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第二章
12 悶々とした気持ち Sideエル
しおりを挟む最近理解不能な事が何かと多過ぎる。
ジーク様に関してもその一つ。
抑々私が覚えているジーク様が私に対し愛情……いや、フレンドリーな関係何て事もなかった筈。
二人の関係が良好ならば16歳のエルネスティーネは自殺を選ばなかった。
なのに今はどうなのよ。
何故か日を増す毎に私へ物凄く優しいだけでなく駄々甘い!!
言葉一つ。
その所作から私への態度にジーク様からの視線に至るまで!!
とは言えそこは9歳児に対し愛情云々を囁いてはいない。
万が一本当に囁かれれば間違いなく私はジーク様へロリコンの称号を贈ると同時によ。
問答無用でその場より脱兎の如く逃げ出すわね。
幾ら容姿や身分が申し分はないとは言えよ。
変態さんとは仲良くなりたくはない。
お兄様と親友であり私達と親戚関係であってもね!!
でも少し可笑しいわ。
確かアーデルトラウト様と私の性格は真逆ではないかしら。
彼女はとても自立した女性……だった筈。
アーデルトラウト様ってどの様な御方だったかしら?
私は頭を抱え必死にその事について思い出そうと試みる。
しかし焦れば焦る程その記憶は酷く曖昧になっていく。
それと同時に何故か胸の奥がじくじくと酷く痛むの。
この痛みは一体何を私へ伝えようとしているの。
わからない。
ただわかるのはわからない事が少しずつ多くなっている?
そこで私は私室のソファーに所狭しと言わんばかりに両端に座している大きな兎と熊のぬいぐるみを見つめた。
現状では三人掛けのソファーは9歳の幼い私が何とか座れるスペースしか空いてはいない。
「気づけば兎まで増えている」
確かにぬいぐるみに罪はない。
可愛いものは正義だ。
その他にも緻密で意匠を凝らした美しいオルゴールも当然罪はない。
はぁ確実にジーク様より頂いたものが増えている。
ただ頂く度に過去にもこの光景があった様な錯覚?
気の所為若しくは過去へ時間を遡った事による記憶の混乱なのかしら。
兎に角理屈で書き結出来ない何かが起こっている。
そして家族は多分知っている。
けれど私は知らない事が多い。
きっと皆私を心配しての事だと思う。
何時も目を覚ませば心配そうに様子を窺うお母様達。
本当は何が起こっているのか聞いてみたい。
でも私が訊ねると余計に心配を掛けそうで聞くのが怖い。
結果一人悶々とした想いを抱くだけ。
そして今も絶賛私は寝台の中で枕を抱えて悶えている。
悶えたって何も変わらないのにね。
兎に角よ。
色々確認したい事はある。
でも今は敢えて聞かず、取り敢えず最初に決めた婚約回避を頑張ろう。
ジーク様との婚約さえ結ばなければきっと未来は変わって行く筈。
そう思っていた矢先の事だったわ。
まさかあの様な事件が待ち受けている何て一体誰が思う?
しかしその事件によって私の運命の歯車はカチリと言う音と共に大きく動き出したの。
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