FIM WSBK World Diary

文字の大きさ
上 下
15 / 48
CBR使いの復活

Round10 最優先事項(シルクイート・サンファン・ビリクム)

しおりを挟む
今シーズンのWSBKも、残す所、マンダリカと最終戦鈴鹿の2ラウンド6レースを残すのみとなった。実は、オーストラリアでのMotoGPのレースの後に、「マレーシアも走ってもらいたいと思ってるが、どうだ?」とルーチョさんから提案されたが、「気持ちだけ受け取っておくよ。俺は「本職」で、やる事があるからね。ありがとう。ルーチョ。俺にチャンスを与えてくれて。」と言って、マレーシアの代役を蹴っていたりもした。その代わりと言ってはアレだが、代わりに美幸が走ってくれる事になった。今回の舞台は、アルゼンチンのシルクイート・サンファン・ビリクムサーキットという、高速コースだ。3年前に、モリワキ・アルティアから、センダボで出た時も、このコースだった。周りに比べて、戦力的にも劣ってたあのマシンで良く走れたもんだった。このコースの特徴は、バックストレートでの、ドラフティング合戦。セッティングとしては、高速型セッティングだが、ブレーキ径を大きくしないと、まともに止まれないコースでもある。あとは、姿勢制御も鍵を握っているコースでもある。実は、このラウンドから、新エンジン「MC82EVO」を投入する事になった。実は、このエンジンには、ある規則が絡んでおり、今のままでも十分対応はできるのだが、如何せん、無理してる所もあるので、それを見越した投入でもある。その規則というのは、「回転数+1100rpm」という、言わば「カワサキ殺し」のルールの影響である。このエンジンは、今年度型の為、回転数上限が無制限だが、「対パニガーレV4R&YZF-R1用決戦兵器」として開発しており、上から「変更パーツが、あまりにも少なすぎる。何?軽量鍛造ピストンとか軽量カムシャフトとか軽量コンロッドって?」とか色々文句言われてしまい、最高回転数が「16500rpm」のまま据え置かれてしまった。ただ、モリワキ管も最新スペックの物に変更されたりと、そこら辺の対策もしてる様だ。そして、フリー走行でも、トップタイムを連発。予選でも、ヤマハのラズカットリオグルを抑えてのポール獲得、美海の方も、バウティスタを抑えての3番手と、全力で、ヤマハとドゥカティを殺しにかかってる状況だ。そして、レース1。このレースは、とにかく新エンジンの「慣らし運転」も兼ねたレースとなってるため、そんなに大した結果なんざ、望んじゃいなかった。俺は、自分のペースでレースを進めていき、そのまま何事も無かったかの様に優勝。2位には、星奈が入った。3位には、ラズカットリオグルという順に。美海は、バウティスタを抑えての5位に入った。スーパーポールは、チームが美海に対して「ファステストラップポイント取ってきてね。」とかいう、ガチでイカれた「おつかい」をさせて、レースにも関わらず、予選同等のペースで周回させるという、かなり無茶な事をさせた。まぁその甲斐あってか、本人は、恐ろしいハイペースで、トップを譲る事無く、優勝。俺は、これ以上の追撃を諦めて、2位をキープする事になった。星奈は、途中で、大転倒起こしてリタイヤ。一飛は、GRTヤマハのギャレットに当てられ、レイナルドはエンジンブローという、かなり散々なレースだった。そして、レース2。実は、スーパーポールで大転倒してリタイアした、星奈は、足首を負傷してしまい、欠場する事に。代わりに香里奈ちゃんの「デビュー戦」になった。そして、俺は、改めて「ブラッディ・マッドドッグ」という異名を持つ、彼女の「恐ろしさ」を再び知る事になった。実は、スタート時に、色々あって最後尾になった、香里奈ちゃん。一番居て欲しくない所にいる。あの子を最後尾に置くとどうなるか、皆は、まだ知らない。いや、むしろ知らない方が「幸せ」である。そして、スタート。俺は、お得意のスタートダッシュで、好スタートを切った。そして、香里奈ちゃんも、最後尾からエグいペースで追い上げていき、1コーナー通過後には、もうトップ5に入っていた。俺は「ヤバい!来る…勝利に飢えてる「狂犬」が…来る!逃げねば!食い殺される!」と必死に逃走する事にした。そのおかげで、ありえないペースでレースをする羽目になった。本当は、タイヤを労りながら走りたかったが、どっかの「HRCの狂犬」のおかげで、最後までタイヤが持つか良く分からなくなってきた。だけど、俺は、最後まで諦めずにトップを譲る事無く、チェッカーを受けた。この時に思わず、体の力が抜けて、脱力感が半端なかった。香里奈ちゃんは、最後尾から、3位と「狂犬」の恐ろしさを世界に轟かせた。美海は、最後まで2位をキープしてゴール。レース後には、変な汗が止まらなくなりかけてたりもした。でもやりきったから、大満足のレースでもあった。そして、俺達3人は、一度、11月15日にベルーナドームで開催する、ブシロード15周年記念祭のリハの為に、一時帰国する事にした。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

会社の上司の妻との禁断の関係に溺れた男の物語

六角
恋愛
日本の大都市で働くサラリーマンが、偶然出会った上司の妻に一目惚れしてしまう。彼女に強く引き寄せられるように、彼女との禁断の関係に溺れていく。しかし、会社に知られてしまい、別れを余儀なくされる。彼女との別れに苦しみ、彼女を忘れることができずにいる。彼女との関係は、運命的なものであり、彼女との愛は一生忘れることができない。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

江戸時代改装計画 

華研えねこ
歴史・時代
皇紀2603年7月4日、大和甲板にて。皮肉にもアメリカが独立したとされる日にアメリカ史上最も屈辱的である条約は結ばれることになった。 「では大統領、この降伏文書にサインして貰いたい。まさかペリーを派遣した君等が嫌とは言うまいね?」  頭髪を全て刈り取った男が日本代表として流暢なキングズ・イングリッシュで話していた。後に「白人から世界を解放した男」として讃えられる有名人、石原莞爾だ。  ここはトラック、言うまでも無く日本の内南洋であり、停泊しているのは軍艦大和。その後部甲板でルーズベルトは憤死せんがばかりに震えていた。  (何故だ、どうしてこうなった……!!)  自問自答するも答えは出ず、一年以内には火刑に処される彼はその人生最期の一年を巧妙に憤死しないように体調を管理されながら過ごすことになる。  トラック講和条約と称される講和条約の内容は以下の通り。  ・アメリカ合衆国は満州国を承認  ・アメリカ合衆国は、ウェーキ島、グアム島、アリューシャン島、ハワイ諸島、ライン諸島を大日本帝国へ割譲  ・アメリカ合衆国はフィリピンの国際連盟委任独立準備政府設立の承認  ・アメリカ合衆国は大日本帝国に戦費賠償金300億ドルの支払い  ・アメリカ合衆国の軍備縮小  ・アメリカ合衆国の関税自主権の撤廃  ・アメリカ合衆国の移民法の撤廃  ・アメリカ合衆国首脳部及び戦争煽動者は国際裁判の判決に従うこと  確かに、多少は苛酷な内容であったが、「最も屈辱」とは少々大げさであろう。何せ、彼らの我々の世界に於ける悪行三昧に比べたら、この程度で済んだことに感謝するべきなのだから……。

処理中です...