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CBR使い、最後の戦い。
番外編 ル・マン24時間に緊急参戦
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WSBKもオフに入り、ゆっくりしていた時に、藤井の総長から「ル・マンに出て欲しい。」と言われて、「分かりました!すぐにでも行きます!」と二言返事で快諾してしまった。(あの人顔怖いから、引くに引けないんだよね…)その為、拠点の日本からフランスへと直行。そしてチームに合流した際に嵐珠ちゃんも出てるらしく、2018年の鈴鹿8耐以来のペア結成となった。俺自身初の24時間耐久の為、ちゃんと走れるか不安で仕方無かった。チームメンバーもかなりのメンバーを揃えており、EWCのメンバー(2人)に加えて俺ら2人と言う布陣である。マシンはCBR1000RR-Rを使ってのエントリーだ。ツナギとかは、一昨年使っていた物をそのままそっくり持ってきている。ヘルメットは普段使ってる物を持って来ている。フリー走行の時間になり、俺と嵐珠ちゃんは、ひとまずEWCレギュラーの走りを見る事にした。そして、俺の番となり、勢い良くコースイン。まずは慣らしから始めた。そこからフルスロットル。データもある程度取れた所で、ピットでのライダーチェンジ練習も兼ねて、嵐珠ちゃんへとバトンタッチ。なんて事を繰り返したりしていた。ナイトセッションも難無くこなして、予選を迎えた。結果は、ポールポジションを獲得。迎えた決勝。スタートライダーは、ジョシュが担当してくれる事になった。その次にマイク(マイケル・ディ・メリオ)、嵐珠、俺という順番である。途中で変わる事もあるからそこも上手く対応して欲しいと、朝のミーティングで言われていたりもした。スタートの時間が近付いていた。俺は嵐珠ちゃんとマイクと「作戦会議」をしていた。そしてスタート。今シーズンは、YARTさん家の「R1エンジン始動問題」が解消されたらしく、1つ不安が解消されたとか。まずはジョシュが上手いこと引っ掻き回してくれたおかげで楽な展開に。そこからマイクに交代。マイクも終始安定したペースでレースをリード。さぁさぁ、そこから皆さんお待ちかねの、嵐珠ちゃんへと交代。嵐珠ちゃんは俺に「行ってくるね!」と言ってバイクに跨りコースイン。そうこうしてる内に、ル・マンもすっかり夜に。ここからがいちばん怖くて「鬼門」とも言われる。ちゃんと無事に朝日を拝めるのだろうか…心配になってきた。嵐珠ちゃんがピットインしてから、俺の出番となりコースイン。ここまでほぼノントラブルで来ている。そして、俺はメット越しに「感動的」な光景を見ることが出来た。それは「朝日」を拝む事が出来たということだ。これ程までに「美しい」光景を見た事がなかったから余計嬉しかったし、メット越しに涙が出かけたほど。そこから、EWC名物「超サバイバルスプリントレース」が始まった。夜でも蹴落とし、朝でも蹴落とす。女神というのは非常に「冷酷非情」で「残酷」で「無慈悲」である。俺が走ってるそのすぐ前で、ヨシムラさんのGSX-1000Rがエンジンブロー。俺は間一髪で回避したのと「こりゃポップ(創業者の吉村さんは、昔米軍の兵士のバイクを弄ってる時に愛嬌込めて皆が親父という意味でポップと呼んでたことが愛称になった。)さん大目玉案件だな。」とボヤいてしまった。そして、2度目のルーティンだけど、嵐珠ちゃんへとバトンタッチ。そこから俺という形に。嵐珠ちゃんが戻ってきて俺と交代する時に「後は頼んだよ。」と背中を軽く叩いて送り出してくれた。最後の戦いが始まったが、もはや「ワンサイドゲーム」もいい所で、結果は俺らFCC TSR HONDA FRANCEが3連覇。俺は2004年大会で北川圭一さんが優勝して以来19年ぶり2人目の日本人ウィナーかつ日本人史上最年少ウィナーにもなった。嵐珠ちゃんも今回は「日本国籍ライセンス」でのエントリーをした為、自身初優勝及び日本人女性ライダー初のル・マン制覇と言う「偉業」も達成した。全て終わった後に俺は、嵐珠ちゃんに「初のル・マンお互い勝てて良かったし、また一緒に走れて良かったよ。」と言うと嵐珠は、「謝謝你ヒカル!私もよ。こうして普段ライバルとして走ってる2人が一緒に走ってなんて言うのも久しぶりで嬉しい!」と大喜びしていたし、何より藤井の総長が見た事ないくらいの「笑顔」を見せていた事だ。俺は藤井の総長に「最近謙汰君どうです?元気にしてます?」なんて聞いたりもしていた。実は、俺と謙汰君は過去にCIP(今もMoto3に出ているというより「最古参勢」のチームでアラン・プロネックさんが代表を務めているチーム。)からエントリーしており、その時からの仲である。すると総長からは、「謙汰かい?今はMini-GPと言うMoto3へのステップアップカテゴリーの関係者として動いてるよ。ライダーとしては、もう2019年だか2020年だかで辞めちゃったけど、また一緒に走ってる姿を見たいものだよ。」なんて言ったりもしていた。
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