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第二章 悪夢への分岐点?
2 面接 Ⅱ
しおりを挟む結局その日の準夜勤は急遽師長が変わってくれた。
帰宅すると直ぐに処方された薬を飲んだり貼ったりと、続いてニトロを舌下すれども状態は一向に好転せず結局21時を過ぎた頃そう遠くない場所にあるT総合病院へと受診した。
数日間自宅で安静後職場へ復帰したけれども入浴介助や患者さんの移送をすれば発作を起こし詰所でニトロを舌下すると言う日々が続く。
副業も早々と言うか、元々人でもいない状態だったからそう休んでも居られない。
私はここでどちらを取るかの選択を迫られる事になった。
色々思う所はあるが結局無理な働き方をして狭心症を患ってしまった。
でもこれ以上一般病棟での夜勤を含む重労働をこなしていくには無理がある。
確かに慣れ親しんだ業務内容だし夜間の当直もしていた。
それだけに何処でも直ぐに馴染めまた戦力として働けると思っている。
しかし幾ら働く能力はあれどもポンコツ心臓を抱えては些か限界が……ね。
日中働いてその日の真夜中に仕事となれば流石に心臓も悲鳴を上げざるは得ないだろう。
それを全て考慮して選択した先が透析だったのである。
勿論一人で考え出した結論ではない。
以前にバイトをしていた病棟の二人の主任さんが同時期に外来と病棟専門の透析の師長と主任へと異動したのだ。
仲良くさせて貰っていただけに少し寂しさを感じていたある日偶然彼女達にそれぞれ出会い、これからの事を少し相談し――――。
『『桃園さんだったら透析でもやっていけるよ。透析は普通の病棟勤務と違って遅くても23時過ぎに終わるしね。身体の負担も一般病棟に比べれば少しマシだから……』』
そんな助言を受けての転職だった。
本音を言えば彼女達のいる病院の透析で勤めたかったのだ。
しかしそこはNsの異動希望も多く、常勤でもない非常勤の私には到底無理だったのである。
そうして人材バンクへ相談し透析未経験OKの病院を探してもらったのが前職であった伏見区にあるS病院。
場所は一号線沿いに昔からある病院。
私の子供の頃よりあって古い建物だったのにだ。
気が付けばお洒落なホテルと思わせる様な感じで綺麗に改装されていた。
昔から存在は知っていたけれど一度も行った事のない病院に足を踏み入れれば売店ならぬコンビニが入っている事に、それも私の好きなコンビニだったからめっちゃテンションが爆上がりである。
そう綺麗な病院で心機一転これから透析看護を頑張ろうと思っていたのだが……。
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