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第一章
5 最強は我が母なり
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結局あれからも陛下とお父様はぶつぶつと暫くの間押し問答の末、それぞれの侍従や文官達によって強制的に引き離されれば、そのまま半ば強引に押し込む様な形で各自の執務室へと放り込まれてしまったらしい。
それでも王妃様とサロンでお茶をしている間に少なくとも陛下は四回、お父様は三回私の様子を見に来ていたわ。
全くあれで賢王と称えられる王陛下で、もう一方は冷徹冷酷な我が国の誇る宰相閣下とは到底思えない。
嬉しい反面少し恥ずかしいから公衆の面前では是が非ともやめて欲しいわ。
可愛い女の子を愛でる王妃様の会と言う名のお茶会は続けられ、勿論私とテアが退屈しない様に美味しいお菓子や楽しいお話とピアノの生演奏付きで優雅な時間はどんどん過ぎていく。
お昼前に王宮へ伺候して早数時間……流石に私の表情筋にも限界が〰〰〰〰。
なのにテアは心の声で『淑女の仮面は絶対に剥がすな!!』って厳命してくるし、王妃様に至っては本当に心より楽しまれているご様子でずっとニコニコ満面の笑みを湛えていらっしゃる。
きっと今日の日の為に公務を沢山頑張ってこられたのだなぁって思えばよ。
姪として文句はとてもではないけれど言えやしない。
そうしてまた時間は刻々と過ぎてゆき到頭私の忍耐にも限界が差し迫った時だった。
うん、もうその証拠に表情筋が小刻みに震え始めたからね。
「お義姉様ご機嫌麗しゅう御座いますわね。ですがそろそろ子供達を解放して頂けますわよ……ね」
「ぴぎ⁉あ、おほほ、まぁクレメンティーネ様御機嫌よう……ですわ」
あ、毎度の事ながらこの瞬間のお母様を見た王妃様は完全に身体を縮められると同時に、何故か酷く怯えた表情をされるのよね。
譬えるならば蛇に睨まれた蛙……的な?
確かにお母様を怒らせるのは得策ではない。
何と言ってもお母様は色々な意味でお強いもの。
「エル、テアも屋敷へ帰りますよ」
「「はい、お母様(奥方様)」」
私とテアはさっとその場より立ち上がればだ。
王妃様はしゅんと項垂れられると共に物凄く寂しいオーラをぶふぁんと周囲に向けて放出されれば……。
「もう帰ってしまわれるのですか。クレメンティーネ様もご一緒にお茶をしません? そ、そので、出来ればエルだけでも今晩王宮へお泊りとか……も、勿論テアも一緒ならば尚一層嬉し――――⁉」
もじもじと王妃様はそれはそれは上目遣いとお可愛らしい所作でお母様へお強請りをなされるのです。
結果はわかり切っていると言うのに……。
「だ、めですよ王妃様!!エルだけでなくテアも私の可愛い娘なのです。子供は親許で一緒に暮らす事が一番ですわ!!」
「そんなぁティーネ様は狡いですぅ。可愛いエルだけでなくテアまでも娘に迎えられましたのに!!わ、私だって本当は女の子を生みたかったのです。ですが何の因果で四人も王子が続き……た、確かに我が子ですからね。勿論王子達を愛してはおりますけれどもそれでもやはり女の子!!リボンとフリフリのレース一杯の可愛らしいドレスを、流石に男の子では可愛らしいリボンとフリフリのレース一杯のドレスは着せられませんもの」
お兄様方危機一髪でしたわね。
まぁ王妃様が強固魘されれば色々と問題も勃発したでしょう。
だけどそれはそれで女装されたお兄様方を少しは見たかったかも……。
我が兄も然る事ながら従兄である王子様方は所謂イケメン様なのです。
女装すればとてもお美しかったでしょうね。
何時までもうじうじシクシクと泣かれる王妃様へ私は新愛を込めてちゅっと可愛らしく王妃様の頬にお別れのキスをしました。
王妃様はエントランス迄名残惜しそうにされておられましたが、何とか今回も無事に私とテアはお母様によって屋敷へと帰宅する事が出来ました。
「本当に何時まで経っても王妃と言う自覚をお持ちになられないわね」
なーんて馬車の中で文句を仰っておられるお母様ですが、実は王妃様とはとても仲良しさんなのです。
そしてこの一連の流れは私の誕生以降変わらず王宮へ伺候する日の当たり前的な日常。
どうかもこの幸せがずっと続きます様に……。
それでも王妃様とサロンでお茶をしている間に少なくとも陛下は四回、お父様は三回私の様子を見に来ていたわ。
全くあれで賢王と称えられる王陛下で、もう一方は冷徹冷酷な我が国の誇る宰相閣下とは到底思えない。
嬉しい反面少し恥ずかしいから公衆の面前では是が非ともやめて欲しいわ。
可愛い女の子を愛でる王妃様の会と言う名のお茶会は続けられ、勿論私とテアが退屈しない様に美味しいお菓子や楽しいお話とピアノの生演奏付きで優雅な時間はどんどん過ぎていく。
お昼前に王宮へ伺候して早数時間……流石に私の表情筋にも限界が〰〰〰〰。
なのにテアは心の声で『淑女の仮面は絶対に剥がすな!!』って厳命してくるし、王妃様に至っては本当に心より楽しまれているご様子でずっとニコニコ満面の笑みを湛えていらっしゃる。
きっと今日の日の為に公務を沢山頑張ってこられたのだなぁって思えばよ。
姪として文句はとてもではないけれど言えやしない。
そうしてまた時間は刻々と過ぎてゆき到頭私の忍耐にも限界が差し迫った時だった。
うん、もうその証拠に表情筋が小刻みに震え始めたからね。
「お義姉様ご機嫌麗しゅう御座いますわね。ですがそろそろ子供達を解放して頂けますわよ……ね」
「ぴぎ⁉あ、おほほ、まぁクレメンティーネ様御機嫌よう……ですわ」
あ、毎度の事ながらこの瞬間のお母様を見た王妃様は完全に身体を縮められると同時に、何故か酷く怯えた表情をされるのよね。
譬えるならば蛇に睨まれた蛙……的な?
確かにお母様を怒らせるのは得策ではない。
何と言ってもお母様は色々な意味でお強いもの。
「エル、テアも屋敷へ帰りますよ」
「「はい、お母様(奥方様)」」
私とテアはさっとその場より立ち上がればだ。
王妃様はしゅんと項垂れられると共に物凄く寂しいオーラをぶふぁんと周囲に向けて放出されれば……。
「もう帰ってしまわれるのですか。クレメンティーネ様もご一緒にお茶をしません? そ、そので、出来ればエルだけでも今晩王宮へお泊りとか……も、勿論テアも一緒ならば尚一層嬉し――――⁉」
もじもじと王妃様はそれはそれは上目遣いとお可愛らしい所作でお母様へお強請りをなされるのです。
結果はわかり切っていると言うのに……。
「だ、めですよ王妃様!!エルだけでなくテアも私の可愛い娘なのです。子供は親許で一緒に暮らす事が一番ですわ!!」
「そんなぁティーネ様は狡いですぅ。可愛いエルだけでなくテアまでも娘に迎えられましたのに!!わ、私だって本当は女の子を生みたかったのです。ですが何の因果で四人も王子が続き……た、確かに我が子ですからね。勿論王子達を愛してはおりますけれどもそれでもやはり女の子!!リボンとフリフリのレース一杯の可愛らしいドレスを、流石に男の子では可愛らしいリボンとフリフリのレース一杯のドレスは着せられませんもの」
お兄様方危機一髪でしたわね。
まぁ王妃様が強固魘されれば色々と問題も勃発したでしょう。
だけどそれはそれで女装されたお兄様方を少しは見たかったかも……。
我が兄も然る事ながら従兄である王子様方は所謂イケメン様なのです。
女装すればとてもお美しかったでしょうね。
何時までもうじうじシクシクと泣かれる王妃様へ私は新愛を込めてちゅっと可愛らしく王妃様の頬にお別れのキスをしました。
王妃様はエントランス迄名残惜しそうにされておられましたが、何とか今回も無事に私とテアはお母様によって屋敷へと帰宅する事が出来ました。
「本当に何時まで経っても王妃と言う自覚をお持ちになられないわね」
なーんて馬車の中で文句を仰っておられるお母様ですが、実は王妃様とはとても仲良しさんなのです。
そしてこの一連の流れは私の誕生以降変わらず王宮へ伺候する日の当たり前的な日常。
どうかもこの幸せがずっと続きます様に……。
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