Verizon,NTT-Data IndyCar series extreme Speed

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第2章 スランプ、そして、輝き放つ。

Round1 新シーズン開幕!!スタートオブセントピーターズバーグ!

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今シーズンのNTTインディカーシリーズも、ここ、セントピーターズバーグサーキットで幕を開ける。このコースはアスファルトとコンクリがミックスしてるかなり特殊なコース。その為、タイヤ選択やセッティングが鍵を握っている。今シーズンの目玉としてはズバリ、伝説のコンビが「スポッター」という形で復活したということ。そしてインディカー史上あまり類を見ない、日本人男女ペアというのも話題になった。しかも日本のメーカー、日本とアメリカの合同チーム、日本人男女ペアというまさに日本尽くし。これ程話題に富んだシーズンも初めてだ。そこから、フリー走行が始まった。俺は、マシンに乗り込み、エンジンが始動すると、勢いよくタイヤスモークを上げてコースへと向かった。そしてウォームアップを挟んでアタック開始。このコースも2回目だけど、やっぱりコースが特殊なだけあって、かなりシビアなセッティングを要求される。俺は、ひとしきり走ってデータ収集をしていた。ベストなセッティングを見つけて、これでレースウィークを戦う事にした。もちろん美海も俺の後にコースへと向い、初めてのインディカー公式セッションデビューを果たした。一方俺は撤収して美海の走りを見守る事にした。安田さんからは「もういいのかい?」と聞かれて、俺は「うん。もうベストなセッティングを見つけられたし。後は美海の走りを見守る事にしたよ。」と言ってガレージのモニターを見守っていた。美海も納得行くまで走り込んでいる。隣にいるロンさんの目つきもガラリと変わって現役の時の、あの目付きになっていた。そして美海もベストなセッティングを見つけられたのかピットへと撤収。2人して大満足のフリー走行だった。迎えた予選。予選では美海がルーキーとは思えない速さで他者を圧倒した。もちろん俺も手が付けられないくらい速かった。でも俺は2番手を何とか死守して、予選を終えた。もちろんポールは美海。そして迎えた決勝当日。俺らチーム郷は、朝のドライバーズミーティングや全体ミーティングを終えてから二手に別れて、もう一度ミーティングや今日の最終確認をしていた。そう、2人して別々の作戦を採ることにしているのがこのチームの方針。俺なら俺なりの、美海なら美海なりの作戦を採ることにしている。美海も俺も、安田さんもロンさんも作戦会議と最終確認を終えて臨戦態勢に入った。俺はマシンに乗り込み、安田さんから「2年目となる今シーズンもよろしく。それじゃ頑張って行きましょう!グッドラック!スタンバイ!」という無線が、美海には「初めてのインディカーを存分に楽しんでね。それじゃグッドラック!!スタンバイ!!」という無線が来た。そしてペースカー先導のもとペースカーランが始まり、美海も俺も存分にタイヤを暖めてスタートに備えていた。美海はルーキーながら、先頭で俺ら後方集団をかなり牽制していた。グリーンフラッグが振られて、美海が勢い良く加速してスタートラインを通過したのと同時に俺もスタートラインを通過して、今シーズンの、インディカーシリーズの幕が上がった。まずは1コーナー。ここではあまり混雑せず、全車無事に通過。俺も通過時に「クリア、クリア。」という安田さんからの無線を聞き、まずは第1関門は突破したぞとホッとしていた。でもここで美海のペースが落ち始めて、一瞬の隙を突く形でパスしてリードを奪った。多分、序盤から飛ばし過ぎてタイヤを酷使していたのだろう。ルーキーには良くありがちな事だ。そしてリードを奪ってからは、しばらくは美海との差を広げてピットに入るという作戦を採っていた俺はこの週でピットイン。俺の読みは的中して、相手よりピットに早く入ってトップのまま復帰する「アンダーカット」というのを成功させた。美海もこの週でタイヤが限界を迎えた為、ピットイン。そしてピットアウト。ここからどうやってトップを奪還するかも鍵を握っている。俺は行けると思って油断してしまい、その隙を突く形で美海がトップ奪還。俺はこの時「ルーキーごときが、いきなりこの世界で勝つなんてまだ早いし、甘いんだよ!!格の違いを見せてやる!!」と、負けじと「プッシュ・トゥ・パス・システム」という一定時間パワーが上がるブーストシステムを起動させて美海を追っかけ回す事にした。そしてレースも終盤になり、美海もロンさんとかの無線で、このシステムを使い、俺との差を広げる事にした。もちろん俺は2発目を起動させて「おっと、そうはさせないよ。まだ勝たせたくないからね♪」と、両P2Pを起動させてトップ争いを演じた。そしてファイナルラップ。もうこの2人の勝負に誰も付いていけなかった。あまりにもハイペース過ぎるからだ。最終コーナーを曲がって最後の抵抗という意味でも、再度両者P2Pを起動させてゴールラインを通過。この時の差は何と0.010秒差!?結果発表どうなったのか、スローモーションカメラを用いたビデオ判定へ。ビデオ判定の結果、美海のデビューウィン。俺は鼻先の2位とチーム郷のワンツーで開幕戦を終えた。俺と美海はレース後、抱き合ってから「初陣、お疲れ様。」と俺が言うと美海は、「ありがとうございます。輝先輩も2年目の開幕戦お疲れ様でした。戦っててすごく楽しかったです。」とご満悦だった。そして俺と美海の交換日記にはこう綴られていた。「今日のレースは、私のデビューウィン!やった!最初は不安だったけど、最後までトップ争いを出来て楽しかった!!早くインディ500のウィークにならないかな~ワクワク。走ってみたいな~あのオーバルを。」と綴られていたのに対して俺は「今日は、多分インディカーシリーズの中でも楽しかったレースのひとつに入る様なレースだったね。でも、最後の美海の後ろ姿かっこよかったな~。俺もこういう先輩目指して頑張るぞ!そしてインディ500も楽しみだね!」と書いて美海に渡した。
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