日。
兇者より受けた傷も完全ではないが塞がりつつある。
また怪我の療養の為だけにラファエルはここに滞在していた訳ではない。
そうあの時一緒にいた従者達を待っていたのである。
運よく生き延び自分の元へとやって来てくれる事を願っていたのだが、残念ながらラファエルの元へやってくる事はなかった。
従って今彼がここにいる事を知っている者はマリアーナのみ。
そして彼女にはまだ自分の正体を明かしてはいない。
無論マリアーナをこのままにしておく心算はない。
彼女は俺にとって運命の半身とも言える存在に等しい。
マリアーナが傍で笑っていてくれるだけで俺はどの様な困難だろうとも立ち向かう事が出来る!!
ここへ来て彼女の人となりを見てきたが、顔が美しいだけでなく無欲でその心も美しい。
十五年生きてきて初めて女性に対しこの様な感情を抱いたのもマリアーナだけなのだ。
こうして何時までも彼女の笑顔に包まれていたい。
だからマリアーナへ俺のこの熱い想いを打ち明け、そして必ず彼女を俺の唯一の正妃とする!!
ラファエルは初めての恋に胸を躍らせていた。
とは言え何時までもこの楽園に留まりたいのだが立場上それは不可能である。
だからラファエルはマリアーナを忘れるのでなく、自分と共に歩いて欲しいと願った。
きっと後二、三日もすれば彼の行方を探し出し、王宮より迎えの者がやってくるだろう。
それまでになんとしてもマリアーナに自分の身分を明かし、彼女への愛を告白しようと考え巡らせていた。
何しろ告白なんてものをするのは生まれて初めての事。
初恋も初めてでその上告白もである。
恋愛云々に関しては一般的な15歳の少年よりも知識は乏しくまた初心なのだ。
だがラファエルに残された時間は限られている。
マリアーナには嫌われてはいないと思ってはいてもだ。
15歳の少年ラファエルにしてみれば、それはとても大きな壁にも等しかったのである。
頭の中でどの様なシチュエーションとタイミングで行えばいいのかと、無い知恵を絞り思い悩んでいればである。
機会は呆気ない程早くに訪れたのだった。
それは翌日の昼下がり……。
午前中の仕事を終えたマリアーナが息せき切って小屋へ、ラファエルの元へ戻ってきた彼女が最初に告げた一言だった。
「エル、天気が良いからお昼は池の畔で食べない?」
「池の畔?」
「そうっ、サンドウィッチを作ってピクニックをしよう」
「あ、あぁいいね」
ラファエルはどきどきと胸が高鳴っていた。
木々が生い茂げ木漏れ日の差す池の畔でマリアーナへ、自分の正体を明かすと共に愛しい彼女に想いを伝える決意をした。
マリア―ナはやや硬めのバケットにチーズと野菜を詰めたサンドウィッチをバスケットへ詰め込むとラファエルに声を掛け、二人はゆっくりと傍近くにある池の畔へと向かった。
マリアーナの微笑む姿を見るだけで、胸の中がグッと熱くなれば息も止まりそうになる程に苦しくもありまたそれと同じいや、それ以上に何処までも甘美な一時……。
ラファエルが楽園であるこの場所へ来てもう直ぐ十日になる。
これは最初から理解もしていたし納得もしていた。
それは今も変わらない。
だがこの甘美で幸せな時間は永遠ではない事を、何時までもこの場所に留まってはいけないをである。
何故なら彼は自分の立場を十分過ぎる程に理解をしていた。
ラファエルは生まれながらの王族。
然もただの王族ではなくこの国の王太子であり、次代の王となる存在。
王族たる者は常に己を律し、大切な国と国民の生活を全力で護らなければいけない。
何処かの阿呆の様に王族だからと国民の生活を一切顧みず、己が快楽や私服を肥やしてはいけないのである。
ただ悲しい事にごく僅かではあるのだが、そんな自分勝手な阿呆は何処の世界でも存在しているのが現実だ。
この楽園に留まれるのは長くても十日。
兇者より受けた傷も完全ではないが塞がりつつある。
また怪我の療養の為だけにラファエルはここに滞在していた訳ではない。
そうあの時一緒にいた従者達を待っていたのである。
運よく生き延び自分の元へとやって来てくれる事を願っていたのだが、残念ながらラファエルの元へやってくる事はなかった。
従って今彼がここにいる事を知っている者はマリアーナのみ。
そして彼女にはまだ自分の正体を明かしてはいない。
無論マリアーナをこのままにしておく心算はない。
彼女は俺にとって運命の半身とも言える存在に等しい。
マリアーナが傍で笑っていてくれるだけで俺はどの様な困難だろうとも立ち向かう事が出来る!!
ここへ来て彼女の人となりを見てきたが、顔が美しいだけでなく無欲でその心も美しい。
十五年生きてきて初めて女性に対しこの様な感情を抱いたのもマリアーナだけなのだ。
こうして何時までも彼女の笑顔に包まれていたい。
だからマリアーナへ俺のこの熱い想いを打ち明け、そして必ず彼女を俺の唯一の正妃とする!!
ラファエルは初めての恋に胸を躍らせていた。
とは言え何時までもこの楽園に留まりたいのだが立場上それは不可能である。
だからラファエルはマリアーナを忘れるのでなく、自分と共に歩いて欲しいと願った。
きっと後二、三日もすれば彼の行方を探し出し、王宮より迎えの者がやってくるだろう。
それまでになんとしてもマリアーナに自分の身分を明かし、彼女への愛を告白しようと考え巡らせていた。
何しろ告白なんてものをするのは生まれて初めての事。
初恋も初めてでその上告白もである。
恋愛云々に関しては一般的な15歳の少年よりも知識は乏しくまた初心なのだ。
だがラファエルに残された時間は限られている。
マリアーナには嫌われてはいないと思ってはいてもだ。
15歳の少年ラファエルにしてみれば、それはとても大きな壁にも等しかったのである。
頭の中でどの様なシチュエーションとタイミングで行えばいいのかと、無い知恵を絞り思い悩んでいればである。
機会は呆気ない程早くに訪れたのだった。
それは翌日の昼下がり……。
午前中の仕事を終えたマリアーナが息せき切って小屋へ、ラファエルの元へ戻ってきた彼女が最初に告げた一言だった。
「エル、天気が良いからお昼は池の畔で食べない?」
「池の畔?」
「そうっ、サンドウィッチを作ってピクニックをしよう」
「あ、あぁいいね」
ラファエルはどきどきと胸が高鳴っていた。
木々が生い茂げ木漏れ日の差す池の畔でマリアーナへ、自分の正体を明かすと共に愛しい彼女に想いを伝える決意をした。
マリア―ナはやや硬めのバケットにチーズと野菜を詰めたサンドウィッチをバスケットへ詰め込むとラファエルに声を掛け、二人はゆっくりと傍近くにある池の畔へと向かった。
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