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第四章  現在

22  始まりは終わる為にそれとも終わりは始まりの為にあるもの?  Sideアーロン 胸糞回です

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 愛しい愛しいこの手で殺したい程、この世界で一番愛しい僕のエヴァンジェリン。
 漸く今この腕に君を抱く事が出来たよ、愛しいエヴァ。
 君はこの世界が与えたもうた僕の永遠の半身……。


 あぁそうだね。
 君がこの世界に生を受けた時より僕はただ君だけを永遠に近い時間を掛けて愛してきたのだよ。
 そして今回こそは誰にも君を奪われない為に僕は君が誕生した時婚約を申し出たというのに、愚かな君の両親は君と僕との愛にひびを入れてしまったのだよ。
 お陰で僕は君を永遠に僕のモノにする為に何度君の命を狙った事だろう。
 でもね愛するエヴァンジェリン、君の心と愛らしい身体にその器に入っているだろう命さえいや、君の体内に流れる血の一滴すらそれはもう僕のモノなのだからね。

 エヴァンジェリン……君と言う存在程に僕の心を掻き乱す女神はこの世の何処を探してもいない。
 君が僕のモノになりさえすればシャロン等という国なんてものはいらないのだよ。
 僕と一緒にこの昏い闇の中でお互いの身体を交わらせ、永遠に闇という海の中で一つに溶け合うんだ。
 それはとても崇高で美しいものなのだよ。

 あぁあの二年前の朔の夜、八年掛けて漸く君と出逢えた特別の夜に僕は堪らなく興奮してしまったよ。
 僕を見て恐れ怯える君の一番美しい姿を僕だけに見せてくれた瞬間、余りの幸福感に思わず身悶えしてしまったんだ。

 君が去ってからも興奮が収まらなくて、あの後ジェフリーが見つけてくれた君の贋物を感情のままに嬲り殺してしまったのだからね。

 でも愛らし過ぎる君がいけないのだよ。
 この僕を本気で興奮させるのだから……。

 だけど今君は僕の腕の中だ。
 流石のラファエルも君が僕の腕の中だと知ると勝手が違うみたいだね。
 ふふん、僕とそっくりな綺麗な顔をあの様に怒りで歪ませて、それを間近で見ている僕は実に愉快だよ。
 シャロンも僕の大事な暗殺集団という玩具達をこれまでの間、君は多くのモノを僕から奪ったのだからね。
 まぁ国や玩具も僕にしてみれば大したものではない、かな。
 ただ色々やらかしてくれた中でも一番に許せなかった十年前の事だ。
 
 君が画策をして僕の目の届かない所へ愛しいエヴァンジェリンを隠した事だったかな。

 然も君の妃だって?

 笑わせないで貰いたいね。
 僕は断じて君なんかに大切なエヴァンジェリンをあげたりはしない。
 僕はエヴァンジェリンの甘い唾液の一滴でさえも君には絶対にあげない。
 だ・か・ら返して貰うね、僕のエヴァンジェリンを……。


 あぁそれから二年前に僕が施したのにも拘らず、君達が無粋にも封印してくれた僕とエヴァンジェリンの愛の刻印を、先程彼女の甘い項を舐めて解呪したからね。

 ふふ、これで彼女も僕の事を思い出してくれるよ。

 まぁ解呪をした刺激で今彼女は愛らしい眠り姫となってしまったけれど、それも直に目が覚めるだろう。
 そうしてエヴァ、君が目を覚めた時に全てを思い出のだよ。

 この世で再び僕と巡り合った訳を……ね。

 悪いねラファエル。
 僕は今大切なエヴァンジェリンを抱いているから今回は君の相手はしないよ。
 その代わり僕にも闇の影はいるからね。
 影達には君達の相手をして貰う事にするよ。

「さぁ手加減はいらない。好きに料理するといいよ。そう、だね、ラファエルの息の根を止めた者にはご褒美として一つ願いを叶えてあげよう」

 そう僕が愉しげに言葉を発したのと同時に地面や家の陰からと、あらゆる影と言う影の中より僕の暗殺集団という玩具達が闇色の装束を纏いふらりふらりと闇の召喚魔法によって僕の周りに現れる。
 彼らは幼い頃より僕の命令を忠実に遂行する為だけに存在する僕の愉快な玩具。
 また彼らには普通の人間の様などうでもいい感情は存在しない。
 だからと言うものがない。
 そうして僕の命じるままに玩具は胸元より暗器を取り出し、ラファエルや彼に従う人間達へと飛びかかる。

 僕はそれをただ静かに見護るだけ。
 どちらが勝つかなんてどうでもいい。
 僕の玩具は強いけれど絶対はない。

 何故なら玩具は使えば使う程に何時かは壊れるものだろう。

 だから壊れるまでの間だけかな。
 僕を退屈にさせないでくれればいいだけなのさ。
 そう愛しいエヴァンジェリンが再び目覚めるまでの時間、僕を十分に愉しませてくれればいい。

 ふふ、眠り姫は目覚めた最初の王子様に恋をするのだから……。
 その為の刻印なのだからね。
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