FIM WSBK World Diary

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いざ決戦! 真夏の鈴鹿8耐

夏の陣、ここに開戦

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搬入日から、鈴鹿サーキットは8耐ムードに染まりきっていた。今年はどこが勝つのか?それの話題で溢れていた。チームHRCも2連覇に向けて気合い十分。しかし、今年の8耐は初っ端から荒れに荒れた。初日から転倒続出。負傷者多数という大波乱。ホンダ勢も例外では無かった。それは初日フリー走行の時だった。普段あまりコケるイメージがない星奈が転倒。幸い無傷との事でホっとした。俺もかなりヒヤッとした瞬間だった。だけどこの後も順調に周回を重ねてタイムを出していた。俺は、本当に8耐開幕直前で左足首の捻挫等が治ったという状態だった。大事をとって走らずに居るか、走るかを考えてる時に美海が「そんなに悩んでるくらいなら、走る方が良いと私は思うよ。時間なんて無限じゃないし、こうしてる間にトップは変わっていく。だったら走ってタイム更新しに行った方が良いと思うよ。」と俺に言ってくれたのがきっかけになって、走る事を選んだ。そして俺はマシンに跨ってコースイン。まずはいきなり飛ばすのではなくて、様子見で数周走る事にした。数周走ってみて左足首にも違和感は無かったのが分かったので、ここからフルスロットルでアタック開始。基本的には昨年型と変わってないという事で乗り方も昨年のライディングを思い出しながら走った。荒れに荒れたフリー走行初日をトップで終える事が出来て一安心していた。2日目は、特に大きな波風も立つことなく終えて迎えた予選。この予選がまた荒れに荒れた。転倒続出という大波乱に。そんな中、トップ10トライアルを迎えた。アタッカーは、昨年に引き続き俺がと行きたかったが、8耐EWCクラス史上初となる女性アタッカーとなった美海が担当する事になった。これは美海の強い希望によって実現したとか。リクエスト曲は、まかせてスプラッシュスターだとか。俺はひろプリのopをリクエストしていた。星奈はYes!プリキュア5Go!Go!のopをリクエストしてたとか。そして美海の番となり、コース上には、まかせてスプラッシュスターが鳴り響いていた。皆して、この時ばかりは、タイムを気にしつつも、プリキュアの話題で盛り上がっていた。晴南がホームストレートに戻って来て結果は、2年連続ポールポジションを獲得。8耐でも数少ない同一コンビ及び同一トリオでのポールポジションとなった。迎えた決勝。天候は雨予報ながら、スタートは青空快晴という状況だった。スタートライダーは美海に決定した。観客席のボルテージも振り切ってきた中、スタートのカウントダウンが始まった。これはチームも皆してやる事になった。皆で「10!9!8!7!6!5!4!3!2!1!スタート!!!」という声で8耐が始まった。観客席からは大歓声が聴こえた。俺も「頑張れ!!美海!!」と思わず叫んでしまった。マシンが勢い良くスタートしてく中、ポールショットを奪取したのはヨシムラスズキの12号車。美海は、2位で1コーナーへと突入。トップのヨシムラスズキを捕らえようと必死に追いかけていた。マシンがホームストレートに戻って来た所でスリップに入ってパス。トップに浮上して前半を引っ掻き回してから俺にバトンパス。アウトラップから脅威的なペースで周回を重ねていた。途中転倒等でセーフティカーを挟みながらも首位をキープして星奈にバトンパス。俺はこれまでに無い暑さで体力を消耗していたので、すぐさま体を冷却して休む事にした。レースも中盤頃になった頃から雲行きがかなり怪しくなってきた。俺は、宇川さんと美海と一緒に策を練り直していた。「宇川さんどうしますかこれ?今、スマホで色々ライブタイミングとか調べてますけど、このまま行くと、ゴール1時間前の18:30頃から土砂降りになる可能性もありますよ。」と言った後に「現状コース見ててもスリックかレインかすごく悩みますよね。この時、宇川監督だったらどうしますか?」と俺と美海が聞くと宇川さんは「そうだね。僕だったら、賭けに出るかな?一部分だけという事は後になってレインになると考えられるし、こうなったらレインで走る方が得策かもね。とにかくこの周で宮藤を引っ込ませよう。」と言ったので、この周で星奈に「Box in this Lap」とボードを出した。そして、ロングスティントを担当した星奈から俺が2度目のスティントをこなして美海に最後を託すつもりだ。俺がコースインしたその時くらいからレインコンディションになった。予想が大当たりした。俺は「大の苦手」とするレインコンディションを克服して逆手に取った走りを披露して2位のTOHOレーシングをかなり引き離した。そこから最後のピットインで美海にバトンパス。その時に俺は「今年は美海があのゴールラインを突っ切れ!それじゃ!」と言って背中を叩いて後を託して、俺の今年の8耐は終わった。後は表彰台まで星奈と一緒に、モニター越しに見守る事にした。そして、レース終了のカウントダウンが始まった。「10!9!8!7!6!5!4!3!2!1!今フィニッシュ!!勝ったのは、33号車!ひろがるスカイ!プリキュア!HRCチームモリワキだぁ!!2連覇おめでとう!!」という実況と同時に美海がトップでゴールラインを駆け抜けた。俺らは渾身のガッツポーズと一緒に皆で抱き合った。そこからパルクフェルメまで2人して向かい、美海を出迎えた。美海が帰って来て「やったね!!2連覇だよ!!2連覇!!」と皆で喜んだ。表彰台では、思いっきりシャンパンをかけあって飲んだりもした。こうして8耐は幕を閉じたかの様に思われていたが、レース後の車検で2位に入ったTOHOレーシングのマシンにレギュレーション違反が見つかり失格。この結果、11号車のデパプリ号が2位に繰り上げ入賞からのワークスワンツーという結果になった。3位にはTSRという結果が最終結果になった。 
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