71 / 136
第二章 メイダール大学街
第六話 呪の魔法
しおりを挟む
セルジン王と別れて、王の部屋の隣に割り当てられた部屋へ急ぐ。
エランに買ってもらった糖菓を、二人で小分けにする約束をしているのに、王との話が長引いて遅れてしまったのだ。
時間を守るエランを、待たせる訳にはいかない。
僕は大慌てで部屋に戻った。
霧魔に襲われてから、僕への警護はますます厳重になった。
近衛騎士が四人付き添い、部屋に入るにも最初に二人の騎士が、部屋を確認してから入らなければならない。
「オーリン殿下、お入り下さい」
彼等は部屋の外で待機し、中には女騎士と侍女達が僕を迎える。
割り当てられた部屋は決して広いものではない。
学長の家とはいえ、城とは比べ物にならないくらいこじんまりした家だ。
僕が入室して片開きの部屋の扉が閉められた時、部屋付きの女騎士の横に、妙な違和感を覚えて振り返った。
「よお、ヘタレ小竜。死んだのかと思って来てみたけど、なんだ、動けるようになったのか?」
壁にもたれてテオフィルスが、微笑みながら僕を見ていた。
その瞬間に、霧魔に襲われながら、なぜ僕が助かったのかを、まざまざと思い出す。
《リンクル! 霧魔を吹き飛ばせ!》
テオフィルスに助けられたのだ。
僕は真っ青になって、幽霊でも見るように彼を見詰めた。
「俺はお前にしか見えないし、声もお前にしか聞こえない。そんな顔をしていると、変に思われるだろう?」
楽しんでいるように彼は、壁から離れ僕の方へ来る。
確かに竜の指輪の約束で、不本意にも同行を許可してしまったけど、セルジン王の魔力の圏内である、エステラーン王国内部まで入り込んでしまった彼に、嫌な予感と脅威を感じる。
「お前の王は相変わらずだな。助けてやったのに、俺に霧魔を寄せ付けないように頼んでおきながら、お前のその後の状態を教える気もない。だから俺の方から来てやったぜ、ありがたく思え!」
来なくていい!
顔を引き攣らせながら、僕はなんでもない素振りで、ミアの方へ逃げる。
この男に関わると、いつもろくな事にならない!
冗談じゃない、近付くな!
侍女のミアは手にした籠を、僕に差し出しながら微笑んでいる。
彼女が「オリアンナ」の名を呼ばないか、僕は緊張で冷や汗が出た。
「糖菓を包む布と飾り紐は、こちらでご用意いしました。あとはエラン様と仲良くお分け下さいね」
「う……、うん、喧嘩しないように気を付けるよ。そこに置いといてくれ」
幸い名前は呼ばないが、内容は明らかに女子向けだ。
テオフィルスには、僕がオリアンナだと、絶対に知られたくない。
婚約者としてアルマレーク共和国に、連れ去られる事になる。
僕はミアの横を通り過ぎ、窓の方へ向かう。
ミアが僕を見ているうちに、テオフィルスは彼女の持つ籠の糖菓を一掴み取り、布と飾り紐で繰るんだ。
ミアは彼に気が付かない。
彼の大胆さに、僕の心臓は爆発寸前。
「ふふん、糖菓ね。ま、助けた礼として、一掴みもらっていくぜ」
上機嫌のテオフィルスは糖菓を一つ口に入れ、残りを懐にしまいながらゆっくり僕に近付く。
早く、出ていけ!
僕は思いっきり窓を開けた。
霧に覆われた大学街から室内に、湿気が急激に流れ込む。
「霧が入ってきますわ」
「いいんだ、なんだか蒸し暑いよ」
「そうでございますか?」
ミアは不思議そうに僕を見つめている。
この街に入ってから、霧の寒さに敏感になる者が多いが、暑いと窓を開けるのは僕ぐらいだろう。
「お前の部屋は女ばかりだな。年上の女が好みなのか?」
「そんな事はどうでもいい、早く出ろ!」
小声で窓に向かって、呟く。
本当は叫びながら彼を叩き出したいが、僕は必死に堪えていた。
騒ぎになれば警護人数が増えて、ますます自由が利かなくなる。
それは嫌だった。
テオフィルスは僕の横に立ち、窓を乗り越える素振りを見せながら、挑発するように顔を近付ける。
「それとも、お前は女なのか?」
心の奥底を見透かすテオフィルスの青い瞳が、目の前にある。
僕は緊張を悟られないように無表情を装いながら、彼を睨み付ける。
すると僕の周りから、薄っすらと光が出ている気がした。
「ふん、〈ありえざる者〉め」
吐き捨てるように、彼が呟く。
「……え?」
〈ありえざる者〉……、彼は今そう言わなかったか?
聞き返そうとした時、いきなり部屋の扉をノックして近衛騎士が現れた。
その後ろにエランの姿が見える。
僕の鳩尾が、危機感に悲鳴を上げる。
エランの目は、明らかに僕の横にいるテオフィルスを捉えていた。
「お前!」
近衛騎士を押し退けて、部屋に入ってきたエランの周りから、ハラルドと同じ黒い渦が強烈に吹出している。
黒い渦は揺らめく炎のように、彼の身体から這い上がる。
「なんだ? あいつ……、屍食鬼か?」
テオフィルスのその言葉を、エランに聞かせたくなくて、僕は窓辺に腰掛ける彼を突き飛ばし、雨戸と窓を閉めた。
エランは今にも剣を抜こうとしている。
「駄目だ、エラン!」
僕は恐怖を感じながら彼の腕を掴み、最悪の事態を回避しようと必死にしがみ付く。
理由もなく剣を抜くのは、騎士としての道を閉ざす危険がある。
それ以上に、今の彼は普通ではない。
突然のエランの剣幕に護衛達は警戒し、僕達を引き離そうとしたが、僕は侍女と護衛達の退出を命じた。
「陛下をお呼びしてくれ! 早く!」
侍女と護衛達は訳が解らず、戸惑いながら退出する。
事情を知っている一人は、即座にセルジン王の元へと走る。
彼等には見えない。
黒い渦が見えるのは《王族》とその血を引く者達だけだ。
エランは今にも半変化になりそうで、僕は黒い渦が纏わり付くのも構わず、必死に彼に抱き着いた。
「正気に戻れ! 僕は君の側を、離れたりしないから、エラン!」
エランはハラルドに殺されかけた時、呪の魔法を掛けられている。
あれ以来、時々黒い渦を身に纏わり付かせる。
ハラルドが持ち合わせ、屍食鬼が強烈に打ち出す、憎悪に満ちた黒い渦を。
僕は毒気に苦しみながら、必死にしがみ付いた。
「エラン、僕が判らないのか? エラン!」
「……オリ……ア…… ンナ」
「そうだよ、僕だよ。エラン、元に戻れ」
くちづけをして、《王族》の魔法を使い彼を癒す。
周りから黒い渦が消え始め、彼は徐々に正気に戻り始める。
お互いの唇が離れた時、エランは僕の青ざめた顔色に気が付いた。
「オリアンナ、どうしたんだ? 真っ青だ」
「……なんでもない、少し疲れただけさ」
彼の放った毒気に当てられたとは、口が裂けても言えない。
僕は疲れきって彼にもたれかかり、彼は戸惑いながらそっと抱きしめる。
ハラルドの呪いを解く決意をした彼は、呪いの内容を本当には知らないのだ。
黒い渦を発する前後の記憶を、エランは持ち合わせない。
何が原因でそうなるのかを、彼は知る事が出来ない。
「僕は何かを見た。この部屋で……」
「何を? 別に変わった事はなかったよ」
「……そうなのか?」
テオフィルスがいた事を、悟られては駄目だ。
あの竜騎士は彼の憎しみを増幅する。
エランは額に手を当て、必死に何かを思い出そうとしている。
水色の瞳が、不安に揺れ動いて見える。
額には銀色に輝く綺麗な額飾りがはまり、赤い髪が優しくその額飾りを覆っている。
王がなぜその額飾りを与えたか、彼は知らない。
それは彼の暗黒の渦を抑え、魔を呼び寄せぬ王の魔力が込められた額飾り。
それでも時々、こうして黒い渦は外に現れる。
その度にエランが魔物と化していくようで、僕は悲しい。
「……王配候補になれて嬉しかったけど、それ以上に自信が無いんだ。君の心が見えなくて……」
心の中を見透かされ、戸惑いながら彼の腕を掴む。
「僕はいつも、君の側にいるよ。何度も言ってるじゃないか」
エランに対する気持ちが幼馴染みに対する同情なのか、恋愛感情なのか解らなくなっている。
王への想いを、彼は無意識に感じ取っているのだ。
それが伝わってきて、僕を責める。
「……それじゃあ、いつか僕のために、花嫁のドレスを着てくれる?」
「うん。君は僕の王配候補だよ」
僕は微笑んで答える、彼を守る事がいつまで出来るのか、不安を押し殺しながら。
彼の憎しみが、王に向くのが怖い。
それ以上にセルジン王が、いつまで呪の魔法を受けたエランを、擁護してくれるのかが怖かった。
彼を王配候補に選んだのは、周りから守るためだ。
大事な幼馴染みを、屍食鬼にはしたくない。
王への気持ちを切り捨てられないまま、彼の気持ちに答えている。
どちらも大事だと思い込みながら、結局、心は王を求めている。
「君のままでいてくれ、頼むから。僕は側にいるから、君の側に、ずっと……」
「何を言ってるんだ? 僕は、いつも僕だよ」
エランが微笑む。
彼に抱きつきながら、目の前が霞のかかったように見えなくなり、そのまま崩れ倒れた。
「オリアンナ? オリアンナ!」
彼は驚き、僕を抱き留めながら、外にいる護衛を大声で呼んだ。
エランに買ってもらった糖菓を、二人で小分けにする約束をしているのに、王との話が長引いて遅れてしまったのだ。
時間を守るエランを、待たせる訳にはいかない。
僕は大慌てで部屋に戻った。
霧魔に襲われてから、僕への警護はますます厳重になった。
近衛騎士が四人付き添い、部屋に入るにも最初に二人の騎士が、部屋を確認してから入らなければならない。
「オーリン殿下、お入り下さい」
彼等は部屋の外で待機し、中には女騎士と侍女達が僕を迎える。
割り当てられた部屋は決して広いものではない。
学長の家とはいえ、城とは比べ物にならないくらいこじんまりした家だ。
僕が入室して片開きの部屋の扉が閉められた時、部屋付きの女騎士の横に、妙な違和感を覚えて振り返った。
「よお、ヘタレ小竜。死んだのかと思って来てみたけど、なんだ、動けるようになったのか?」
壁にもたれてテオフィルスが、微笑みながら僕を見ていた。
その瞬間に、霧魔に襲われながら、なぜ僕が助かったのかを、まざまざと思い出す。
《リンクル! 霧魔を吹き飛ばせ!》
テオフィルスに助けられたのだ。
僕は真っ青になって、幽霊でも見るように彼を見詰めた。
「俺はお前にしか見えないし、声もお前にしか聞こえない。そんな顔をしていると、変に思われるだろう?」
楽しんでいるように彼は、壁から離れ僕の方へ来る。
確かに竜の指輪の約束で、不本意にも同行を許可してしまったけど、セルジン王の魔力の圏内である、エステラーン王国内部まで入り込んでしまった彼に、嫌な予感と脅威を感じる。
「お前の王は相変わらずだな。助けてやったのに、俺に霧魔を寄せ付けないように頼んでおきながら、お前のその後の状態を教える気もない。だから俺の方から来てやったぜ、ありがたく思え!」
来なくていい!
顔を引き攣らせながら、僕はなんでもない素振りで、ミアの方へ逃げる。
この男に関わると、いつもろくな事にならない!
冗談じゃない、近付くな!
侍女のミアは手にした籠を、僕に差し出しながら微笑んでいる。
彼女が「オリアンナ」の名を呼ばないか、僕は緊張で冷や汗が出た。
「糖菓を包む布と飾り紐は、こちらでご用意いしました。あとはエラン様と仲良くお分け下さいね」
「う……、うん、喧嘩しないように気を付けるよ。そこに置いといてくれ」
幸い名前は呼ばないが、内容は明らかに女子向けだ。
テオフィルスには、僕がオリアンナだと、絶対に知られたくない。
婚約者としてアルマレーク共和国に、連れ去られる事になる。
僕はミアの横を通り過ぎ、窓の方へ向かう。
ミアが僕を見ているうちに、テオフィルスは彼女の持つ籠の糖菓を一掴み取り、布と飾り紐で繰るんだ。
ミアは彼に気が付かない。
彼の大胆さに、僕の心臓は爆発寸前。
「ふふん、糖菓ね。ま、助けた礼として、一掴みもらっていくぜ」
上機嫌のテオフィルスは糖菓を一つ口に入れ、残りを懐にしまいながらゆっくり僕に近付く。
早く、出ていけ!
僕は思いっきり窓を開けた。
霧に覆われた大学街から室内に、湿気が急激に流れ込む。
「霧が入ってきますわ」
「いいんだ、なんだか蒸し暑いよ」
「そうでございますか?」
ミアは不思議そうに僕を見つめている。
この街に入ってから、霧の寒さに敏感になる者が多いが、暑いと窓を開けるのは僕ぐらいだろう。
「お前の部屋は女ばかりだな。年上の女が好みなのか?」
「そんな事はどうでもいい、早く出ろ!」
小声で窓に向かって、呟く。
本当は叫びながら彼を叩き出したいが、僕は必死に堪えていた。
騒ぎになれば警護人数が増えて、ますます自由が利かなくなる。
それは嫌だった。
テオフィルスは僕の横に立ち、窓を乗り越える素振りを見せながら、挑発するように顔を近付ける。
「それとも、お前は女なのか?」
心の奥底を見透かすテオフィルスの青い瞳が、目の前にある。
僕は緊張を悟られないように無表情を装いながら、彼を睨み付ける。
すると僕の周りから、薄っすらと光が出ている気がした。
「ふん、〈ありえざる者〉め」
吐き捨てるように、彼が呟く。
「……え?」
〈ありえざる者〉……、彼は今そう言わなかったか?
聞き返そうとした時、いきなり部屋の扉をノックして近衛騎士が現れた。
その後ろにエランの姿が見える。
僕の鳩尾が、危機感に悲鳴を上げる。
エランの目は、明らかに僕の横にいるテオフィルスを捉えていた。
「お前!」
近衛騎士を押し退けて、部屋に入ってきたエランの周りから、ハラルドと同じ黒い渦が強烈に吹出している。
黒い渦は揺らめく炎のように、彼の身体から這い上がる。
「なんだ? あいつ……、屍食鬼か?」
テオフィルスのその言葉を、エランに聞かせたくなくて、僕は窓辺に腰掛ける彼を突き飛ばし、雨戸と窓を閉めた。
エランは今にも剣を抜こうとしている。
「駄目だ、エラン!」
僕は恐怖を感じながら彼の腕を掴み、最悪の事態を回避しようと必死にしがみ付く。
理由もなく剣を抜くのは、騎士としての道を閉ざす危険がある。
それ以上に、今の彼は普通ではない。
突然のエランの剣幕に護衛達は警戒し、僕達を引き離そうとしたが、僕は侍女と護衛達の退出を命じた。
「陛下をお呼びしてくれ! 早く!」
侍女と護衛達は訳が解らず、戸惑いながら退出する。
事情を知っている一人は、即座にセルジン王の元へと走る。
彼等には見えない。
黒い渦が見えるのは《王族》とその血を引く者達だけだ。
エランは今にも半変化になりそうで、僕は黒い渦が纏わり付くのも構わず、必死に彼に抱き着いた。
「正気に戻れ! 僕は君の側を、離れたりしないから、エラン!」
エランはハラルドに殺されかけた時、呪の魔法を掛けられている。
あれ以来、時々黒い渦を身に纏わり付かせる。
ハラルドが持ち合わせ、屍食鬼が強烈に打ち出す、憎悪に満ちた黒い渦を。
僕は毒気に苦しみながら、必死にしがみ付いた。
「エラン、僕が判らないのか? エラン!」
「……オリ……ア…… ンナ」
「そうだよ、僕だよ。エラン、元に戻れ」
くちづけをして、《王族》の魔法を使い彼を癒す。
周りから黒い渦が消え始め、彼は徐々に正気に戻り始める。
お互いの唇が離れた時、エランは僕の青ざめた顔色に気が付いた。
「オリアンナ、どうしたんだ? 真っ青だ」
「……なんでもない、少し疲れただけさ」
彼の放った毒気に当てられたとは、口が裂けても言えない。
僕は疲れきって彼にもたれかかり、彼は戸惑いながらそっと抱きしめる。
ハラルドの呪いを解く決意をした彼は、呪いの内容を本当には知らないのだ。
黒い渦を発する前後の記憶を、エランは持ち合わせない。
何が原因でそうなるのかを、彼は知る事が出来ない。
「僕は何かを見た。この部屋で……」
「何を? 別に変わった事はなかったよ」
「……そうなのか?」
テオフィルスがいた事を、悟られては駄目だ。
あの竜騎士は彼の憎しみを増幅する。
エランは額に手を当て、必死に何かを思い出そうとしている。
水色の瞳が、不安に揺れ動いて見える。
額には銀色に輝く綺麗な額飾りがはまり、赤い髪が優しくその額飾りを覆っている。
王がなぜその額飾りを与えたか、彼は知らない。
それは彼の暗黒の渦を抑え、魔を呼び寄せぬ王の魔力が込められた額飾り。
それでも時々、こうして黒い渦は外に現れる。
その度にエランが魔物と化していくようで、僕は悲しい。
「……王配候補になれて嬉しかったけど、それ以上に自信が無いんだ。君の心が見えなくて……」
心の中を見透かされ、戸惑いながら彼の腕を掴む。
「僕はいつも、君の側にいるよ。何度も言ってるじゃないか」
エランに対する気持ちが幼馴染みに対する同情なのか、恋愛感情なのか解らなくなっている。
王への想いを、彼は無意識に感じ取っているのだ。
それが伝わってきて、僕を責める。
「……それじゃあ、いつか僕のために、花嫁のドレスを着てくれる?」
「うん。君は僕の王配候補だよ」
僕は微笑んで答える、彼を守る事がいつまで出来るのか、不安を押し殺しながら。
彼の憎しみが、王に向くのが怖い。
それ以上にセルジン王が、いつまで呪の魔法を受けたエランを、擁護してくれるのかが怖かった。
彼を王配候補に選んだのは、周りから守るためだ。
大事な幼馴染みを、屍食鬼にはしたくない。
王への気持ちを切り捨てられないまま、彼の気持ちに答えている。
どちらも大事だと思い込みながら、結局、心は王を求めている。
「君のままでいてくれ、頼むから。僕は側にいるから、君の側に、ずっと……」
「何を言ってるんだ? 僕は、いつも僕だよ」
エランが微笑む。
彼に抱きつきながら、目の前が霞のかかったように見えなくなり、そのまま崩れ倒れた。
「オリアンナ? オリアンナ!」
彼は驚き、僕を抱き留めながら、外にいる護衛を大声で呼んだ。
0
お気に入りに追加
13
あなたにおすすめの小説
王太子の子を孕まされてました
杏仁豆腐
恋愛
遊び人の王太子に無理やり犯され『私の子を孕んでくれ』と言われ……。しかし王太子には既に婚約者が……侍女だった私がその後執拗な虐めを受けるので、仕返しをしたいと思っています。
※不定期更新予定です。一話完結型です。苛め、暴力表現、性描写の表現がありますのでR指定しました。宜しくお願い致します。ノリノリの場合は大量更新したいなと思っております。
からくり屋敷を脱出せよ
リビドー360
恋愛
からくり屋敷に囚われたリホとワタル。
知恵とエチを駆使して大脱出!?
80年代のちょっとエッチな漫画をオマージュし、少し過激さをプラス。
パクリじゃないよ!インスパイアだよ!
毒はお好きですか? 浸毒の令嬢と公爵様の結婚まで
屋月 トム伽
恋愛
産まれる前から、ライアス・ノルディス公爵との結婚が決まっていたローズ・ベラルド男爵令嬢。
結婚式には、いつも死んでしまい、何度も繰り返されるループを終わらせたくて、薬作りに没頭していた今回のループ。
それなのに、いつもと違いライアス様が毎日森の薬屋に通ってくる。その上、自分が婚約者だと知らないはずなのに、何故かデートに誘ってくる始末。
いつもと違うループに、戸惑いながらも、結婚式は近づいていき……。
※あらすじは書き直すことがあります。
※小説家になろう様にも投稿してます。
あの日、さようならと言って微笑んだ彼女を僕は一生忘れることはないだろう
まるまる⭐️
恋愛
僕に向かって微笑みながら「さようなら」と告げた彼女は、そのままゆっくりと自身の体重を後ろへと移動し、バルコニーから落ちていった‥
*****
僕と彼女は幼い頃からの婚約者だった。
僕は彼女がずっと、僕を支えるために努力してくれていたのを知っていたのに‥
【取り下げ予定】愛されない妃ですので。
ごろごろみかん。
恋愛
王妃になんて、望んでなったわけではない。
国王夫妻のリュシアンとミレーゼの関係は冷えきっていた。
「僕はきみを愛していない」
はっきりそう告げた彼は、ミレーゼ以外の女性を抱き、愛を囁いた。
『お飾り王妃』の名を戴くミレーゼだが、ある日彼女は側妃たちの諍いに巻き込まれ、命を落としてしまう。
(ああ、私の人生ってなんだったんだろう──?)
そう思って人生に終止符を打ったミレーゼだったが、気がつくと結婚前に戻っていた。
しかも、別の人間になっている?
なぜか見知らぬ伯爵令嬢になってしまったミレーゼだが、彼女は決意する。新たな人生、今度はリュシアンに関わることなく、平凡で優しい幸せを掴もう、と。
*年齢制限を18→15に変更しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる