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シャルロット幼少期

私の大切な家族は皆心配性

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あれからシャルロットはマリウスにがっちり手を繋がれながら連れられ、母と兄達の元に戻った。
そこは貴族街の一角にある馬車止めで、麗しい金髪美女と、美少年二人が心配げに佇んで居た。三人はシャルロット達に気付くと慌てて駆け寄った。


「シャルロット!」
「「シャーリー!」」

「お母さま!クラウ兄さま!エリー兄さま!」

シャルロットと呼びガシッと抱きついて来た金髪薄茶の瞳の美女はシャルロットの母ミリアンネ。30過ぎた四人の母とは思えない若々しさを持つ、今も社交界の花として君臨している。

「嗚呼、良かった…シャーリーちゃん何処に行って居たの?心配したのよ?また、拐われて無いかって…あんなに約束したでしょう?好奇心に釣られて皆から離れちゃダメよって。」

「ごめんなさい、お母さま。」
「もういいのよ、私の可愛い天使。シャーリーちゃんが無事だったのだもの、それだけでもう良いわ」

母娘抱擁の脇を固める様に立つ美少年二人は、頭を優しく撫でまくるのが長男クラウス。薄茶の髪と薄茶の瞳をした美少年は色味どうり優しいしっかり者お兄ちゃんだ。先程までマリウスに握られていたのと逆の手を、ぎゅうっと握るのは次男エリオット。金髪茶色の瞳をした優男風な甘い容貌は、女好きしそうだ。

「お母様の言う通り本当に無事で良かったよ。ごめんな、俺たちがいながらシャーリーを一人ぼっちにしてしまって、心細かっただろう?何処も怪我はして無いか?」

「シャーリー僕の天使!変態に連れ去られて無いか気が気じゃなかったよ…」

「クラウ兄さま、エリー兄さま二人とも心配かけてごめんなさい。何処も怪我はないわ。それに直ぐにマリちゃんが助けに来てくれたから心細くも無かったわ。変態?は良く分からないけど、知らないおじさんはマリちゃんが退治してたよ?」

そこに至って初めてマリウスの存在を思い出したのか、三人はいっせいにマリウスに向く。

「あら、殿下…ごめんなさいね。別に忘れてた訳じゃありませんのよ。うふふ…娘を無事連れて来て下さりありがとうございます」

うふふっと誰もがうっとりとする様な女神の笑みで、一応取り繕うミリアンネ。

「ああ、そう言えば殿下もまた俺達と一緒に買い物来てたんでしたね。俺達のシャーリーを見付けて頂きありがとうございました」

年下幼なじみの王太子に全く取り繕う気無しで、可愛い妹の所有権を張り合う様な態度だが、長男としてきちんと礼は言うクラウス。

「あ、悪いマリウス。完全忘れてた…僕達のシャーリーを連れて来てくれてありがとうな。でもマリウスってストーカーかって位毎回シャーリー発見するの早いよな」

幼なじみで同い年のエリオットは、最初から遠慮なんて無い。

「…………当然だよ。シャーリーは僕が五歳の時からの、僕の大切な婚約者だからね。発見が早いのは僕達の愛のなせる技だろうね」

シャーリーには筋金入りの独占欲を持つ完璧王子は、未来の側近となるだろう幼なじみ兄弟と今日も平和にシャーリーを取り合う。

「所で殿下、さっきシャーリーが聞き捨てならない事を言ってた気がするんですが、おじさんを退治とはどういう事でしょうか?まさかやっぱり……」

クラウスは溺愛する妹の事については何一つ逃す気は無い。

「ああ、今日も誘拐されそうだったね。」

マリウスがさらっと衝撃的な事を言っているようだが、シャーリーの家族は日常となっている為……


「「「ああ、やっぱり……」」」


と母と兄二人は図らずも見事にハモった。

「ゆうかい?あのおじさんは誘拐犯の人だったのね」

((((シャーリー……何て可愛い))))


こてん。と小首を傾げ今更気づく天使に、今度は四人全員が悶えながら胸の内は一つだった。


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