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幕間 三国の過去
1 シャロン王国
しおりを挟む大陸においてライアーン同様最も古い歴史を持つ国の一つ。
ただライアーンが光ならばシャロン王国はまさに影……いや、闇と言っても過言ではない。
シャロンという国はその成り立ちや何もかも全てが闇に包まれていたのである。
表向きシャロンという国は軍事国家であった。
強さこそが正義。
戦い奪い犯すこそが正義と謳う国。
軍事国家と称されるくらいシャロンの軍事力は絶大だったとも言える。
そしてその強さ故に最大勢力時には大陸の大半をほぼ手中に収めていた時期もあった。
だがそれはあくまで表向きなお話。
シャロン王国には裏の顔、世界が存在する。
もっともポピュラーなものとすれば闇の商会の総元締め。
どの国でも闇商人は大なり小なり存在するだろう。
しかしシャロンのそれは国家そのもので統括と暗躍していたのである。
軍事国家と称されるだけに武器を売るのは当然、だがそればかりでもない。
麻薬や禁じられた薬物もだが、占領した国の人間を奴隷とし普通に市で人身売買等が行われていた。
他国より幼い子供を攫ってきては、命懸けの訓練を強要と同時に強力な洗脳を施し、そうして死を恐れない絶対服従の暗殺集団を作り上げていく。
諜報何て日常茶飯事で最早問題にもならない。
暴虐非道……悪の限りを尽くすのがシャロンという国だ。
シャロンの人間へ正々堂々と言う言葉は存在しない。
兇悪で姑息な手段を用いても目的を遂げられるならば何でもOKである。
そんな国だからこそ真面な人間は殆ど存在しない。
愚王や佞臣奸臣等は当たり前。
それでも長きに渡り闇歴史を持続できたのは偶に現れる賢王の存在がいた#故なのかもしれない。
だが極偶に優れた人材が存在したからと言って国の全てが軌道修正出来よう筈はない。
出来たところでほんの僅か。
国家を存続させられるだけが関の山であったろう。
何処の国でも黒歴史な部分は存在しているだろうが、その様なものは長い時間の中でごく僅かに過ぎない。
シャロンと比べれば何処の国も可愛いものであろう。
それ故に何処の国もシャロンと進んで婚姻による同盟を結びたいとは思わない。
万が一結んでしまえば何かの折にその国は併合という名で国を奪われてしまうだけでなく、何よりも無理やり妃にと乞われたであろう数多なる姫君達は皆真面な最期を迎えてはいない。
彼の国へ嫁げば病死と言う名の暗殺若しくは先に精神が病むか、はたまた薬漬けにされ廃人となって命を終えていく。
年頃の娘を持つ他国の王達はシャロンに目を付けられる前に他国または自国の高位貴族へと娘を降嫁させる。
ただ姫君達の身を案じて……。
譬え婚約または婚姻に至った姫であろうともである。
その時代のシャロンの王が目を付けたのであれば、力や物を言わせ無理やり奪い去る事もあったらしい。
彼の国に気に入られればその娘は死んだも同じ。
何時しか一種の呪いの様な言い伝えまで語られている有様である。
そんな暴虐非道なシャロンに対し他国は何もしなかった訳ではない。
それなりの強国と称された国々は他国と同盟を結びシャロンを攻め滅ぼそうと何度も戦を起こした。
だが結果はその全ての戦に置いて敗戦したのである。
何故ならシャロンは本戦である戦闘が始まるまでにありとあらゆる手を使い、相手の王や大将達を暗に葬っていた。
突然将を失った状態で如何な強国であろうとも真面な戦闘が行える筈はない。
そうシャロンに騎士道精神何て高尚なものも存在しない。
目を引くもの、興味を誘うものがあればどんな阿漕な手を使ってでも必ず手に入れるのが――――シャロンという国なのだ。
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