Verizon,NTT-Data IndyCar series extreme Speed

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第2章 スランプ、そして、輝き放つ。

第103回インディアナポリス500マイルDay4,5(予選Day1&Day2)

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遂に、インディアナポリス500マイルの予選の日が来た。今日は13番手以降を決める予選。明日がポールポジションを賭けた最終決戦である。かと言って甘く見てる訳では無い。目指すは日本人、いや、アジア人ドライバー史上初の予選ワンツー独占である。そして、予選の時間となり皆の目付きが変わった。俺もそうだし、美海もそう。ヘルメットを被ると別人になる。そして、俺の一回目のアテンプトの時間が迫って来ていた。俺はマシンをレーンへと運び、その時を、今か今かと待ちわびていた。予選開始のカウントダウンが始まった。「10,9,8,7,6,5,4,3,2,1,0」という掛け声と同時に「Hikaru Kushima!1st attempt Start!here we go!」というアナウンスと同時に勢い良くタイヤスモークをあげてコースへ飛び出して行った。まずは軽く慣らし運転を行って、その後グリーンフラッグが振られてアタック開始。目指すは1996年の予選時に故スコット・ブライトン氏が叩き出した平均時速234マイルを超える事。俺は容赦無くアクセルを踏んでいた。結果は、2日目の最終決戦であるポールデイへ余裕で駒を進めることができた。俺はマシンを降りた時に美海に「たとえ壁に当たったとしても、ビビってアクセルを緩めるな。それ程自分が攻めてるという事をみんなに見せつけてやれ。いいね!じゃ、行ってらっしゃい!」と声をかけてあげた。そして美海の番が来た。カウントダウンの後に「Miu Sato!1st attempt Start!here we go!」というアナウンスが流れたのと同時に、美海も勢い良くタイヤスモークをあげてコースへ飛び出して行った。俺自身かなりいい走りだったので、記録を捨ててまでして、もう一度走ろうとは思わなかった。俺は控え室で、昨年の第9戦までのチームメイトだった、星奈(きらな)と一緒にモニターを見ながら「美海ちゃん速いねぇ。ホントにルーキーなの?アレで?」と星奈が言うと俺も「でしょ。実は美海のマシンには、俺がちょっとしたスパイスを加えてるから。」と言うと星奈は「スパイス?」と不思議な顔してた。そして俺は星奈に「なぁ、星奈、ウィングの角度どれくらい寝かせてる?」と言うと、星奈は「ざっとだけどマイナス5.2くらいかな?」と言うと俺は「やっぱりな。読みが当たった。実はこうなるだろうなと思って事前にウィングをマイナス5.5~5.7まで寝かせてるんだよ。」と言うと星奈は「マジで言ってる?!正気なの?」と驚いていた。実況も何やら騒がしくなっており何事かと思って、モニターを見たら俺ら2人も「マジかよ!?」と驚く事態が起きていた。それは何と美海が1996年大会の予選でスコット・ブライトンが出した平均時速234マイルを超えたのだ。実況も「Miu Sato is breaking the average speed record!!Avg.235.572mph!!」と驚いていた。俺と星奈は「こりゃ、明日が怖くなってきたよ。美海の記録をターゲットにしないといけないのか…もういっその事マイナス5.7~6.0まで寝かせようかな。ウィング…」と2人揃ってボヤいてる所に美海がルンルン気分で控え室に来た。俺は「おかえり。すげぇじゃん!1996年にスコット・ブライトンが出した記録を更新するなんて!明日のポールデイもよろしくな。」と言うくらいしか出来なかった。星奈も明日のポールデイへと駒を進めている為、かなり面白くなって来た。予選2日目のポールデイ。これこそ正に前哨戦とも言える戦いだった。俺は美海を超える為に秘策を考えていた。それは、昨日、俺が美海のオンボードを見てる時だった。ふと安田さんが「ロンのやつ、かなり面白い事してくれたな。やるじゃん。」とニンマリしていた。俺は一体何を意味してるのかすら分からなかった。そして迎えたポールデイ。俺は、昨日のセッティングを少しいじったやつで望む事にした。カウントダウンの後に「Hikaru Kushima!1st attempt Start!Here we go!!」とアナウンスが流れてコースイン。そして「Green Flag!Green Flag!」という安田さんの声が聞こえたと同時にフルスロットル。昨日超えれなかった壁を超える為に思いっきりアクセルを踏み続けた。ホワイトフラッグが振られて最後のアタックになり、記録は…何と美海の記録を3mph上回る239.46mphでポールポジションを獲得した。ここまで来ると初日からトントン拍子で進んでいる俺が恐ろしく感じる。これには星奈も「ヨシっ!」とガッツポーズ。美海は「明日は必ず…」と闘志を燃やしていた。そして俺は、渾身のガッツポーズで感情を爆発させた。「やったぞ!」と。
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