【第一部完結】忘れられた王妃様は真実の愛?いいえ幸せを探すのです

Hinaki

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第四章  現在

15  始まりは終わる為にそれとも終わりは始まりの為にあるもの?  後半Sideジェフリー

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 抑々ジェフリーにしてみれば彼の姫、エヴァンジェリンの存在等どうでも良かったのである。
 少なくとも彼の中ではと言う認識でしかない。
 どちらかと言えば主が抱くエヴァンジェリンへの狂った性愛の所為で血の呪縛、ルートレッジ侯爵家に課せられた使命が思う様に遂行出来ない事の方がもどかしいとさえ思ってもいた。

 エヴァンジェリンへの強過ぎる執着だけに自ら進んで妖しい呪術めいた事にのみ力を注ぎ、己の立ち位置を見失いつつあるアーロンと、シャロンを滅亡しその後は精力的に自国内の政治へと力を注ぎ国の復興へ邁進するラファエル。
 許されないとわかりつつ気づけば同じ主でも表向きの主であるラファエルと闇の主であるアーロンとを見比べてしまう自分がいる。

 ジェフリー自身もわかっていた。
 彼自身優秀な文官であるが故為政者として真摯に政務と向き合うラファエルへどうしようもなく惹かれている。
 譬え表向きとは言え実りある仕事を、文官としての実力を認められ必要とされる事に幸せを感じている自分を……。

 だがそれは同時にルートレッジの血を受け継ぐ者として決して抱いてはいけない禁忌なる想いだという現実も!!

 それらを理解しているからこそ、自身がラファエルへ抱く思慕を打ち消す為にもアーロンには一日でも早く為政者として自覚をして欲しかった。
 彼の姫の特徴を持つ乙女達をアーロンへ捧げたのも、彼にシャロンの再興を自覚して欲しいと願った為からのもの。



 今ならばまだ間に合う。
 裏の社会にはシャロン再興の為に動かす力もある。

 だがそれも今だけ。

 国という後ろ盾を亡くした組織は脆い。
 事は急を要している。
 これまでシャロンに対抗手段もなくただ蹂躙されるのみだった周辺国。
 それがラファエル王が率いたルガートによってシャロンは滅びを迎えさせられてしまった。

 そして恐らくこの好機を逃す者はいない。
 
 各国より残る裏の組織を崩壊させようとあらゆる手段が講じられるだろう、いやもう既に始まっている筈だ。
 ラファエル王を主としてその周辺国家――――北はウェイスティアから始まり南のカルタンまでもがその重い腰を上げ、この世界におけるシャロンの完全抹殺計画はもう始動しているのだ!!

 だが肝心のアーロン様には今の現状がわかっておられない。
 いや、ラファエル王同様元々聡明な御方なのだ。
 しかしその聡明あるが故なのか、それとも持って生まれたご気性とでも言うのだろうか。

 あの御方は狂気を孕んだ滅びというモノに酔いしれられておられる。

 だからこそっ、今アーロン様の瞳に彼女を映したくはない!!

 きっと本物のエヴァンジェリン王妃よりも彼女は可憐で美しい。
 そんな彼女をアーロン様の瞳に映してしまえば彼女の命は勿論の事――――⁉

 そして私は、彼女フィオを失う事があれば、アーロン様に対し叛意はんいを抱く……だろう。

「ねぇ何を隠しているのジェフリー?」

 この御方に叛意を抱く感情等あってはなら、ない事だ!!
 それは禁忌なるもの。
 抱いてはいけない、だから――――。

『早くここより立ち去れっっ!!』
「――――っ!?」
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