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第一章

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 薬剤師。
 冒険者からの勇者?
 視点を変えて森の中でひっそりと、もふもふ動物達に囲まれてのほのぼのカフェの店員またはカフェのオーナー。

 いやいや汗水垂らして大地と真摯に向き合う農地開拓。
 それとも頑張って魔力を上げて魔塔でも上位に入るくらいの魔法使い若しくは魔法騎士っていやいや騎士、騎士関係は絶対にダメ!!

 何故なら騎士団にはジークヴァルト様、そのお傍にはあの御方がいる!!

 自分から火中の栗を拾ってどうするエルネスティ-ネ!!


 
 今私は屋敷内にある図書室で片っ端から本を読み漁っている。
 勿論それは令嬢らしく読書を嗜む為でもなければ有り余った時間を無駄に潰していると言う訳でもない。

 そこはちゃんと目的があってここにこうして居るの。
 昨夜はと言うのか自殺を図った時からまぁ色々と、本当にもう普通ではあり得ない事ばかりの連続で疲労困憊だったわ。

 抑々そもそもこの中途採用的なやり直しの人生ってどうなのよ。
 然も私の運命が大きく左右されてしまう婚約まで二、三ヶ月しかない。
 自分の事なのに酷く記憶が曖昧な状態の頭を抱えて、たった9歳の私が本当に婚約を回避出来るのかしら。
  
 でもやるしかないのよね!!

 今度こそ16歳の私があの辛い選択をしない為にも、9歳になった私が頑張るしかない。
 
 それにジークヴァルト様との婚約を何とか回避できたとすればよ。
 新たなる男性との婚約からの結婚、それに恋……恋かぁ。

 ぺったんこな私の胸へつきんと切ない痛みが訴える。

 何も心臓が悪い訳ではない。
 そうこれは俗に言う乙女的な感情故のもの!!


 はっきり言って多分16歳の私は見事に失恋……したのよね。
 いやいや失恋どころかジーク様にとっての私と言う存在は、陛下へ押し付けられた要らない存在だったのだろう。
 うん、そこに恋愛感情の一切はなく、当然の事ながら恋愛へ発展する事のない完全なる私の一方通行的な想いだったのだろうな。

 勝手に片想いをして勝手に失恋して、そうして見せ付けるかの様にジーク様の前で自殺をした愚かで、迷惑でってアレは完全に迷惑をかけたわね。

 それからの……うぅあり得ないくらいイタい女だわ!!

 きっと七年後の未来では余りにも浅慮過ぎる私の行動にきっと皆揃って心より呆れていると思う。
 その点は自分でも反省をしている。
 だけどあの時の私の心はもう本当に限界だったの。


 ジークヴァルト様とあの御方との関係がこの七年の間どういう者だったのかはわからないと言うのか記憶が判然としない。
 ただあのご様子だとずっと想い合ってこられたのは間違いない。
 
 そうあの瞬間私はもうお二人の、ジークヴァルト様のお傍に居てはいけないのだって!!
 
 今の私にはわからないけれど、きっと16歳のエルネスティーネが死を選択したくらいにジークヴァルト様の事が好きだったのよね。
 婚約して約七年よ、七年。
 七年間も彼を想い続けてきたとすれば本当に私って恋まっしぐらな性格をしていたのか。
 私には想像も出来ない。

 何故ならもの。

 だけどジーク様は私の事なんてどうでも良くて、お、王命だから致し方なく婚約をして、お心を隠されたまま結婚する予定だった筈。
 
 貴族は王命には絶対に逆らえない。

 王命と言う名の貴族あるあるな政略結婚。
 逆に愛情のある結婚の方が珍しい。
 きっと両親や両陛下の様に愛情のある結婚に憧れていたのかしら。
 それはわからなくもない。
 今の私だって叶うならば好きな男性と結婚をしたい。

 とは言え私は貴族。
 お父様達が私へ無理な結婚を強い事はないと……思いたい。
 しかし私は平民ではなく貴族の娘だから領民を、王族の血も引いているから場合よればこの国の為と言う名目でいに沿わない結婚をしなければいけないのだろう。

 うん、それは一応……多分、覚悟をしている。

 だからジークヴァルト様のばあいもそうなの。
 王命だから私と婚約しただけ。
 でもその結婚する相手がいなくなれば話は別。

 たった一人で孤独に死を選ぶ方が無難だと言う事もわかっていた。
 なのに私は最期の最後で自分の我儘をっ、いけない事だとわかってはいてもっ、それでも死の瞬間にジークヴァルト様の顔を見たかった。


 お馬鹿で愚かな16歳のエルネスティ-ネ。
 本当に何処までも救われない。
 こんなお馬鹿な選択をした私へ理由はわからないけれども、神様がやり直しの機会を与えてくれたのかな。


 だから今度こそはちゃんとよ。
 王命による婚約を回避して私は自分らしい未来を切り開いていくわ。


 ※申し訳ありません。
  予約投稿をポチするの忘れていました。
  これからもどうぞ宜しくお願いします。

                     姫ゐな 雪乃
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