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終章

5  悶々と

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 結局夜明け前まで一睡も出来なかった。
 原因としてエヴァはここにきてもまだアナベルが自分をどう思っているのだろうか、これまでの自信の態度を振り替えながら悶々と悩み続けたしまったのである。
 常ならば寝台へ横になればものの数分で寝てしまうのだが、今夜だけは約三週間ぶりに面と向かってアナベルと話をすると決意をした為なのかそれはわからない。
 ただ現在進行形でエヴァは猛烈に迫りくる睡魔と闘っていた。
 そして午前3時を過ぎた頃……。

 コツンコツン――――。

 深夜に響く階段を上がる足音がゆっくりとこちらへと向かってくる。

 きゃっ!?

 反社的に小声で叫んだでしまった。
 ソファーに座ってウトウトしていたエヴァの上体がびくりと小さく飛び上がると一気に目が覚めたのは言うまでもない。

 寝ずに待っていた人物、そうアナベルがやって来たのである。
 エヴァの胸は寝不足と緊張とこれからの事に対しての興奮が微妙に相まってドキドキと何やら落ち着かない。


 さ、さぁこれからちゃんとアナベルに謝るのよ。
 これまでの事とそれから三週間? い、いえ違うわね。
 約ひと月もの間とても心配させてしまっ……だけど最初に何を言えばいいかしら?

 あ、そうだわ。
 ここは優雅にソファーへ座ったまま「よく来たわね」って、こ、これでは喧嘩を売っているものと思われてしまうっ。
 ではベッドにふわりと腰を掛けて「待っていたわよ」?
 う~んこれもなんだか違う感じだわ。
 それでは扉の前で「ごめんなさいアナベルっ」と言って問答無用で抱きつけば……ってこれも駄目だわ。
 折角持ってきてくれた飲み物やパンをその反動で床に落としてしまう事になってしまうもの。

 明け方前よりより床掃除……と言うのか、アナベルの真心を無駄にしてしまう。

 あぁで、では寝台で眠ったふりをしてアナベルが近づいてきたらガバッと跳ね起き「アーナーベールー」って私はお化けか何かなの?

 何れにしても良案が思い浮かばないのはどうして⁉


 そのまま何も思い浮かぶ間もなく足音は、無情にもその扉の前で止まってしまった。

 キイィィ……。

「――――ヴァ様っ!?」
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