36 / 122
第二章 過去から現代へ向かって ~過去二年半前
14 閑話 アナベルの笑えない独り言……?
しおりを挟むお久しぶりに御座います。
我が運命の主エヴァ様唯一の専属護衛侍女、アナベル・ベイントンで御座います。
此度ラファエル陛下より王宮内に潜むクソ鼠……コホン失礼、あの悪辣なシャロンの間者共を一掃すると告げられました。
また此度の脱出大作戦はエヴァ様の安全を確保する為のもの。
何も知らされておられないエヴァ様、真実をお知りになられた際はそれ相応の罰を受ける所存に御座います。
ですので此度は上手く騙されて下さいませ。
話を元へ戻しカータレット伯爵、マックス先生の処方して頂いたお薬を定期的にエヴァ様へお飲ませし後二日はこのまま静かに眠られるそうです。
本当に良く効くお薬です。
役に立たない優男……失礼少々口が過ぎましたわね。
マックス先生の医師としての腕だけは認めざるを得ないでしょう。
普段は私よりも遥かに弱い男とは思いますが同時に何を考えているのか掴みどころのない一面を持った男性だとも言えますわね。
それにしても私の大切で愛らしいエヴァ様が眠っていらっしゃる間に少しでもシャロンの間者を一掃して頂き、一日も早くあの亡霊馬鹿王太子の首を刎ねて欲しいですわ。
アレがこの世に存在している間はエヴァ様の真の平和は訪れないのですから……。
あぁそれとエヴァ様がお目覚めになってからの言い訳も考えておかなくてはいけませんわね。
マックス先生はちゃんとエヴァ様が復職しやすい状況で送り出して下さったのでしょうか?
もしあの優男が余計な事をしておりましたならばこのアナベルが責任を持って丁寧にお仕置きを致します。
エヴァ様の身の安全はこのアナベルが責任を持ってお護り致しますからね。
それにしてもエヴァ様のこのあどけなさの残るお可愛らしさもお美しいお顔は、世の男性には絶対に見せたくないですわ!!
抑々このルガートへ来た目的と申しますのはエヴァ様のお心の治療と馬鹿の目から隠す為。
ですので全てが終われば(馬鹿が死ねば……失礼)エヴァ様に全てをお話する心算です。
きっと物凄くお怒りにはなられるでしょうが私は何があろうとも耐えてみせます。
そう全てはエヴァ様の為なのです!!
なのでエヴァ様のお怒りもこのアナベル、謹んで……そのお怒りを含め全てを受け入れてみせますわ。
でなければきっとエヴァ様は永遠に故国ライアーンへお戻りになられようとはされないでしょう。
最愛なる故国へお帰りになられれば国王陛下と王妃陛下は勿論の事ですが、まだお会いしてはいない弟君にもお会いになられるのです。
この七年半もの間エヴァ様がお心内にずっと秘めておられた願いが叶うとですよ。
ここまで話せば英邁なる皆様にもご理解頂けていると思います。
えぇそうに御座います。
この結婚は極秘裏に行われたもの。
ですのでルガートの国民は勿論、ライアーンの国民や諸外国の誰にも知られてはいないのです。
知っているのは我がライアーン国王陛下とラファエル陛下の側近数名とルガートに居座っているだろうシャロンの間者だけでしょうね。
その為の白い結婚#__・__#なのです。
そうして全てが終わればあの忌々しい結婚証明書を暖炉で燃え盛る焔の中に投げ込めば、晴れてエヴァ様は傷一つない綺麗なお身体へと戻られるのです。
あぁ何と素敵な事でしょう。
男性と言う存在に余り期待は出来ないものですがしかしこの際です。
我が愛しのエヴァ様の御為に骨身を惜しまずせっせとお働きになって下さい。
最後に、万が一敢え無く骨となられましてもエヴァ様は勿論、私もですが当然その骨は拾いませんので足からず。
0
お気に入りに追加
250
あなたにおすすめの小説
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
【完結】婚約者が好きなのです
maruko
恋愛
リリーベルの婚約者は誰にでも優しいオーラン・ドートル侯爵令息様。
でもそんな優しい婚約者がたった一人に対してだけ何故か冷たい。
冷たくされてるのはアリー・メーキリー侯爵令嬢。
彼の幼馴染だ。
そんなある日。偶然アリー様がこらえきれない涙を流すのを見てしまった。見つめる先には婚約者の姿。
私はどうすればいいのだろうか。
全34話(番外編含む)
※他サイトにも投稿しております
※1話〜4話までは文字数多めです
注)感想欄は全話読んでから閲覧ください(汗)
旦那様は大変忙しいお方なのです
あねもね
恋愛
レオナルド・サルヴェール侯爵と政略結婚することになった私、リゼット・クレージュ。
しかし、その当人が結婚式に現れません。
侍従長が言うことには「旦那様は大変忙しいお方なのです」
呆気にとられたものの、こらえつつ、いざ侯爵家で生活することになっても、お目にかかれない。
相変わらず侍従長のお言葉は「旦那様は大変忙しいお方なのです」のみ。
我慢の限界が――来ました。
そちらがその気ならこちらにも考えがあります。
さあ。腕が鳴りますよ!
※視点がころころ変わります。
※※2021年10月1日、HOTランキング1位となりました。お読みいただいている皆様方、誠にありがとうございます。
【完結】気付けばいつも傍に貴方がいる
kana
恋愛
ベルティアーナ・ウォール公爵令嬢はレフタルド王国のラシード第一王子の婚約者候補だった。
いつも令嬢を隣に侍らす王子から『声も聞きたくない、顔も見たくない』と拒絶されるが、これ幸いと大喜びで婚約者候補を辞退した。
実はこれは二回目人生だ。
回帰前のベルティアーナは第一王子の婚約者で、大人しく控えめ。常に貼り付けた笑みを浮かべて人の言いなりだった。
彼女は王太子になった第一王子の妃になってからも、弟のウィルダー以外の誰からも気にかけてもらえることなく公務と執務をするだけの都合のいいお飾りの妃だった。
そして白い結婚のまま約一年後に自ら命を絶った。
その理由と原因を知った人物が自分の命と引き換えにやり直しを望んだ結果、ベルティアーナの置かれていた環境が変わりることで彼女の性格までいい意味で変わることに⋯⋯
そんな彼女は家族全員で海を隔てた他国に移住する。
※ 投稿する前に確認していますが誤字脱字の多い作者ですがよろしくお願いいたします。
※ 設定ゆるゆるです。
酒の席での戯言ですのよ。
ぽんぽこ狸
恋愛
成人前の令嬢であるリディアは、婚約者であるオーウェンの部屋から聞こえてくる自分の悪口にただ耳を澄ませていた。
何度もやめてほしいと言っていて、両親にも訴えているのに彼らは総じて酒の席での戯言だから流せばいいと口にする。
そんな彼らに、リディアは成人を迎えた日の晩餐会で、仕返しをするのだった。
愛など初めからありませんが。
ましろ
恋愛
お金で売られるように嫁がされた。
お相手はバツイチ子持ちの伯爵32歳。
「君は子供の面倒だけ見てくれればいい」
「要するに貴方様は幸せ家族の演技をしろと仰るのですよね?ですが、子供達にその様な演技力はありますでしょうか?」
「……何を言っている?」
仕事一筋の鈍感不器用夫に嫁いだミッシェルの未来はいかに?
✻基本ゆるふわ設定。箸休め程度に楽しんでいただけると幸いです。
旦那様、前世の記憶を取り戻したので離縁させて頂きます
結城芙由奈
恋愛
【前世の記憶が戻ったので、貴方はもう用済みです】
ある日突然私は前世の記憶を取り戻し、今自分が置かれている結婚生活がとても理不尽な事に気が付いた。こんな夫ならもういらない。前世の知識を活用すれば、この世界でもきっと女1人で生きていけるはず。そして私はクズ夫に離婚届を突きつけた―。
【完結】今世も裏切られるのはごめんなので、最愛のあなたはもう要らない
曽根原ツタ
恋愛
隣国との戦時中に国王が病死し、王位継承権を持つ男子がひとりもいなかったため、若い王女エトワールは女王となった。だが──
「俺は彼女を愛している。彼女は俺の子を身篭った」
戦場から帰還した愛する夫の隣には、別の女性が立っていた。さらに彼は、王座を奪うために女王暗殺を企てる。
そして。夫に剣で胸を貫かれて死んだエトワールが次に目が覚めたとき、彼と出会った日に戻っていて……?
──二度目の人生、私を裏切ったあなたを絶対に愛しません。
★小説家になろうさまでも公開中
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる