FIM WSBK World Diary

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CBR使い、最後の戦い。

Round3 脳震盪からの復帰戦(アッセン)

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前回のマンダリカは、開幕戦での転倒による脳震盪及びセカンド・インパクト症候群を回避する為に欠場となったが、今回から復帰という形になる。ヘルメットを見た際に「もしこれがagvとかKYTだったら…」とボヤいてしまう程だった。俺は、改めて愛機にと思ったがどうやら美海も所望していたらしく、晴れて2台目のEvoを投入する事になった。それ迄の愛機であるCBR1000RR-RWは、何かあった時用の「スペアマシン」として運用する事になった。そして、このラウンドから「問題児」でもあったR-CBSを撤去。一応一定の成果はあったけど、レース専用設計では無いのが仇となっていたり、「突貫工事」で製作した代物だから、マトモなテストが行えないまま導入したりと結構大変だった。あとは、そもそも有っても無くても大して走りには影響しないどころか単なる「重り」でしか無い為、「不要」と判断したのが大きい。多分タイヤが死にやすかったのコイツがトリガーだと思ってるくらいだ。このCBR1000RR-RW-Evoは見た目こそCBR1000RR-RWとそんなに大差無いものの、中身は結構変わっていたりしている。昨年のピーキー極まりなかったエンジン特性は、格段に改善されたりとか変速スピードを早めたりとか。そんなこんなで迎えたフリー走行。フリー走行では、俺のマシンに「災難」が降り掛かった。走行中に「バンッ!!」と何かが破裂するというか爆発する音がして、その直後にエンジンから白煙が発生。慌ててマシンをエスケープエリアに止めた。これにより、一時赤旗中断。すぐにマシンがドナドナされて、リペア開始。どうやら原因は昨年の最終戦鈴鹿GPの時のBOPに合わせて設計していた為、上手いこと追い付けずにブローしたという事だ。確かに、あの排気量で2万近く回すなんて言うこと自体が「無茶」に等しかった。それが祟ってしまったとの事。エンジンはこれで一基お釈迦に。でもこのマシンのいい所は「CBR1000RR-RWのパーツも併用及び流用可能」というお得仕様の為、すぐにRR-RWのエンジンがその場凌ぎで移植された。その為、回転数は17600rpmにリミットを設けて稼働させる事に。これで少しは「信頼性」が確保された形に。そしてもう一度コースイン。タイム的にも良いラインに入ってくれて一安心。予選では、マシンの軽さとパワーを活かしてポールを獲得。レース1では、嵐珠が初優勝。俺は最後までバウティスタとの接戦を制して2位を掴み取った。美海はゴールライン寸前でバウティスタをパスして、僅差での3位を獲得した。スーパーポールでは、一飛が2度目の優勝。2位にレイ、3位にトプラクという順位になった。ちなみに俺らはと言うと…俺は最後まで粘って4位、美海は、まだマシンに順応出来ておらず転倒リタイヤ(無傷)。星奈はとりあえず完走はしているが、ゴール直後にいきなり全システムシャットダウン。嵐珠は嵐珠で、昨年俺がやらかした所で見事にやらかしてくれて3位に入ったが、トラックリミットオーバーペナルティで5位にまで引き摺り下ろされ、ケリーは電装系トラブルでリタイアとかいう散々極まりないレースになった。レース2は、何とホンダがWSBKに復帰して初かもしれない事案が発生。何と全車リタイアとかいう最悪のレースに。しかも俺は一番最悪のケースだ。まず事の流れは、俺が嵐珠のスリップに着きます→上手い事インから刺します→ブレーキングでマシンがブレるというか跳ねます→リアが嵐珠のフロントにヒットというか引っかかる→嵐珠転倒→俺転倒→両者仲良く揃ってリタイアという流れだ。俺はガチで途方に暮れており、嵐珠が「何心配してるの?」と聞いてきて「藤井の総長から大目玉だよ…これ…俺どんな顔して行けばいいんだよ…」と言うと「大丈夫よ。意図的にやった訳じゃないんでしょ?。なら監督も怒らないよ。けど、大きくなったね。ヒカル。」と嵐珠なりに励ましてくれた。美海は美海で友達の星奈を変な所で撃墜した挙句、自分も自爆して、こちらも両者仲良く揃ってリタイア。美海は、この時大泣きしていたが、星奈が「怪我してないだけ良いよ。晴南ちゃんも必死にこのマシンに慣れよう慣れようって頑張ってるの知ってるよ。あとは私にも非はあるよ。ラインを空けてあげれなかったね。ごめんね!よし!もう泣き止んだ事だし、泣くのおしまい!お互い頑張ったんだから!せめて今日くらいは、ね。」とお互いに励まし合っていた。一方ケリーは、BMWのガーロフ(ギャレット・ガーロフの事。)に撃墜されて怒り心頭。ガーロフ(31号車)が通過するなり毎周毎周「Ahhhh!!!F●●k You idiot!!Get s●●t on!!next time seriously spotted female!!(ふざけんじゃねぇぞ馬鹿野郎!!くたばりやがれ!!次やったらガチでぶちのめすぞ!ナマクラ野郎!覚えてろ!!)」等と非常に育ちのよろしゅうない言葉というか「暴言に近い罵声」を中指立てながら叫びまくっていたとか。一飛もエンジンブローというあまりにも散々なレースになった。レース後にTSRのガレージに行き、藤井の総長に謝罪すると「レースはこういう時もあるよ。うん。僕も責めれた事じゃない。ただ2人に怪我ないだけ良かったよ。何なら、うちらがMC82EVOエンジン弄ってやろうか?」と提案してくれて即決したりもしていた。一方ケリーは、俺が止めないとガチでガーロフとケンカしそうな勢いだったので、先にガレージへと帰還させたりした。あそこまで怒りを顕にしたケリーも見たことが無い。一飛も葬式状態ととにかくホンダ勢にとって、「悪夢」という言葉がピッタリ過ぎるレース2になってしまった。※ケリーの英語は、直訳するとかなり汚いので、俺なりに意訳しました。
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