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第六章 壊れ失うもの
9 クリスマスからのクルシミマス?
しおりを挟む気が付けばもう世間一般ではクリスマスイブだった。
何時もだったら毎年イブ若しくはクリスマスの何れかに休み希望を入れていた。
その理由は家族でお祝いをする為だ。
先ずはメインの骨付きモモ肉を人数分購入をする。
勿論我が家の大切なるお姫様達、めっちゃ可愛くて絶世の美少女達パピヨンの姦し過ぎる三人娘の分も忘れる事なく――――である。
ことお肉に関してはこのお姫様達はめっちゃ煩い。
それをローストして照り焼きの甘辛いたれを掛ける。
添え物はニンジンのグラッセに茄子のソテー。
たっぷりのサラダにこの時期はコーンポタージュスープ若しくはパンプキンスープを作る。
ご飯若しくはパンを用意し、お漬物やお茶漬けの用意も忘れない。
夫はビールでお酒の飲めない私達は子供ビールかシャンメリーってそこ笑っちゃいけないよ。
私達家族はその昔、シャンメリーでも酔っ払った黒歴史があるのだから……。
0.5%未満のアルコールに酔ってしまった家族である。
大人になった今でこそそこまで酔いはしないけれどもである。
だがシャンメリーはそんな我が家の定番の飲み物となっていた。
それからクリスマスケーキ――――といきたいのだががっつりと食事をした為に全員ダウンとなり、何時もケーキはクリスマスの翌日に食べる事になっていた。
毎年今年こそは晩餐の後にケーキを食べようと言う目標を掲げていたのだけれどね。
それがである。
今年は勤務希望……いや、抑々このセンターへ来て最初の頃はまだ何とか勤務希望を入れていた。
しかしリーダーをする頃には勤務希望を入れる隙間時間さえもなく、出来上がった勤務表を見たとしても誰一人交代してはくれない。
勤務交代を頼まれる事はあってもだっっ。
そんな私へ看護部長は決まり文句とばかりに――――。
『誰かと交代して貰たら勤務を変えてもええよ』
9月から一度たりとも希望を出してもいなかったのにそれですか。
おまけに年末年始もほぼ出勤。
私だって一応一家の主婦ですよ。
やる事だって色々あるんだから!!
然もそう言う時に限ってしたくもないリーダーばかりなり。
当然誰も交代してくれる訳もなく、そしてクリスマスだからと言って定時で上がれる筈もなく何時もの様に残業となった。
それでもだ。
仕事を終えて何時ものトイレで休憩も取らずにスーパーへと駆け込めど、目当ての骨付き肉は売れ切れで、家へと着くまでに何軒もスーパーを梯子をするけれども結果は見事なまでに惨敗。
おまけにケーキも碌なものはない。
何時もだったら大阪にあるムッシュ〇〇ノへ行き、可愛らしいお菓子とケーキに心は癒される筈だったのに、今年は何もかもが駄目になってしまった。
それがまた疲れた心には結構くるものがあったりする。
メインのないクリスマス。
ケーキのないクリスマス。
『こんな時もあるから大丈夫よ』
と母は、夫や弟も気にはしないと言ってはくれたけれどもだ。
大丈夫と言われる程に私の心はグサグサと何か先のとがったもので何度も突き刺さる様に感じてしまうのは何だろう。
でもこんな事一つで落ち込んじゃあいけない。
来年はもっと、そう今年出来なかった分まで楽しいクリスマスにしよう!!
そう思っていたのにである。
実際クリスマスを出来るようになるまで数年と言う年月が掛かってしまうだなんてこの時は全く想像だにもしておらず、まさかの今年から数年先まで楽しい幸せなクリスマスではなく史上最悪なクルシミマスになるとは……ね。
こうして私と私の家族は人生は小説よりも奇なりを実体験する羽目になるのであった。
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