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終章

11  告白

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「あ、その、出来れば、いやもうライアーンには帰らないで欲しい。貴女にはこうしてずっと私の傍にいて欲しい、のだ。それにシャロンと言う国は滅びはしたがまだそなたを狙うアーロンは生きている」

「生き……あ、そう、ですわね。あのお方は生きていらっしゃるのですもの……ね」

 明らかに落胆の色濃く小さな声で呟く腕の中の乙女は見る間にその表情をも曇らせていく。
 その様子でさえも愛らしい乙女の小さな顎を指でそっと掬い上げる。
 ラファエルの顔を見上げる形となったエヴァの瞳に自身の瞳を絡ませた。

「そんなに悲しい表情かおをしないで。私が必ずアーロンの息の根を止めてみせる。そして近い将来貴女へ必ず自由を約束する。だからどうか私と共に生きて欲しい。愛するエヴァンジェリン。最初こそはギ-の、友人の娘に過ぎなかったのだが今は違う。貴女は私の最愛なる存在なのだ。どうか私と共にこれからも生きて欲しい!!」

 熱を孕み男性特有の色香を滲ませた声音で、ラファエルはエヴァの耳元で熱く囁いた。


 どうか俺を拒まず受け入れて欲しい……!!


 囁くと言うよりそれは重た過ぎるくらいの懇願といった方が正しいと思う。
 ラファエルからすれば14歳も年下も乙女に縋りつく様な想いなのだ。
 こんな重過ぎる想いを打ち明ければ嫌われるのかもしれないと思うのだがもう遅い。
 ラファエルの身の内に秘めてきた熱い想いはもう愛しいエヴァへ伝えてしまった。
 後は彼女がどう判断してくれるのか?
 それはまさに判決を言い渡される被告人の気持ちと変わらないだろう。

 有罪または無罪か――――。

 受け入れないのか、受け入れてくれるのか。

 ラファエル自身の心臓はこれでもかというくらい早鐘を打ち鳴らしている。
 その音が全身のあらゆる感覚という感覚でドッドとしっかり伝わっていく。
 恐らく彼の腕の中にいるエヴァにもその音が漏れ伝わっているのではないかと思う程なのだ。
 そうして数分経ってエヴァはラファエルの瞳を真っ直ぐ見詰めたまま言葉を紡いだ。

「はい、承知致しましたわ陛下」
「エヴァンジェリン!!」

「何も仰らなくていいのです。あの方が生きておられる限り陛下は私を護って下さるのでしょう? ならば私は陛下のお傍にいます」
「――――そ、その言葉だけでいいのだ!! 貴女を愛しているエヴァンジェリン!!」

 ラファエルは溢れんばかりの喜びを表現するかの様に腕の中の乙女を更に力強く掻き抱く。
 エヴァは抱きしめられた腕の中で彼の体温を華奢な身体で感じると、何故か彼女の胸がとくん――――と一瞬心臓が飛び跳ねてしまった。
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