【完結】希望 ~差し伸べられたのは貴方の魂の光でした

Hinaki

文字の大きさ
上 下
76 / 130
第六章  壊れ失うもの

9  クリスマスからのクルシミマス?

しおりを挟む


 気が付けばもう世間一般ではクリスマスイブだった。

 何時もだったら毎年イブ若しくはクリスマスの何れかに休み希望を入れていた。
 その理由は家族でお祝いをする為だ。


 先ずはメインの骨付きモモ肉を人数分購入をする。
 勿論我が家の大切なるお姫様達、めっちゃ可愛くて絶世の美少女達パピヨンのかしまし過ぎる三人娘の分も忘れる事なく――――である。

 ことお肉に関してはこのお姫様達はめっちゃ煩い。

 それをローストして照り焼きの甘辛いたれを掛ける。
 添え物はニンジンのグラッセに茄子のソテー。
 たっぷりのサラダにこの時期はコーンポタージュスープ若しくはパンプキンスープを作る。
 ご飯若しくはパンを用意し、お漬物やお茶漬けの用意も忘れない。

 夫はビールでお酒の飲めない私達は子供ビールかシャンメリーってそこ笑っちゃいけないよ。
 私達家族はその昔、シャンメリーでも酔っ払った黒歴史があるのだから……。

 0.5%未満のアルコールに酔ってしまった家族である。

 大人になった今でこそそこまで酔いはしないけれどもである。
 だがシャンメリーはそんな我が家の定番の飲み物となっていた。

 それからクリスマスケーキ――――といきたいのだががっつりと食事をした為に全員ダウンとなり、何時もケーキはクリスマスの翌日に食べる事になっていた。

 毎年今年こそは晩餐の後にケーキを食べようと言う目標を掲げていたのだけれどね。


 それがである。
 今年は勤務希望……いや、抑々そもそもこのセンターへ来て最初の頃はまだ何とか勤務希望を入れていた。

 しかしリーダーをする頃には勤務希望を入れる隙間時間さえもなく、出来上がった勤務表を見たとしても誰一人交代してはくれない。
 勤務交代を頼まれる事はあってもだっっ。
 そんな私へ看護部長は決まり文句とばかりに――――。

『誰かと交代して貰たら勤務を変えてもええよ』

 9月から一度たりとも希望を出してもいなかったのにそれですか。
 おまけに年末年始もほぼ出勤。
 私だって一応一家の主婦ですよ。
 やる事だって色々あるんだから!!

 然もそう言う時に限ってしたくもないリーダーばかりなり。
 当然誰も交代してくれる訳もなく、そしてクリスマスだからと言って定時で上がれる筈もなく何時もの様に残業となった。
 
 それでもだ。
 仕事を終えて何時ものトイレで休憩も取らずにスーパーへと駆け込めど、目当ての骨付き肉は売れ切れで、家へと着くまでに何軒もスーパーを梯子をするけれども結果は見事なまでに惨敗。

 おまけにケーキも碌なものはない。
 何時もだったら大阪にあるムッシュ〇〇ノへ行き、可愛らしいお菓子とケーキに心は癒される筈だったのに、今年は何もかもが駄目になってしまった。

 それがまた疲れた心には結構くるものがあったりする。

 メインのないクリスマス。
 ケーキのないクリスマス。
 
『こんな時もあるから大丈夫よ』

 と母は、夫や弟も気にはしないと言ってはくれたけれどもだ。
 大丈夫と言われる程に私の心はグサグサと何か先のとがったもので何度も突き刺さる様に感じてしまうのは何だろう。

 でもこんな事一つで落ち込んじゃあいけない。
 来年はもっと、そう今年出来なかった分まで楽しいクリスマスにしよう!!


 そう思っていたのにである。
 実際クリスマスを出来るようになるまで数年と言う年月が掛かってしまうだなんてこの時は全く想像だにもしておらず、まさかの今年から数年先まで楽しい幸せなクリスマスではなくになるとは……ね。

 こうして私と私の家族はを実体験する羽目になるのであった。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

【完結】失いかけた君にもう一度

暮田呉子
恋愛
偶然、振り払った手が婚約者の頬に当たってしまった。 叩くつもりはなかった。 しかし、謝ろうとした矢先、彼女は全てを捨てていなくなってしまった──。

(完結)貴方から解放してくださいー私はもう疲れました(全4話)

青空一夏
恋愛
私はローワン伯爵家の一人娘クララ。私には大好きな男性がいるの。それはイーサン・ドミニク。侯爵家の子息である彼と私は相思相愛だと信じていた。 だって、私のお誕生日には私の瞳色のジャボ(今のネクタイのようなもの)をして参加してくれて、別れ際にキスまでしてくれたから。 けれど、翌日「僕の手紙を君の親友ダーシィに渡してくれないか?」と、唐突に言われた。意味がわからない。愛されていると信じていたからだ。 「なぜですか?」 「うん、実のところ私が本当に愛しているのはダーシィなんだ」 イーサン様は私の心をかき乱す。なぜ、私はこれほどにふりまわすの? これは大好きな男性に心をかき乱された女性が悩んで・・・・・・結果、幸せになったお話しです。(元さやではない) 因果応報的ざまぁ。主人公がなにかを仕掛けるわけではありません。中世ヨーロッパ風世界で、現代的表現や機器がでてくるかもしれない異世界のお話しです。ご都合主義です。タグ修正、追加の可能性あり。

【完結】この胸が痛むのは

Mimi
恋愛
「アグネス嬢なら」 彼がそう言ったので。 私は縁組をお受けすることにしました。 そのひとは、亡くなった姉の恋人だった方でした。 亡き姉クラリスと婚約間近だった第三王子アシュフォード殿下。 殿下と出会ったのは私が先でしたのに。 幼い私をきっかけに、顔を合わせた姉に殿下は恋をしたのです…… 姉が亡くなって7年。 政略婚を拒否したい王弟アシュフォードが 『彼女なら結婚してもいい』と、指名したのが最愛のひとクラリスの妹アグネスだった。 亡くなった恋人と同い年になり、彼女の面影をまとうアグネスに、アシュフォードは……  ***** サイドストーリー 『この胸に抱えたものは』全13話も公開しています。 こちらの結末ネタバレを含んだ内容です。 読了後にお立ち寄りいただけましたら、幸いです * 他サイトで公開しています。 どうぞよろしくお願い致します。

思い出さなければ良かったのに

田沢みん
恋愛
「お前の29歳の誕生日には絶対に帰って来るから」そう言い残して3年後、彼は私の誕生日に帰って来た。 大事なことを忘れたまま。 *本編完結済。不定期で番外編を更新中です。

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?

gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。 そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて 「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」 もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね? 3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。 4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。 1章が書籍になりました。

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

セレナの居場所 ~下賜された側妃~

緑谷めい
恋愛
 後宮が廃され、国王エドガルドの側妃だったセレナは、ルーベン・アルファーロ侯爵に下賜された。自らの新たな居場所を作ろうと努力するセレナだったが、夫ルーベンの幼馴染だという伯爵家令嬢クラーラが頻繁に屋敷を訪れることに違和感を覚える。

結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?

おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました! 皆様ありがとうございます。 「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」 眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。 「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」 ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇ 20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。 ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視 上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。

処理中です...