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第七章 黒闇の闇の中で
12 ワクワクドキドキと純粋なる殺意
しおりを挟む殺しちゃおうか。
ふと心の奥のその奥底よりズルズルと這い出てくるのは漆黒よりも尚暗い、一条の光さえも届かぬ深淵の、黒闇の闇の中で静かにそして密やかに育ってきたであろう憎悪。
幾ら今まで闇落ちだとか闇の中にいると思っていたとは言えである。
この瞬間までは私の思い込んでいた暗闇はまだまだ救いはあったのかもしれない。
そして今この瞬間まで私は知る事はなかった。
いや、生涯知りよう筈のなかった悍ましい感情が生まれ出でた瞬間だったのだろう。
その名の通り狂喜を纏いし一片の不純物すらも存在しない純粋な殺意――――。
つい今し方まで私は境界線上若しくはほんの少しだけ異世界へと足を踏み入れていたのかもしれない。
だが足を踏み入れたからとは言えそれはあくまでも元の世界へ戻れるくらいのほんの僅かなものに過ぎなかった。
でも今は?
今は違う。
一体これを何と言って表現すればいいのだろう。
この身体中を駆け巡るドキドキワクワクする気持ち。
今直ぐにでも大声を上げればクスクスと笑みを湛えながら……ああ興奮と高揚で身体と心がどうにかなって島そうだ。
だけどこの今まで味わったことのない感覚が何故かめっちゃ心地がいい。
何て言うのかな。
頭の天辺から足先まで、ゾクゾクする様でいて身体の隅々まで透明で透き通っていく感覚。
細胞の一つ一つにまで感じた事のない、これが活性化すると言うものなのだろうか。
そうしてクリアになっていく頭と心で思う事はただ一つ。
桜井を。
藤沢を。
謝罪を撤回した看護部長を。
そして全ての管理責任者であり透析センターの異常性を自身の目て見て知っていた筈の院長を――――。
殺したい、殺したい。
包丁をあいつらの胸へ突き立て何度も何度も私の気が済むまでずっと刺し続けたい!!
死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ねお前らなんて死んでしまえばいぃぃぃぃ!!
包丁であいつらの身体へ突き立てる度に噴き上げるだろう鮮血で真っ赤に身体を染め上げるまで何度でも刺してやるわっっ。
そうして死ぬ瞬間まで馬鹿みたいに後悔するといいっっ。
もう謝ったって許してやらない。
だってもう遅いんだもん。
私はずーっと沢山我慢をしてきたんだもん。
沢山、沢山、たくさーん我慢をしたの。
だからもう我慢はしない。
だって何時まで経ってもあんた達は一言も謝らないんだもん。
そうあんた達が私の許へ来ないなら私から会いに行ってあ・げ・る。
私は表向き何食わぬ表情のままそっと二階へと上がれば机の引き出しに入っている財布を握り締めそのまま玄関へと向かった。
そう、ホームセンターで包丁を買う為に……。
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